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2012年06月11日 (月) | Edit |
今回の本題に入る前に、とっても重要な事なので、もう一度シツコク繰り返します。イコライザ(equalizer)とは、読んで字のごとく、何らかの物理特性を「均一化」(フラット化)するための装置または機能です。ですから、計測しながらの設定が絶対的大前提である事をくれぐれも理解してください(自動補正ならOK)。我々は制作者ではなく、あくまでも鑑賞者であるという立場をヨクヨクわきまえないと、結局はイヂクリマーシーノのオヂオイヂリと同じ事になってしまい、富士の樹海を確実に彷徨う事になります。簡単にいくらでも変更でき、変更すると音もはっきりと変わるため、ある意味非常に危険な装置でもあり、使いようによっては簡単に「悪者」にもなってしまうでしょう。鑑賞者としての分をわきまえ、フラットにしたらその状態を基準として素直に受け入れ、なんか遊びたければデンセンなりインシュレータなりシンクーカンなりなんなりで遊べばヨロシかと思います。

さて、今回の本題の方ですが、これはLEANAUDIO初期の頃からのテーゼです。相変わらずシツコイですが今一度よーく考えてみてください。ハチマルには、今のオヂオの不思議フシギ摩訶不思議な状況を象徴しているように思えて仕方ありません。

それでは本題に入ります。
低域のブーストとは、低周波領域で減衰したスピーカのレスポンスを、特定の周波数まで「均一化」(フラット化)する事を指します。つまりイコライジングの適用範囲を、スピーカのロールオフ周波数よりも低い周波数領域まで延ばしたに過ぎません。すなわち、ハチマルの言うブーストとは、イコライジングの延長に他ならないという事です。別に低音を「強調」して「ズンドコ」にするわけではなく、本来聞こえるべき状態に修正するという事ですから、そのへんの勘違いなきよう、くれぐれもご注意ください。

問題のバスレフですが、現在、オーディオ用スピーカとして、大型から小型まで、高級品から普及品まで、すっかり主流となってしまっているバスレフ方式は、箱内部の空気とドライバの共振現象を利用して、特定周波数領域のレスポンスをブーストします。通常は、密閉型のロールオフよりも低い周波数までレスポンスを「均一に」(フラットに)延ばす事を目的に調整されています。つまり、これも一種の非電気的イコライザであると言えます。そして、電気的イコライザと同様に、音質にある程度のネガティブな影響を与えます。

そこで、「ほんならドッチの方が得ヤネン?????」と考えるのが普通です。。ですよね?考えない方がフシギです。

ハチマルの今までの実測とシミュレーションによる経験では、同一容積の密閉型と比べた場合のバスレフ型のブースト効果は、本当に最小限の吸音材を入れた状態で、最大でも8dB程度です。付帯音を嫌って吸音材を少し増やすと6dB程度まで効果は減少します。バスレフ型の場合、共鳴点から下は急激に位相が変化してレスポンスが減衰する(共鳴点以下の音はかなりデタラメ)のに対し、密閉型は位相もレスポンスもなだらかに変化するため、バスレフの効果が最大8dBあったとしても、密閉型では6dBもブーストすれば、バスレフ型と同等かそれ以上の良質な低音が得られます。

そのへんを実例でお見せします。
ZAP Alpair 6M/2.5L密閉をベリンガのグラフィックイコライザでブーストしてみました。
A6 eq
黒がブーストなし。赤が、一番下のバンド(63Hz)を+6dBした結果です。綺麗に+6dBの効果が出て、100Hz以下がフラットに伸びています。

シミュレーションでバスレフと密閉を比較してみました。容積は2.5Lです。
A6 eq simu
白が密閉です。吸音材はバスレフ効果が最も強く出る「なし」で計算しています。同調周波数(63Hz)におけるバスレフの効果はせいぜい7dBくらい。この程度のブースト効果であれば、密閉型+イコライザで簡単に出せてしまう事がおわかり頂けたかと思います。しかも、密閉型をブーストした方が、同調点以下の減衰がなだらかであるため、低音の量感と重みは明らかに密閉型ブーストの方が優れ、位相と過渡応答性の面でも密閉型ブーストの方が圧倒的に優れます。

ついでにAlpair 10/4L密閉でも+6dB(63Hz)してみました。
A10 eq
たった4Lの密閉箱に13cmドライバを入れて、イコライザで63Hzバンドを+6dBしただけで、40Hz~10kHz ±6dBを達成しています。音楽を鑑賞する上でほぼ十分な非常に素直な特性が得られたと言って良いでしょう。一家に一台ALpair 10たる所以です。このドライバの許容振幅(Xmax)は半端ではありません。グライコにもう1つ下のバンドがあれば、さらに下限を伸ばす事も可能でしょう。もちろんFrieveAudioでブーストするならば、30Hzまで位相遅れ皆無で何の問題もなくフラットにできますし、部屋の影響も同時に補正できます。なお、4Lの容積では、シミュレーションでまともなポートチューニングはできませんでした。最低10Lは必要そうです。このように、密閉型をブーストする場合、容積はさして重要ではないため、バスレフ型より遙かにコンパクトにできます。

さて、バスレフ方式のように共振現象を利用した場合、それが音響的であろうが機械的であろうが電気的であろうが、如何に巧妙に計らおうとも、ポジティブな効果が得られる周波数領域の外側で必ずネガティブな現象が発生します。ハチマルはエンジン屋さんでしたから、共振君にはソレハソレハお世話にもなる一方で、散々悩まされもしました。今まで再三述べてきたように、バスレフ方式もその例外ではありません。

シンプルな密閉型で低い周波までフラットにレスポンスを延ばせるのであれば、密閉型を使うに超した事はない、誰も好き好んでキワモノは使いたくはないという事は、昔ムカシ大ムカシから言われている事です。中高生の頃に読んだオーヂオ誌(スピーカ自作の入門書だったと思う)にもはっきりと書いてありましたし、バスレフ型を苦肉の策(あるいは必要悪)的に考えている著者のニュアンスが記事の端々からも読み取れました。それが当時の業界のバスレフ方式に対する認識であったように思えます。実際、当時は今よりも密閉型の製品が多かったようにも記憶しています。

昔ムカシ大ムカシは、真空管アンプの出力や駆動力も低いですし、スピーカのエッジやダンパの素材も限られていましたから、低周波の大きな振幅で振動板を良好に駆動する事は困難であったでしょう。そのような事情から、特に大音量を必要とするシステムでは、低域のブーストをバスレフ型のようなキワドイともいえる共振機構に頼らざるを得なかったという事情は十分に理解できます。

さてさて、しかし、今や21世紀であり、それは昔ムカシ大ムカシの事情に過ぎません。半導体によるアンプの大出力化高DF化はもとより、スピーカにも新しい素材がどんどん使われるようになり、さらには音源のデジタル化にともなってデジタル信号処理の可能性が開ける等、関連技術レベルは当時から飛躍的に進化しています。例えば新素材を駆使したハイテクAlpairドライバでは、驚くほどの大振幅でも極めて良好な挙動を確保できている事、FrieveAudioのDSPを使えば、密閉型ヘッドフォンに匹敵する位相的にも極めて正確な低音をリスナの耳に届けられる事を再三ご紹介しました。

ちょいと冷静に考えれば、現在のそのような技術的バックグラウンドの下、せいぜい6dB程度の低音ブーストのために、そのようなキワモノ的共振機構(バスレフ方式)に頼る必要があるのか???密閉型をアナログ式であろうがデジタル式であろうが単純に電気的にちょいとブーストした方が絶対お得だよね??という疑問が生じるのが当然でしょう。。ですよね??違う???

昔ムカシ大ムカシの技術的制約からやむを得ず採用されたような機構が、この21世紀においてもなんで未だに幅をきかせているのか???ハチマルにはものすごーーーーーーーーーく不思議でフシギで仕方ありません。

何もハチマルみたくアホみたいにブーストしなくとも、ちょいと6dBブーストすれば、バスレフ型と同程度までロールオフ周波数を下へ伸ばす事ができ、しかも、それ以下の周波数でもバスレフ型のように急激に位相が乱れてレスポンスが急落する事もなく、ダラダラと緩やかに減衰する特性が得られます。すなわち、ちょいと6dBブーストするだけで、明らかにバスレフ型よりも位相的に正確でダンピングの効いた自然で豊かな量感の低音が得られるという事です。ブーストしてロールオフ周波数を同じにした密閉型とバスレフ型を聴き比べれば、ズンと来る低音の重さ/実体感が全く違う事は、誰にでも容易に体感できるはずです(かたや、穴ンポコから噴出するオトですから)。もちろんデジタル信号ブーストを適用するのが理想的ですが、アナログイコライザやアンプのトーンコントローラでも効果は十分に体感できるでしょう。

一度お試しあれです。ホンマニ。

なお、このような方式においては、箱の気密性と剛性はもちろんのこと(容積は小さくてOK)、ドライバ自体の気密性が重要となります。気密性の高いセンターキャップ付きのドライバを使う必要があるという事です。フェイズプラグ付きやコアキシャル型ではエア漏れによる問題が生じて良好な結果は得られません。この条件を満たす限り、ビンテージ物ではない最新のドライバであれば、限界近くの大音量を求めない限り、6dB程度のブーストで問題が生じる事はないでしょう(アンプのトーンコントローラ レベルのブーストですからね)。

ハチマルのように、小径ドライバで限界近いブーストを求める場合は、できるだけ最大許容振幅(Xmax)の大きなドライバを使う事を推奨します。その点でMark AudioのAlpairシリーズは最適です。というか、他に適当そうなのは思い当たりません。アンプにはDFの高いアンプが適するでしょう。小出力の真空管アンプは当然適しません。今時の半導体アンプであれば基本的になんでもOKだとは思いますが、敢えて選ぶなら高DFの業務用アンプとか、NuForce IconAMPがヨロシイカト思います。

では、そのようなバスレフ型が未だに幅を効かせている理由は一体全体何なのか? と普通は考えるわけです。

ハチマルは、付帯音(内部の音が筒抜け、ポート自体の共鳴音(笛っぽの音)が出る)によって「ソーチそのもの」のコセーを出しやすいからではないかと考えています。最近のマニアの表層的/感覚的/微視的なナンチャラカンやオンジョーカンを追い求める傾向は、ムカシよりもかなりエスカレート気味なのではないかとハチマルには思えて仕方ありません(そんなにナンチャラカンやリンジョーカンとかが無いと音楽がツマライのか???そんなにツマラナイのだったら何も無理に音楽聴かんでもえーんとちゃうのんか?と)。しかし、ナンチャラカンをやたら求めず素直にそこに記録された「音楽」に耳を傾けようとする場合、付帯音の少ない吸音材をタップリぶち込んだ密閉型の方が、明らかに「音楽そのもの」が聴きやすくなります(要は音楽再生クオリティが高くなるという事)。

密閉型は音が「死んでいる」とか「沈んでいる」と勘違いされる傾向にあるようですが、それは決して内圧や吸音材によって振動板の運動が抑制されて「音が死ぬ」からではなく、不要な付帯音が減ったために、付帯音の多いバスレフ型やバックロード型のナンチャラカンに慣れた耳にはなんだか寂しく感じられるためです。これは、LEANAUDIO初期に散々バスレフと密閉を聴き比べた上で得たハチマルの結論です。地味な密閉型で、ナンチャラ感ではなく「音楽」を聴く事に慣れると、今度はバスレフ型の不自然さが耳に付くはずです。このへんは、自動音場補正でフラットにすると(音楽再生クオリティが向上すると)、癖のあるナンチャラカンが無くなって最初は耳寂しく感じるのと同じです。そのへんをよく理解した上で、密閉型の音を今一度じっくりと聴き直してみるのも良いと思いますよ。

追記2
密閉型がなんか地味に聞こえるのを嫌ってか、内圧を下げるために背面に圧抜き穴を開けたりする場合もあるようですが、これは疑問です。原理的に良い効果が得られるとは思えません。例えパイプを付けずに箱に穴を開けただけでもヘルムホルツの共鳴効果は発生します(いつものシミュレーションツールで計算すると分かります。このためハチマルは極端に長ーーーいパイプ「シッポ」をポチ君で試した事がある)。また、共鳴効果が出なかったとしても、小さな穴だと、空気の出入りに抵抗が生じて、それこそ振動板の運動が阻害されますし、気流音が出る恐れもあります(箱がエア漏れしているのと同じ状態)。大きな穴だと、背面解放に近付くだけであり、低域のレスポンスが低下します。効果があるように感じられたとすれば、それは穴から何らかの付帯音が出ているか、部屋の影響で低音過多になっていたために低域のレスポンスが下がった事が良い方向に感じられたためではないかと思われます。ハチマルもF80を使っていた頃、どうも音の明瞭感に欠けるような気がして、内圧を抜くためにポチ型に長い尻尾を付けたりしたっけなぁ。。。今から考えると笑い話です。。。Alpairを使い始めてからは、そのような事はなく、結局丸1年かけて吸音材タップリに辿り付きました。

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