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2013年06月29日 (土) | Edit |
今回はポート音だけを分離して波形を観測しました。

実験君セットアップです。
_1000332_20130629082108.jpg
TONO君をZAP君の隣に置き、ZAP君にはTONO君とは逆相の信号を入力します。すると2つの振動板からは互いに逆相の音が発生し、両者から等距離のマイクロフォン位置では2つの音が互いに打ち消し合あうため、ポートからの音だけをマイクでピックアップできるはずです。これはヘッドフォン等のノイズキャンセレーション機能と同じ原理です。

そんなにウマイ事行くんでしょうか?
それがウマイ事行くんですよ。
F特ポート copy
緑はこの方法で計測したポート音のF特です。黒はポート直前に置いたマイクで計測した特性です。よく一致していますね。

下はそのようにして計測した60Hz(概ねヘルムホルツ共振周波数)の波形です。
説明1
ピンクはTONOポート塞ぎ(振動板音のみ) + ZAP密閉(逆相の振動板音)の合成音波形です。TONOのポートは塞いだ状態ですから、振動板の音どうしが見事に打ち消し合って合成音の振幅は非常に微小です。作戦大成功!ってヤツですね。

はTONOバスレフ状態(振動板音+ポート音) + ZAP密閉(逆相振動板)の合成音波形です。振動板からの音は打ち消し合うので、マイクはほぼポートの音だけを拾っているはずです。

はTONOポート塞ぎ(密閉)、はTONOバスレフの音です。これらは逆相ZAPを使わずに計測した通常のTONO密閉型とTONOバスレフ型の波形です。

赤(バスレフ)の音は、青(振動板)緑(ポート)の音が合成された音である事が分かります。

信号波形(白)に対してポート音(緑)の位相が進んでいるように見えます。しかし、入力に対して出力の事象が時間的に進む事は有り得ません。実は、このポート波形の山(+)は、信号の1つ前の谷(-)に対する反転かつ遅延した応答です。
説明2
振動板音(青)の山は信号の山(白)から約45°遅れており、ポート音(緑)の山は1つ前の信号の谷(反転した山を紫で表示)から約135°遅れています。波形の位相は進んでいるかのように見えますが、入力の事象に対する出力の応答事象は遅れて発生します。アーヤヤコシイ。。

これは、正弦波信号が突然始まる際の過渡挙動を見るとよく分かります。
1発目の正弦波の山に対する応答波形だけを抜き出してみました。
1発
信号に「山」が突然発生すると、先に振動板(青)から音波の「山」が発生し、かなり遅れてポート(緑)から音波の「谷」が発生しています。バスレフ型では、我々はその合成音を聞かされているという事です。

このようにバスレフ型システムは遅れ(位相)も極性も異なる2つの音の合成音を発生するため、過渡挙動は非常に複雑となります。定常正弦波信号はとても綺麗に再生できても、過渡信号の再生波形は大きく崩れます。時間ドメイン的にはかなり出鱈目だという事です。そして、再三申しているように、音楽信号は一時たりとも留まらぬ激しい過渡現象の嵐です。

次回は、他の周波数での挙動を調べてみます。

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2013年06月16日 (日) | Edit |
大福丸さまからのコメントに関連して、位相と時間について書きます。

ご興味のない方は最初だけ読んでスルーしてください。とってもヤヤコシーお話しです。

まず重要な結論だけ書きます。

特殊な状況を除き、低音は高音よりも「時間的」に遅れてスピーカから出て来ます。

入力(ソース信号)に対する出力(スピカの音)の遅れ度合は、位相的にも時間的にも、最もシンプルな密閉型フルレンジ システムで最小であり、システムにバスレフのヘルムホルツ共鳴やアナログ フィルタを追加すればするほど、スピーカから出てくる音の位相は入力信号に対してどんどん遅れます。

我々は、音楽のリズムを音と音の時間的間隔として感じ取り、メロディを音階(周波数)の時間的変化として感じ取ります。様々な周波数を含む音現象について考える場合、個々の周波数の「位相」ではなく「時間」を基準とする必要があります。

ヤヤコシー事言う前に実測波形をご覧に入れます。

これは、40Hzと5kHzの合成波の再生音響波形です。グレーのソース信号波形では40Hzと5kHzの信号が同時に発生します。赤はDACのデジタルフィルタを使った場合の音響波形、緑はプレートアンプ内蔵アナログフィルタを使った場合の音響波形です。どちらも、5kHzの音は殆ど「時間的」に遅れる事なく出て来ますが、40Hzの音は遅れて出て来ます。その遅れ度合は、アナログフィルタを使った方(緑)が大きくなっています。緑の波形の最後の方を見ると、5kHzの音は先に終わって40Hzの音だけが綺麗に残っている様子が分かります。なんだか気味ワルイですね。

あとはヤヤコシー話ばかりです。適当にスルーしてください。

次に、100Hzと1kHzの1サイクル正弦波信号を使ってシンプルに考えて見ます。
ここでは振幅1の100Hz信号と振幅1/2の1kHz信号を想定します。位相はどちらもソース信号から90°遅れているとしましょう。
下は横軸を角度としてプロットしています。
10 100 角度
赤が振幅1の100Hz、青が振幅1/2の1kHzです。グレーは信号波形です。位相はどちらも90°遅れですから、横軸を角度にしてプロットすれば、波形は同じ位置にあります。角度を基準にして見れば(つまり位相は)、どちらの周波数も同じ遅れ具合に見えるという事です。

下は横軸を時間としてプロットしています。
10 100 位相
時間でプロットすると、1kHz信号の遅れは非常に小さくなります。このように、位相角度は同じでも、高音の遅れ時間は周波数に反比例して短くなります。つまり、同じ位相的遅れを持つ100Hzと1kHzの信号を同時に入力すれば、先に1kHzの音がスピーカから出て来るという事です。

このようにして、低音は高音に対して「時間的」に遅れます。

しつこいですが、もう一例考えて見ましょう。
50Hzが180°遅れ、5kHzが270°遅れている(つまり高音(5kHz)の方が180°遅れている)場合の遅れ時間を計算すると、
50Hzの1周期(360°)は20msですから180°の遅れは、20ms x 180°/360° = 10msです。
5kHzの1周期(360°)は0.2msですから270°の遅れは、0.2ms x 270/360 = 0.15msです。
つまり低音(50Hz)がスピーカから出てくるタイミングは高音(5kHz)に対して8.5ms(距離にして約3m)遅れます。

複数の周波数が混じり合った現象(例えば、低い音と高い音、ドッチが遅れるの?といった問題)を考える場合、個々の周波数の位相情報はソノママでは使えません。何故ならば、位相値の基準である1周期(360°)の長さは周波数によって異なるからです。従って、このような問題は共通の基準である「時間」を軸に考える必要があります。

下は、2つ前の記事のバスレフ(フィルタなし)のシミュレーション結果から読みとった位相を基に作成したグラフです。
遅れる進む
シミュレーションのグラフの縦軸は上が進み/下が遅れでしたが、このグラフは逆にしています。すなわち、プロット値が高いほど「遅れ」ます。ややこしくてゴメンナサイ。
左軸-赤のプロットが、シミュレーションから読み取った位相(角度)です。高音ほど位相は遅れます。右軸-青のプロットは、位相角度から計算した遅れ時間です。低音の方がタイミングが遅れる事がわかります。

と、以上が「位相と時間」のお話しでしたが、位相に関しては、もう1つ注意すべき点があります。
それは「ナニを基準に考えるのか?」という事です。

よく音響関係では、位相は相対的な関係しか示さず絶対的な基準はナイ。。。とされ、グラフもそのように適当にプロットされます(±180°折り返す)。これがハナシをややこしくします。僕も随分悩まされました。

以下に示す模式図は、随分以前の記事(コチラ)に掲載したものですが、2つ前の記事のシミュレーション結果と照らし合わせながら見ると良く理解できます。

下図は密閉型の位相変化を模式的に示しています

このグラフでは、シミュレーションの図と同様に下方ほど位相が遅れます。注意してください。
密閉型では位相は-180°回転し、共振ピークでの位相は-90°です。破線は吸音材を大量にブチ込んだ状態です。ここでは気にしないでください。

下図はバスレフ型の位相変化を模式的に示しています。

インピダンス ピーク1つあたり-180°回転し、低周波側ピークの位相は-90°です。ヘルムホルツ共鳴点の位相は-180°、2つめのピークの位相は-270°です。周波数が高くなると位相は360°に漸近します。

下図はバスレフにアナログフィルタを追加した状態です。
バスフィル
アナログフィルタによって位相はさらに-180°回転します。カットオフ周波数(実線では300Hz)での位相は-90°回転します。従って、360°回転するバスレフ型と組み合わせた場合、クロス周波数での位相は-450°回転します(遅れます)。そして、高周波側で-540°に漸近します。破線はカットオフ=100Hzの位相を示しています。カットオフをスピカの共振周波数近くまで下げると、このように位相が急激に回転します。

このような位相グラフを見る場合、考え方の基準を「限りなくゼロに近い周波数」に置く必要があります。つまり、グラフのずーーーと左の果ての位相が基準です。周波数が限りなくゼロに近付くと、位相の回転も限りなくゼロに近付きます。この状態を「遅れナシ」の絶対的基準状態として考える必要あるという事です。つまり、これがソース信号の位相です。重要なのは「入力(ソース信号)に対する出力(スピカから出てくる音)の遅れ」ですからね。

高音側を基準に考えると間違います。僕も以前は間違って考えていました。
進んだ
高音側を基準にして密閉型(ピンク)とバスレフ+フィルタ(緑)の位相曲線を重ねて見ました。これを見ると、バスレフやフィルタによって「低音の位相が進む」ように見えます。
僕は実験屋なので、まず理屈抜きの現象として低音が「時間的に遅れる」という事を波形観測から知っていました。このため、グラフの縦軸を上下逆に読む(上が遅れると読む)という間違いを犯しました。

正しくは、上で述べた「遅れナシ」(つまりソース信号の位相)を絶対基準として考える必要があります。入力に対する出力の遅れを見たいワケですからね。
実は遅れた
そうすると、上図のようにアナログフィルタやバスレフによって位相は全体的に遅れます。

ただし、これはあくまでも「位相角度」です。「時間的遅れ」を表すものではない事に注意が必要です。一般的に高音の位相は低音に比べて遅れますが、時間的には高音の方が進む(低音の方が遅れます)。アーヤヤコシイ。。。。

密閉型に吸音材をタップリとブチ込み、前記事に書いたように位相が実質的に全く回転しないデジタルフィルタを使えば(つまりシステムの共振現象を殆ど無くせば)、こんなヤヤコシー問題に頭を悩ます必要は無くなります。

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2013年01月11日 (金) | Edit |
前の記事に関連して、低音の遅れについて書きます。

下はZAP 2.1で計測した波形です。
位相遅れ
グレーがソース波形(DAC出力)、赤がスピーカからの音響波形です。ソース信号は40Hzと5kHz正弦波の合成波です。40Hzが4周期ですから、信号の長さは100msです。信号の前後には、基準信号として急峻なパルスを挿入しています。FrieveAudioの補正はOFFです。なお、Alpair 6M単独でも計測しましたが、遅れ量はピッタリ同じでした。さすがデジタルフィルタですね。

赤のスピーカ出力を見ると、5kHzの音はソースに対して「時間的に」ほとんど遅れる事なくスピーカから出力されるのに対し、40Hzの音は約135°(約9ms)遅れて出て来る事がよくわかります。信号の最後の方を見ると、5kHzの音が止まっても、40Hzの音はまだ続いていますね。このように、ソースでは5kHzと40Hzの音が同時に発生していても、スピーカからは40Hzの音が「時間的に」遅れて出てきます。なお、以前のデータによると、アナログフィルタを使った場合、40Hzの音はこれの約2倍(約270°/約19ms)遅れて出てきます。

下図は遅れの異なる正弦波を並べたものです(実測音響波形ではありません)。
phase_20130111022250.jpg
左端の位相角度値の下の時間値は40Hz(25ms/cycle)を想定した場合の値です。黄色は上図の波形に相当する100msの区間です。一番下のように40Hzが5kHzに対して720°遅れた場合、半分の50msが過ぎてからやっと40Hzの音が出てきます。つまり、5kHzの音がピーっと鳴り始めてから50ms後に40Hzの音がボーっと鳴り始めるという事です。

次に、右の方の白い領域を見てください。0°、360°、720°は全く同じ位相に見えます。また、180°と540°の位相も全く同じです。このように、定常波形(波形の始まりと終わりが無い一定状態の波形)を観測した場合、360°を超える「時間的」遅れは正しく認識できません。実際には360°または720°遅れていても、全く遅れていないかのように見えてしまうという事です。

このため、よく見かける位相特性のグラフは、0°を中心に-180~+180°のスケールで示され、値が+180°に達すると-180°に折り返してプロットされます。下は以前の記事で紹介したYAMAHAのPA用スピーカ(2Way バスレフ型)の位相特性図です。
AEE5163A834841E0BAF166DA0B2842D5_12083_20130111024621.jpg
左がアナログフィルタ、右がデジタルフィルタによる特性です。このグラフでも、プロットは-180と+180°の間で折り返していますね。しかし、これでは現象の絶対的な遅れ時間を見る事はできません。そこで、以前の記事では下図のようにグラフを改造しましたよね。
phase_20130111024621.jpg
このグラフから5kHzと40Hzの絶対的位相差を読み取ると、アナログフィルタの場合700°弱、デジタルフィルタの場合360°弱遅れる事になります。僕のいつものシミュレーションより遅れ方が随分大きくなっています。

下はいつものシミュレーション結果です。
まずFOSTEXドライバによる2Wayバスレフ型の結果
fos_20120129095422_20130111031058.jpg
このグラフでも位相(緑)は折り返して表示されるため、上と同じ方法で絶対的な遅れがわかるように改造しています。これによると5kHzに対する40Hzの遅れ進みは約540°です。

次にAlpair10密閉型の結果
A10_20130111031058.jpg
遅れは120°くらいでしょうか。

以上のように、小型スピーカとしては最も一般的な2Wayバスレフ型ではアナログフィルタとバスレフポートによって低音の遅れ位相の変化が増加します。3Wayや4Wayではどうなるのか、興味深いですね。

では、どの程度遅れると聴覚で感じる事ができるのでしょうか? 例によってネットで調べてみたところ「リズム知覚の基礎としての時間知覚に関する精神物理学研究」という非常に興味深いサイトを見つけました。是非ご一読ください。
関係しそうな内容を抜粋すると、
[1.時間分解能]の項目から
高さや、到来方向の異なる二つの音に、時間的なずれを与え、どのくらいのずれがあれば前後関係が正しく知覚されるかを検討した。その結果、充分に訓練を積んだ被験者では、20 ms くらいのずれがあれば、前後関係がぎりぎりで判断できることが判った。
[2.リズムを生ずる時間間隔]の項目から
二つの音が 40 ms 程度離れていれば、その前後関係がはっきりと判るので、部分的には 40~100  ms くらいの時間間隔も、リズムを構成する単位となりうる。
とあります。これに従えば、上のYAMAHAのアナログフィルタ型2Wayバスレフのようなスピーカ(700°/約50msの遅れ)では、ピー(5kHz)に対するボー(40Hz)の遅れを十分に知覚できるという事になります。グルーブ感とかスイング感等のノリは非常に微妙なリズムの揺らぎによって表現されるので、こういうSPでジャズは聴きたくないかなぁ。。。周波数によって遅れ具合も大きく変化するため、僕なんか酔ってしまうかもしれません。

また、人間の視覚的な時間分解能は30ms程度であると言われ、聴覚も視覚もほぼ同程度の時間分解能となります。この事から、人間は時間を完全に連続的に知覚しているのではなく、30ms前後の分解能で離散的に知覚しているのではないかと言われています。僕が音楽帯域の現実的下限周波数と考える40Hzの1周期は25msです。この事から、一応の目安としては、40Hzにおける遅れが360°以下であれば、時間的遅れの観点からはまずOKであろうと言えるかもしれません。あ、でも、僕はフルレンジのバスレフ型(位相回転は360°以内)でも違和感を覚えるので、これも何とも言えないですねぇ。やなり、僕が懸念しているもう1つの問題要因「狭い周波数領域での急激な位相変化」がどのように音楽の知覚に影響するのか?という疑問は残ります。なお、例えば100Hzでは720°遅れても時間的遅れは20msですから、これより高い周波数での時間的遅延はあまり気にする必要は無いかもしれません。

前の記事に書いたように、音楽は一時も留まらない過渡的現象です。ですから、定常的な波形解析だけで装置の性能を評価するのは非常に危険であると言えるでしょう。とはいえ定常的な評価ももちろん重要です。例えば、位相の違いが音色に及ぼす影響については、複数周波数の合成波を生成し、位相を変えながら聴き比べてみるとおもしろいかもしれません。下はWaveGeneというフリーソフトウェアを使った例です。
wave.jpg
wave2.jpg
このソフトウェアでは、3つの波形を合成でき、その内1つの波形の位相を変更できます。上の例では200Hz、400Hz、600Hzの合成波を生成し、200Hzの位相を変更しています。位相を変更すると波形は全く異なって見えますが、僕には同じ音色に聞こえます。以前から言っているように、僕は高い周波数における位相問題が音色に及ぼす影響については重視していません。敏感な人なら聞き分けられるのでしょうか。WaveGeneはコチラでダウンロードできますので、興味のある方は是非試してみてください。

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2012年10月08日 (月) | Edit |
お約束通り、再生音の付帯的現象に関するデータをご紹介します。

音の付帯的現象に問題の多いバスレフ型を題材とし、下記の内容で2回にわけて書く予定です。
1回目: 箱内部の定在波とポート自体の共振音の影響と吸音材の効果
2回目: バスレフ型における応答の遅れ

いずれもTONO君(Alpair 6P、7L)を使って一連の計測を行いました。現象をシンプルにするために、ポートは前面のスピーカのすぐ近に配置しました。

おなじみのシミュレーションです。
シミュレーション
約60Hzを同調点としました。

約30cm前方での実測値です。吸音材は一切入れていません。
20cm F特
青が密閉、赤がバスレフです。相変わらず計算とよく一致しています。50Hzで-6dB程度ですから10~13cmウーハを使った市販の小型2Wayクラスに相当します。バスレフ効果は同調点(60Hz)で7~8dB程度です。なお、4~5kHzの盛り上がりはドライバ固有の特性です。

緑は密閉型をベリンガのグライコでブーストした特性です(63Hzバンドを約+7dB)。以前にも書きましたが、密閉型をトーンコントローラ等でチョイト6dB程度ブーストするだけでも、ロールオフ周波数をバスレフ型並に下げる事ができ、しかもバスレフ型よりもなだらかな減衰特性が得られます。

図中の黄色の帯は、ポート自体の最初の(基本モードの)共振領域を表しています。上のシミュレーションの「ポート出力」曲線(青)の最初のポート共振領域(約800Hzから約2.5kHz)に対応します(実際の周波数は、シミュレーションよりもやや低めです)。詳しくは後で説明します。2本の赤の縦線は箱の定在波の周波数です。低い方は箱の前後と左右壁(ほぼ同じ)、高い方は上下壁による定在波に対応します。

それでは詳細なデータをご覧ください。

1. ポートからの音
まず、どのような現象が起こっているのかを、ポート前方3cmの位置で計測したデータで見てみましょう。
a)吸音材なし
ポート吸音材なし
黄色が最初のポート共振領域です(ディップからディップ、シミュレーションよりもやや低め)。この領域に箱の定在波のピーク(赤の2本の縦線)が重なっています。

b)吸音材を3面にはる
ポート吸音材3枚
最小限の吸音措置として、吸音材(ミクロンウール)を3面にだけはりました。この状態では、肝心のバスレフ効果はほとんど低下しませんでした。データを見ると、定在波の急峻なピーク/ディップが明らかに減少してる事がわかります。しかし、最も面積の広い上下壁の定在波の影響はまだ残っているようにも見えます。また、ポート共振領域(黄色領域)の盛り上がりは残ったままです。

C)ポート塞ぎ/吸音材たっぷり
ポート吸音材たっぷり
マイクロフォンはポート前方3cm位置ですが、ポートを粘土で完全に塞いでいます。従って振動板だけの音です。上の2つのグラフには振動板からの音も多少含まれています。

2. 振動板からの音
今度は振動板の前方約3cmにマイクロフォンを置きました。
a)密閉/吸音材なし
振動板 吸音材なし密閉
b)バスレフ/吸音材なし
振動板吸音材なし
c)バスレフ/吸音材3面
振動板吸音材3枚
d)密閉/吸音材たっぷり
振動板吸音材たっぷり

振動板前面では、密閉もバスレフも付帯音の大きさはあまり変わらないように見えます。また、吸音材を3面にはると定在波のピークが明らかに減少します。それでも、前後/左右の定在波の影響はわずかに観測できます(左側の赤線)。上下壁面の定在波(右側の赤線)がほとんど観測されないのは何故でしょうか??ポート音では、吸音材を3面にはっても上下の定在波はしつこく残ったように見えたのとは対照的です。ポチ箱とも傾向が異なるため、とりあえず謎のまま保留。

3. 両方の音の計測
今度は、マイクロフォンを少し離して、振動板+ポートの音を計測しました。マイクロフォンはスピーカのセンターではなく、ポート側に少しオフセットしています(両方の音をほぼ均等に拾うため)。最初にお見せしたF特グラフではプロットがギザギザ過ぎてみにくいため、約15cmの距離で計測しています。
a)密閉/吸音材なし
吸音材なし密閉
b)バスレフ/吸音材なし
吸音材なし
C)バスレフ/吸音材3面
吸音材3枚
d)密閉/吸音材たっぷり
吸音材タップシ

ポート共振による比較的広い周波数領域の盛り上がりと、内部定在波による比較的鋭いピークから成る付帯音成分がはっきりと現れています。上の振動板直前で測定した結果とは異なり、吸音材なしの密閉型とバスレフ型を比べると、バスレフ型の方が付帯音成分が明らかに大きい事がわかります。これは密閉型には皆無であるポートの共振音が発生するのと、ポートから箱内部の定在波を含む音が放出されるためであると考えられます。吸音材を3面にはると、定在波のピークはそれなりに減少しますが、ポート共振による盛り上がりはそれほど改善されません。吸音材たっぷりの密閉型では、そのような鋭いピークや盛り上がりがほぼ平坦になっている事がわかります。1.3kHz近辺の凹みは原因不明ですが、部屋の影響ではないかと思われます。

4. 考察
今回の計測データは以上です。

このように、バスレフ型ではポート自体の共振音が生じる事と、穴からボックス内部の音が漏れる事により、密閉型に比べるとどうしても付帯音が多くなります。定在波は吸音材を使って容易に低減できますが、バスレフ型の場合、肝心の共鳴効果を十分に確保するために吸音材は最小限に留めたいところです。そう考えると、バスレフ型では、箱形状の工夫による定在波の低減が非常に効果的ではないかと思います。対して、密閉型であれば、直方体の箱であっても、吸音材を大量に充填する事により、定在波の影響をほぼ完全に抑える事ができます。

肝心のバスレフ共鳴効果を得るには、ポートは必ず筒として働く必要があるため、ポート自体の共振音を抑制する根本的な方法は無いでしょう。なぜならば筒としての特質が無くなれば、肝心の共鳴効果も無くなってしまうからです。

また、今回のように、ポートの最初の共振領域と定在波が重なってしまうのも良くないかもしれません。箱の寸法は、容積が決まれば、見た目のバランスもあるため、それほど極端にプロポーションを変える事はできないでしょう。しかし、共鳴周波数を変えずにポートを「太く/長く」するか「短く/細く」する事により、ポートの共振周波数を移動する事は可能です。ただし、太く/長くすると、下図のようにポート共振の音がより盛大に出てしまうため、注意が必要です。

シミュレーション2
同調周波数を約60Hzに維持したまま、ポートを極端に太く長くしました。この場合、ポートの共振周波数を低周波側へ移動できますが、共振音のレベルが上がってしまいます。

逆に細く/短くすると共振音のレベルを下げる事ができますが、風切り音に注意が必要でしょう。。と考えれば、結局それほど選択の自由度はないかもしれません。箱の形状を工夫して定在波を極力抑えた上で、風切り音が問題にならない範囲でポートをできるだけ細く短くするというのが最良の手かもしれません。また、設置条件によっては、背面ポートにした方が耳に届くポートからの付帯音を低減できるかもしれません。ただし、背面ポートの場合、設置場所によって低域の特性が変化しやすいといった問題を抱えます。ちょっとした家具の上等に気軽に設置する事はできぬでしょう。本来、コンパクトなスピーカほど、設置自由度は高くあるべきだと思います。

なお、ウーハーのローパスフィルタのカットオフが十分に低く(たとえば100Hz以下)かつ十分に急峻であるために、ウーハーの出力帯域が箱定在波周波数にもポート共振周波数にも重ならない場合、以上のような付帯音問題は基本的に解消されます(起振源がなくなる)。従って、僕が常々提唱しているように、密閉型小径フルレンジ(あるいはワイドレンジツイータ)を基本とし、そのロールオフ領域だけを別のウーハーに受け持たせる場合、バスレフ型であっても付帯音的な問題は深刻ではなくなるでしょう。しかし一般的な市販大型マルチウェイの場合、38cmウーハーでも700~800Hzでクロスオーバし、当然箱のサイズも相応に大きい(すなわち定在波周波数は相応に低い)ため、定在波問題を逃れる事はできないでしょう。

バスレフ型は、このような付帯音以外に、応答の遅れが生じるという問題を抱えています。次回は、そのような問題によって生じる現象について、計測データを交えながら考察を加えたいと思います。オッタノシミニ!

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2012年10月05日 (金) | Edit |
今回は、主にスピーカによる付帯的な音の現象について書いてみます。

僕は「音質」をシューチューして聞き分けるのではなく「音質」なんか気にせずに「音楽」を聴いている時に「気に障る」(違和感を覚える、不自然に感じる、不快に感じる、聞こえ難く感じる)現象を重視します。「オンシツ」を聞き分けたり「ツイキュー」したりするのが目的ではなく「音楽」を快適に聴けるようにする事が目的だからです。「オンシツ」を「シューチュー」して聞き分けている時の聴き方と、「オンシツ」なんか全く気にしないで「聞く」という意識が遠のいて無意識に「音楽」を追いかけて楽しんでいる時の聴き方は基本的に全く異なるように思えます。だいたいライブで聴いている時にナンチャラカンたらテーイたらクーキカンなんざ気にしないですよね。それと同じです。当初、この点がわからず、無駄な試行錯誤をたくさんしてしまいました。

そのように「音楽」を聴いている時に気に障った現象をコツコツと潰してきた結果が現在のZAPシステムです。「気に障る成分」とは、大雑把に言って「ソースには含まれていない余分な音成分」または「ソースとは異なる(ソースから歪んでいる)音成分」です。それらの成分が過剰に含まれていると「音楽」が聴き辛くなるという事です。考えてみれば当然の事です。ソースに記録されている「内容」を楽しもうとした場合、ソースとは異なる成分は端的に言って「ノイズ」だからです。

僕が「付帯音」と言う時、それは主に前者「ソースには含まれていない余分な成分」の事を指します。これには、箱内部の定在波が振動板の前面に透過(伝播)してくる音、箱の表面振動によって放射される音、箱の振動が床や机に伝わって放射される音、バスレフポートの筒自体の共振音、ポートから漏れる内部定在波の音が含まれます。特に、定在波やポートの共振音等、一定周波数の付帯的音成分は長く聴いていると、凄く気になりだします。

例えば、吸音材を入れないと、「音楽」を聴いているうちに、特にピアノソナタで、一定周波数の「コーーーー」という地下鉄で聞こえるようなというかなんというか、気に触る音の癖が耳につき始めます。これはハチマル用語で「箱臭い音」と呼びます。

もう1つの「ソースから歪んでいる音成分」には、主にスピーカの出力特性のロールオフによる低音不足、部屋の定在波による主に低音部の周波数特性の乱れ(ピーク/ディップ)、バスレフポートによる恐らく過渡応答的な波形の乱れが含まれます。前回の記事で書いた位相の遅延による影響も後者に含まれますが、少なくとも僕のフルレンジ+密閉型システムにおいてはそれほどクリティカルであるとは思えません。

例えば、僕はジャズを聴く時、常に半ば無意識にピチカートベースの音を追いかけますが、バスレフ型でずっと聞いていると不自然さが気に障りだして結局穴を塞いでしまいます。また、交響曲の低音部で時々遅れて聞こえるようなボーといういつも同じ音程の変な音が気になりだします。

上記のような現象は、僕の場合、いずれも短時間のシチョー(試聴)ではあまり気になりません。

「気に障る成分」を2つに分類しましたが、これらは結局「ソースの信号波形にソコソコ近い音を耳に届けられれば「音楽」は聴きやすくなる」に帰結します。マニア達がツイキューするいわゆる「良い音?」になるのではありません。そこに記録されている「音楽」が自然な音で聴きやすくなる、そこに記録されている「音楽」の全体と細部をより楽に聴き取れる感じ取れる楽しめるようになるという事です。

そのようにして現在までに施した具体的な対策を以下にざっと上げてみます
○ ニアフィールドリスニング(部屋の影響の低減)
○ 密閉型(低音のたぶん単純な遅延ではなく動的挙動の改善、付帯音の低減)
○ 吸音材たっぷり(付帯音の低減、恐らく低音の動的挙動の改善)
○ 箱のアホみたいな補強(そこまで必要かは不明、たぶんヤリスギ)
○ DSPやアナログイコライザによる低音ブースト
○ 密閉型パワードサブウーハによる低音補強
○ DSPやアナロググライコによる特性のフラット化、ピーク/ディップの緩和
○ スピーカをデスクトップに置かずに窓枠に固定
○ 左右SP間距離を縮めるまたはモノラル化(おそらく左右間の干渉の低減)

これらの対策のおかげで、最近は音楽を聴いていて気に障るところも無くなったためネタ切れ状態です。低ビットレートのラジオを聴くために真空管アンプを復活させた事くらいでしょうか。。。。TONO君用のTU-870をオークションでお安く落札しました。結局これが一番安上がりですね。

真空管アンプを使うという事は、歪みを付加している事になるわけですが、これはあまり気になりません。恐らく箱の定在波やポートの共振音とは異なり特定周波数だけに発生する共振現象ではないからだと思われます。楽曲によっては聴きにくく感じる事もありますが、低ビットレートのラジオを聴くにはとても効果的なような気がします。

次回は、付帯音に関連する計測データをいくつかご紹介できれば。。。と思います。キガムケバ。。。

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2011年05月06日 (金) | Edit |
もう少し部屋が広ければ欲しいなぁ。。と思うのがJBLのコントロールモニタ(43###)シリーズです。音質がどうのこうのというのでは無く「カッコイー」から。オトコノコ心をくすぐるメカッポさというか。。。特にグレーの4311なんか欲しいですね。1本だけで良いのだけれど。モノラルで十分。

520_20110506212148.jpg
4311 こいつが1台だけ欲しい

さて今回はJBLモニターシリーズをネタにしてバスレフ型のサイズと周波数特性の関係についてチョコッと考察してみます。

下はカタログデータです。容積は外寸から推測しました。
796.jpg
もし本当に30Hzまでほぼフラットに再生しようとすると38cmウーハーと100Lを軽く超えるボックスが必要だと言う事です。ここに「低音出るスピーカ」= 「デカイ/高価」という古典的ヒエラルキーが産まれます。しかし、「音楽再生装置」にとっての可聴帯域下限近くまでの再生というのは、自動車にとっての「安全に走る/曲がる/止まる」と同じ基本的要件のはずです。すなわち、大きかろうが小さかろうが、キチント低音を再生できてこそ「音楽再生装置」と呼べるという事です。と、それはさておき。。

下図はシミュレーション結果です(4319は4312とサイズ的に同じなので省略)。
797.jpg
ドライバにはデータベース内のテキトーなJBL製ウーハー(30cmと38cm)を選び、容積と-6dB周波数(カタログ値)に基づいてポートを適当に設定しました。まあ、ごく大ざっぱな計算として見て下さい。吸音材は全て「普通」です。ついでにAlpair 6Pのハチマル最終バージョン(容積11L、ポート:φ34 x 70mm)も載せました。

JBLの計算結果を見ると、いずれも綺麗な2山のインピーダンス曲線を描く典型的なバスレフ チューニングである事が分かります。当然ですが、ウーハー径が大きい方、あるいは同一径であれば容積が大きい方が低域が伸びています。

また、低域が伸びるモデルほど共鳴点が低周波側にシフトするため、低域の位相遅れも低減します。小容積のバスレフ型では共鳴周波数が高くなるため、低域が伸びないだけでなく、バスレフ臭さが強く出てしまうのは仕方ないところと言えるでしょう。今回のバスレフトライアルの経験から、共鳴点を50Hz以下に持って行ければ、バスレフっぽさもあまり気にならないのではないかという気がします。

さて、以上のように、30Hzまでフラットに再生しようとした場合、バスレフ型では38cm径のウーハーと100Lを大幅に超える巨大な箱が必要です。低域をたった20Hz延ばすのに如何に大きな代価が必要な事か。。。また、このようなスピーカーを使用できる恵まれた住環境と経済的余裕を持つ人は如何に希少な事か。。

なんでこんな馬鹿デカイSPが作られる(必要とされる)か?と言えば、それは本当に西洋音楽を楽しもうとすれば、そのような低音が聞こえる事が重要だからです(参考記事)。しかし小さい部屋で快適音量で聴きたい人でも、交響曲の低音部を聴こうとすると、こんな馬鹿デカイモンが必要になるというのは大変馬鹿げた話だとハチマルは思います。

普通の部屋で快適音量で日常的に音楽を楽しむ大多数の音楽愛聴者(オーディオ愛好者ではない)は、それなりのサイズのSPで不十分な低音で、何も知らされずに我慢しろ。。。というのが現在のオーディオ装置のあり方です。信号再生面での基本技術が十分に成熟した現段階において、これを解決して万人が安価に当たり前に何も知らなくても低音までキチント聴けるようにする事が「音楽再生装置」としての技術的最優先課題であろうとするのが普通の業界の技術者の考えるトコロだと思うのですが、どうもこの業界の目指すトコロは違うらしい。しかも、それは現在の技術レベルで容易に解決可能であるにもかかわらず。。。激しく違和感を覚えるのよね。ハチマルは。。また批判的になってしまった。この辺で。。。

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2011年05月05日 (木) | Edit |
バッフルが極小なせいもあり、かなりハイ上がりな特性となるため、これを修正すべくチューニングしてみました。デジイコで修正してしまえば問題ないのですが、iTuneでそのまま気軽に聴けるようにするために、素の特性をもう少しフラットにしようというのが狙いです。

以下はリスニング位置でのF特です(吸音材5x2枚)。
ポートを塞いだ状態
790.jpg
ポートを明けた状態
789.jpg
部屋が干渉して200Hzでディップが発生しています(振動板直前の音にもポート音にもこのディップは存在しない)。部屋の定在波シミュレーションでも200Hzに強いディップが再現されました。右側の壁が悪さしている見たいです。測定点の高さを少し下げるとディップは減少。とりあえず仕方ない。

上図のように、1k~5kでレスポンスが6dB程度盛り上がっており、高音が出過ぎに感じます。このような傾向は、ドライバの素の特性に加えてバッフルが極小である(というか無い)ために、より強まっていると考えられます。

最初のチューニングでは、吸音材を1枚、2枚、3枚と増やしたのですが、定在波がなかなか減衰しないので4枚を飛ばして一気に5枚にしてしまいました。下はその時のデータです。赤が吸音材なし、黒は1、2、3枚(x2)、緑が5枚(x2)です。
766.jpg
強い定在波が300Hzから1kHzで発生しています。この定在波を適度に利用して、この周波数領域の出力を少し持ち上げようというのが今回の狙いです。

下は、吸音材を左右で1枚ずつ減らした(4x2枚)時のリスニング位置での特性です。
788.jpg
良い感じになりました。狙い通り300~1kHzが持ち上がってハイ上がり傾向が緩和されました。さらに、200Hz以下の領域でもレベルが増加しています。これは吸音材を減らす事によってバスレフ効果が高まったためだと考えられます。イコライザ無しでも聴いてもハイ上がり感は随分和らぎました。

3つを重ね合わせました。
787.jpg

下は4枚x2のポート音です。
791.jpg
定在波の鋭いピークは十分に潰れていますが、300~1kHzの領域が全体的に盛り上がっています。1kHzより上のピークはポートの筒っぽ共振音だと思われますが、十分に低く抑えられています。

下はポートからマイクを内部に挿入して測定した内部音です。
792.jpg
直管部には吸音材を一切入れていませんが、管長手方向の定在波(300~1kH)以外の顕著な定在波は全く見られません。これは円断面である事と、スピーカー背面からの高域音が吸音材によって効果的に遮断されているためと考えられます。

塩ビ管って結構使えますね。これに比べると四角い箱は厄介です。スピーカーを四角い箱に入れるというのは、単に製作が楽というだけであって、音響的には「無謀」とさえ思えてきた。

次回はバッフルプレートの効果について調べてみたいと思います。

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2011年05月02日 (月) | Edit |
今回のバスレフ チューニングでの測定結果をご紹介します。

まずは吸音材を入れずにポートと振動板前方の近接音を測定しました。ポートと振動板が離れているので、近接して合成音を測定する事はできません。ポート径はφ34mmです。なお、以下の全ての測定は、左右のSPを直列接続した状態で実施しています。
765.jpg
黒がポート長70mm、赤が40mmです。凄まじい定在波が出ています。初めて音を出した時に愕然としたのも頷けます(こりゃ駄目かと思いました)。1/2波長ではなく1波長の定在波のようです。ポートの位置を中央ではなく左右どちらかにずらした方が良いかもしれません。共鳴周波数は容積11Lで計算にほぼ一致しました。

767.jpg
振動板前方数cmでの測定です。同調点では振動板の出力が低下します。振動板からも激しく定在波の音が出てきます。

10cmx10cmの正方形に切った吸音材(厚さ25mmのミクロンウール)を左右の両端に入れました。ポート長は40mmです。
766.jpg
768.jpg
赤が吸音材なしです。この状態から吸音材を1枚ずつ増やして行きました。1枚入れるだけで高周波放射音は大幅に低下しますが、周波数が低いほど吸音率が下がるため、300Hzの定在波を殺すには左右に5枚ずつ計10枚(厚さ計250mm)の吸音材が必要でした(緑のプロット)。しかし狙い通り、細い筒の両端にだけ吸音材を入れるため、全体の共鳴効果に対する吸音材の影響はそれほど大きくなく、共鳴効果は劇的には低下していません。以前試した小容積ボックスでは、吸音材を少し入れるだけで共鳴効果は激減しました。なお、ピーク点がやや高域側に移動したため、最終的にポート長70mmを採用する事にしました。

次に、約1m離れて合成音を測定してみました。ポート長は40mmです。
774.jpg
スピーカーをデスクの上に置いて、中央前方約1.2mで測定しました。部屋の影響が凄まじく出ています。50Hzの激しいディップは部屋の特性です。無響室が欲しい。。。
黒が密閉(ポート塞ぎ)、赤が吸音材なし、緑が吸音材5x2枚です。100Hz~50Hzのバスレフ効果は吸音材を入れてもほとんど低下していない事が分かります。

下が前方の壁に設置してリスニング位置で測定した状態です。距離は約1m。ポートは最終的に70mmを採用。
777.jpg
吸音材の詰め方を少し修正し、前記事の測定データよりも音量を上げて測定しています。青が中央のリスニング位置、赤がドライバの正面で測定した結果です。50Hz以下で急激に減衰する典型的なバスレフ型の特徴が見られます。なお、特性のディップは部屋の影響です。吸音材で各種付帯音を十分に殺しながらほぼ狙い通りの50Hzまでフラットな特性が得られました(JBLの30cmコンパクトモニタ4312等と同等)。これは主にドライバのサイズに対して余裕のある容積を選択したおかげです。

以上のように事前のシミュレーションと、チューニング中の簡単な測定によって非常に効率的に作業を進める事ができました。もちろんそこから先は聴感による微調整が必要ですが、計算と測定は基準となるスタートラインへ素早くたどり付くために非常に有効な手段だと思います。

追記
今のところ筒とエルボーは普通に差し込んだだけの状態です。接合部で振動を遮断する必要性はそれほど感じません。エルボーのバッフル直後のストレート部には、内側にエアコン用の穴埋めパテを貼って補強/制振/マス付加しています。バッフル板(というかリング)には厚さ9mmの合板を使用しました。塩ビ管は木に比べて響かず、爆音を望まないのであれば、肉厚が薄くても意外とそのままSP用に使えそうです。お安く手っ取り早く実験/製作するには好適かもしれません。ただし、基本は長細い筒っぽなので管の長手方向で激しく定在波が発生します。断面が円なので、管端にだけ吸音材を挿入すれば効果的に吸音できるようです。波長の長い定在波は吸音が大変なので、管を長くする場合には注意が必要です。

追記2
測定しやすいようにモノラル接続のままで聴いていますが、別にモノラルでもエーンチャウ??というのが正直な感想。かえって聞きやすいかもしれません。ステレオってホンマに必要なのか???

追記3
Frieve Audioを使用して45Hz~8kHzの範囲でフラット化と位相補正を適用したところ、少し残っていた臭さが抜けてぐっと音楽が聴きやすくなった。思いの外効果が大きい。やはりフラットな特性が最も自然で聞きやすいと思う。最低音域の締まりと重みはデスクトップの密閉型システムに及ぶべくもないが、完全にハチマルの許容範囲に入ったと実感できる。このような周波数特性の微妙な修正を機械的/電気的/音響的にチューニングするのは大変手間がかかるが、デジイコを使用すれば極めて簡単に良好な結果が得られる。軽くて明るい音調もバリエーションとしては良いかもしれない。たぶんこれでOKなのでステレオ接続に戻した。
778.jpg
イコライザ係数。これで50Hz~8kHzが完璧にフラットになる。バッフル板を大きくすればハイ上がりの度合を低減できると思うので、不要な板が見つかればそのうち実験してみる。

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2011年05月01日 (日) | Edit |
もうできてしまいました。一月ほど仕事しながら聞いてみて小修正を加えるかもしれませんが、恐らくほとんど変更なしでOKだと思います。今のところ例によって雑な実験君状態ですが、最終的には綺麗に色を塗って仕上げたいと思います(いつになるやら?)。

設置状態です。邪魔にならないように前方の窓の上の壁に固定しました(エアコンは壊れて使っていないので問題ありません)。
771.jpg
塩ビ管のサイズは呼び径100 (内径107mm)です。長さ1mのを買って来てそのまま使用しています。容積は左右のエルボーを含めて約11Lになります。もう1サイズ太い管を使いたかったのですが、近所のホームセンターでは売っていませんでした。呼び径100でもいざ購入の段になって、こんなゴツイモン狭い部屋に置きたくないなぁぁ。と二の足を踏んでしまいました。コンパクト好きのハチマルには、これでも十分に巨大に見えます。共鳴ボックスを左右で共有するので1本で済みますが、こいつを左右に1本ずつというのは完全に許容範囲を超えます。

お決まりのリスニング位置での周波数特性です。縦軸の1メモリは6dBです。
773.jpg
黒が密閉(ポート塞ぎ)、赤がバスレフ状態です。60Hz前後で約6dBのバスレフ効果を得ています。左右SPから耳までの距離は約120cm、左右スパンは約115cmなので、ほぼ正三角形の配置になります。SPは真正面を向いているので、高域の特性はかなり低下しますが、聴感ではそれほど高域不足には感じません。というか、1k~5kが盛り上がったややハイ上がり傾向なので、FrieveAudioの手動イコライザで1k以上を約6dB落とすと丁度良く感じます。自動音場補正は適用していません。

下はポート部です。実験君なので汚くてスミマセン。
772.jpg
ポートにはキッチンペーパーか何かの芯(紙の筒)をとりあえず使用しました(内径34mm x 長さ70mm)。風切り音対策としてポート出口の周りに厚さ約5mmのフェルト材を鉢巻きのように巻いています。LEANAUDIO以前にバスレフ型をさんざん試した時に発見したハチマルお薦めの方法です。もう一端にも同じ処理を施しています。共鳴周波数の正弦波を再生しながら調整すると効果がよく分かりますよ。お試しあれ。。。普段聴く上限以上のボリューム設定で50Hzの16ビット フルスパン正弦波を再生した時に変な風切り音が発生しない事を確認しました。太さ的には十分みたいです。

今回のトライアルで非常に大きな役割を果たしてくれたのが吸音材です。吸音材が皆無だと定在波が凄まじくてとんでもない音でした。こりゃ駄目かな?と思ったのですが吸音材を適量入れる事によって十分に対策できました。

という事で、正味半日ほどで結構エーンチャウという状態にできました。計算で十分に事前検討した上で簡単な測定で確認しながらチューニングすると非常に効率的です。ここから先は聴感による微調整の段階ですが、今回はほとんど修正なしでOKではないかと思います。過去に小容積(4L、2.5L)のバスレフ型ではどうしても満足できる音が得られなかった事を踏まえ、今回は容積に余裕を持たせたのが良かったのかも知れません。デスクトップの2つの密閉型システムに比べると当然低音の重みでは劣りますが、Alpair6 Pの明るくて伸びやかな音を楽しむにはベリグッドだと思います。左右で1つの共鳴ボックスを共有していますが、別段違和感も覚えません(定位感とか全然気にしないので分からないだけかも)。省スペース化にはなかなか良いアイデアではないでしょうか(1/2の容積で左右に割り振ったらエーンチャウって? それでは駄目なんですよ。密閉型だったら単純にそれでも良いのですが)。

次回から詳しい測定データをご紹介します。オタノシミニ。。。

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2011年04月30日 (土) | Edit |
今回はバスレフ型以外の、各種低音増強方式をシミュレーションで比較してみます。

共通条件はユニット「Alpair6 P」、容積「12L」、吸音材の量「普通」です。
12Lという容積は「共鳴管」モデルで「ざっと計算」(ソフトウェアのお薦め設定)した結果、容積が12Lになったので、全ての計算条件をこれに合わせたというだけです。従って今回の計算は各モデルごとに最適化していません。同一容積で比較した場合の大まかな傾向として見てください。

各グラフはクリックで拡大してご覧ください。

まずは密閉型
759.jpg
このソフトウェアでは密閉型の吸音材量を設定できません。その他のモデルの吸音材量は全て「普通」です。以下の各グラフでは、比較基準として密閉型の特性を黄色のラインで重ね合わせています。

バスレフ型
760.jpg
共鳴周波数を約50Hzに合わせています。黄色の線は密閉型の特性。

共鳴管(ストレート)
761.jpg
断面積変化のないストレートな共鳴管です(管径φ96mm x 長さ1700mm、容積約12L)。ソフトウェアのお薦め設定をそのまま使用しました。音道長が170cmですので、その4倍の波長(50Hz)が基本共鳴周波数となっています。200、400、600、800Hzに高次の共鳴ピークがかなり強く表れています。共鳴点(50Hz)前後の位相の変化はバスレフ型に比べるとなだらかです。

共鳴管(先細りテーパー)
762.jpg
音道長は170cmのまま、管径がφ132mmからφ66mmに絞られる先細りテーパー管を設定しました。容積はほぼ同じ12Lです。管長は同じですが、基本共鳴周波数が40Hz以下に低下しています。先細りにすると共鳴周波数は低域側へ移動するようです。また、高次のピークの振幅も大幅に減衰しています。共鳴点が低周波側へ移動したため、位相遅れも全体的に減少しています。ダラ下がりの低域特性を嫌って管長を短くすると前記事のペンシル型に近付き、位相遅れも増加します。このタイプをうまくチューニングすると、顕著な位相遅れを伴わずにダラダラとかなり低域までレスポンスを延ばす事ができるかもしれません。そのへんが欧米のDIYビルダーに好まれる理由かもしれませんね。この方式はバックロード型を逆に使用すると簡単に試せます。ハセヒロ工業さんではコンバート用のバッフルプレートもオプションで販売しています。

蛇足ですが、欧米のDIYビルダーはスピーカー内部にコイルと抵抗を組み合わせた緩やかな高域減衰回路を平気で組み込みます。これにより低域のレベルを相対的に引き上げようというのが狙いです。あるいはバッフルステップ修正用の回路を組み込む場合もあります。日本人ではまずやらないですよね。ハチマルなんかデジイコでやりゃしまいじゃん。と思うのですが。

共鳴管(先太りテーパー)
763.jpg
今度は逆にφ66mmからφ132mmに拡がるテーパー管を設定しました。長さと容積は上記2例と同じです。まず、ホーン効果によって全体の音圧レベルが増加しています。基本共鳴周波数は先細りとは逆に高周波側へ移動します(約65Hz)。高次のピークはストレート管ほど顕著には表れませんが、全体的なレスポンスの変動幅は先細りよりもかなり大きくなっています。

バックロードホーン
764.jpg
音道長と管径は上記の先太りテーパー モデルと同じ値に設定しました(ソフトウェアのお薦め設定でも似たようなものです)。ただし、こちらはエクスポーネンシャル形状です。チャンバー容積はソフトウェアのお薦めを採用しました。200Hz以下の低域特性は先太りテーパーとほとんど同じですが、ホーンからの高周波放射音が減衰しています。これはバックチャンバーの効果だと思われます(試しにチャンバー容積を0Lに設定して確認)。また、低域の位相遅れも緩やかです。この方式で低域限界を延ばそうとするとかなり大型になると思われますが、ホーンから出てくる元気な中低域音が真骨頂というところでしょうか。欧米のDIYフォーラムではこのタイプをあまり見かけませんが、日本のDIYビルダーの間ではこのタイプの人気が非常に高く、お国柄が顕著に出ていて興味深いですね(形状的に真逆ですもんね)。

という具合に、各種低域増強法には長短があって、悪い癖を抑えつつ良いところを引き出すというのがビルダーの腕の見せどころという事でしょう。また、それぞれの音の癖によってリスナーの好みも分かれるのだと思います。大手メーカー製スピーカーの圧倒的大部分はバスレフ型か密閉型ですが、癖のない無難な特性とサイズ的制約からそこに落ち着くという事だと思います。

ハチマルが提唱する小容積密閉型を基本とするデジタルブースト方式またはパワードウーハー方式は、それらの癖を徹底的に取り除きつつ位相乱れのないフラットな低域レスポンスを確保する事により、記録されている音楽作品のオモシロミを最大限に楽しむ事を目的としています。従って、独特の癖による音のオモシロミは全くありません。そのへんを物足りなく感じる人には全くツマラナイ方式だと思います。また、上記の各種方式に比べて容積を極端に小さくできるという利点も備えます(Alpair6の馬鹿ブーだと2.5L、Alpair5パワードウーハー方式で4L、ケロはチャンネルあたりたった0.4L)。

追記
今年の連休はどこにも行かず、基本的にお仕事とバスレフ製作にあてる予定。ムスコ(中3)も受験準備だし(勉強半分、スポーツ推薦狙い(幅跳び)半分で未だどっちつかず)、自転車仲間とのお伊勢参りツアーも地震で立ち消え。。自粛過剰は良くないと言われますが気分的にどうもドンチャンやる気がしません。今年は近所で飲むだけ。

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2011年04月27日 (水) | Edit |
今回は、もう一度容積を見直してみます。

下図は、今のところ標準的と考えている8Lでの計算結果です(クリックで拡大してご覧ください)。
747.jpg
ポート径φ34mm/ポート長80mmで約50Hzの共鳴周波数が得られています。吸音材は「なし」です。

容積を20Lまで増やしてみました。共鳴点は同じく約50Hzに合わせています。
748.jpg
ポート径はφ34mmのままですが、ポート長は10mmしかありません(穴ですね)。この状態ではポート効果が出すぎです。

そこで吸音材を入れて調整してみました。
749.jpg
このシミュレーションでは吸音材の量を4段階に調整できます。上図では最大の「多め」に設定しています。この結果8Lの場合とほぼ同等の50Hzまでフラットな特性が得られます。箱を大きくしたのに低域特性が同等以下じゃぁ駄目じゃん。。てな事はありません。共鳴効果が緩やかになり、位相遅れも緩和されています。またポートからの高域放射音も低減しています。共鳴点以下の減衰の傾斜も少し緩やかになります。
このように大きな箱を使用し、吸音材の量で共鳴効果の強さを調整する事によって、バスレフ型が持つ独特の癖を和らげる事ができそうです。

容積20Lどうしで密閉型とバスレフ型(上図)を比較してみました。
751.jpg
典型的なバスレフチューニングではインピーダンス曲線が綺麗な2山になりますが、この場合のインピーダンス曲線は密閉型に似てきます。位相遅れは改善されたとは言え、密閉型に比べるとかなり遅れます。これはバスレフ型の宿命ですね。

前の記事で紹介した共鳴ボックス共有案を採用し、共鳴ボックスの容積を可能な範囲で大きくしてみるのも良いかもしれません。

こんな感じ?
751_20110427072744.jpg

追記
バスレフ型を検討しながら、こんな事を言うのもなんですが。。。
このようなデータを見ると、密閉型のままでアンプのトーンコントロール(例えば中心周波数50Hz)を8~10dB程度持ち上げるだけでバスレフ型と同等の低音特性が得られます。アナログフィルタの場合、位相は多少遅れますが、果たしてバスレフ型と比べてドッチがお得なのかなぁぁぁぁぁぁぁぁ?????と考えてしまいます。ましてやデジイコなら位相遅れ皆無ですし。。。そんなにイコライジングって嫌われ者なのかなぁぁ?????。。。フシギ。ふしぎ。不思議。。。コチラの記事も参照されたし。。

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2011年04月07日 (木) | Edit |
という事で、Alpair6 Pはオーソドックスなバスレフボックスで使用してみたいと考えています。

例の「スピーカー設計プログラム アプレット版」で検討したところ、6Pでは概ね7~9Lくらいで約50Hzまでフラットな素直な特性が得られそうです(6Mの場合は5 L前後の小さめの箱で同等の低音特性が得られる、関連記事)。以前購入したVictorのパワードサブウーハーの箱がちょうど8 Lくらいなので、こいつを実験用に利用しようと考えています。ちなみに、このサブウーハーが内蔵していたアンプは現在ケロ用に使用しています。

で、容積が決まったので、今回はポートの径と長さについて検討してみます。

同じヘルムホルツ共鳴周波数が得られるポート径/長さの組み合わせは無数に存在します。箱容積と共鳴周波数を一定とした場合、細くすると短くする必要があり、逆に太くすると長くする必要があります。

容積を8L、共鳴周波数を約53Hzに合わせて、3種類のポート仕様について計算してみました。

ケース1: 内径=4cm x 長さ=12cm
ケース2: 内径=2.8cm x 長さ=4.5cm
ケース3: 内径=2cm x 長さ=1.5cm

ケース1: 内径=4cm x 長さ=12cm
717.jpg

ケース2: 内径=2.8cm x 長さ=4.5cm
716.jpg

ケース3: 内径=2cm x 長さ=1.5cm
715.jpg

3つとも共鳴周波数がほぼ同じなので、得られる周波数特性もほぼ同じです。このシミュレーションは空気抵抗の影響を考慮していないのかもしれません。ポートが細くなると流速が上がって空気抵抗も大きくなるので、共鳴周波数が同じでも実際の出力に影響が出るかもしれませんのでご注意。。。。

さて、ここで注目すべきは、ポートから出てくる音の特性です(グラフの緑の線)。太くて長いケース1では、約1kHzにポート(筒っぽ)自体の共振ピークが発生し、そこから高域側に倍数周波数のピークが発生しています。この1発目のピークは、ポートを短く細くするにつれて高周波側へ移動し、そのレベルも低下します(ケース1では1kHz/67dBに対してケース3では4.5kH/36dB)。

このように、同じチューニング周波数でも、ポートを細く短くする事によって、ポート自体が発生する筒っぽ臭い音を抑える事ができます。また、バスレフ型の場合、十分な共鳴効果を得るには吸音材を最小限にせざるを得ず、箱内の定在波の音もポートから放射されるため、その意味でもポート径は小さめの方が有利かもしれません。

ただし、ポート径を小さくすると流速が上がるため、空気抵抗と風切り音の影響が無視できなくなる可能性があります。また、過渡特性にも悪影響が生じる可能性もあります。これは実際に使用する時の音量にも影響を受けます(音量が大きいとポートを出入りする空気の量が増える → 流速も上がる)。例えばドライバの限界近い大音量で聴く場合には、あまり小径にはできないかもしれません。しかし、控えめの音量でしか聴かない場合には、ポートをかなり小径にしても大丈夫かもしれません。市販製品の場合、当然限界近い音量での再生も想定してポートを選定せざるを得ませんが、自作の場合は自分の音量に見合ったチューニングが可能です。

という事で、近々バスレフのスタディを始めますのでオタノシミニ。。。

追記
この場合もそうだけど、最大音量をどこに見積もるかによって装置の設計は大きく影響を受けますね。たとえば馬鹿ブーストにしてもそうです。最大音量を制限する事によって音質面のみならず設計自由度が大きく広がります。そういう意味でもニアフィールドリスニングは極めて有利です。また、デジタル処理によって信号を制御する事により、使用条件を確実にハードウェアの限界以下に制限できるようになれば、ハードウェア側の設計自由度はさらに向上します。それには、信号入力から音響出力(スピーカー)までを含めたトータルなシステムコンセプトが必要なのは言うまでもありません。このようなコンセプトにより、「本質的」な「音楽再生クオリティ」の向上のみならず「コンパクト化」も可能です。まだまだ技術的にやることが一杯あると思うのだが。。。。

追記2
6Mは6Pよりもf0が低いが、6Pと同じ箱に入れて低域が伸びるのではなく、6Pよりも小さい箱で同等の低域特性が得られると考えた方が良さそうだね。

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2011年03月30日 (水) | Edit |
日本市場ではメタルコーン(6M)の控えめな高域がイマイチ受け入れられていないように見受けられます。設計者であるマークさん(Mr. Mark Fenlon)から下記のようなコメントを頂きました。ちなみに海外(たぶん欧米)ではMの方が人気があると以前聞いた事があります。

以下、マークさんからのコメントです

Alpair 6Mを比較的広いお部屋でご使用になっている日本の一部のお客様が6Mの高域にやや不足を感じておられるという事を伺いました。私は駆動系の設計によって6Mの高域を敢えて控えめにしています。これはA6Mをコンパクトなニアフィールドリスニングに適するようにと意図したためです。このようなアプリケーションでは、大部分のお客様がよりフラットな(訳注: 低域側に伸びたという意味だと思う)周波数特性を望まれます。また、高音がきつすぎないため、お仕事をしながらニアフィールドで長時間音楽を聴かれる方にも適していると思います。さらに、小容積ボックスに適するように6MではVasとQTSの値を低く抑えています。6Mは2m以内のリスニング距離で非常に良好なバランスを発揮します。

これに対して6Pはトラディッショナルな小径ドライバを狙って設計しています。比較的大容積のボックスに適合するようにVasとQTSを大きめに設定し、高域も延ばしています。ボックスの設計にもよりますが、6Pは広さが4mx4mくらいの部屋まで良好にご使用頂けます。私は6PをPencil 6型ボックスに組み込んで4mx7mの部屋で聴いています(真空管アンプを使用)が、特にクラシック音楽で非常に良い印象を受けます。とてもクリアでクリーンかつ小径ながら良好な低音が得られていると思います。


以上

という事で、僕が両方を試聴した上でデスクトップ用に6Mを選んだのも頷けますね。最近、A6Pを使用して大きめ(7Lくらい)のバスレフボックスのスタディに入ろうかと考えていたのですが、これもPの設計思想からして妥当な狙いだったようです。例によって「スピーカー設計プログラム アプレット版」を使用した計算結果をご覧ください。ポートを極端に細くて短くしていますが、これはポートの共振音(筒っぽ臭い音)を抑えるための対策です(短いと筒っぽ音は高域側に移動してレベルも下がる。でも細いので風切り音が問題になると思う)。

まずは6P。だいたい7Lくらいで50Hzまでフラットな特性が得られます。
710.jpg

このままドライバを6Mに変更しました。
711.jpg
共鳴点がポッコリと出てしまいます。ポートを延ばしてみましたが、ポッコリがそのまま低周波側へずれて100Hzと共鳴点の間が落ち込んでしまい、綺麗なフラット特性にはなりませんでした。

ドライバを6Mのまま容積を5Lに落としてポートを調整しました。
712.jpg
50Hzまで綺麗にフラットな特性が得られましたね。4Lでもそれほど遜色ありませんでした。

やはりマークさんの言う通り、6Mには小さめの箱の方が具合が良いようです。

追記
以前勤めていた会社の研究成果ですが、自動車室内音の感応評価を日本人と欧州人を対象に実施したところ、日本人は高域のシャープな音に対して比較的寛容であり(あるいは好感を持ち)、低域の唸りのような音を極端に嫌うのに対し、欧州人は高域のシャープな音を嫌う傾向が強く、また低域の唸り音に対して比較的寛容な(あるいはパワフルに感じる)傾向にあります。このため、以前の日本製乗用車は高域ノイズの遮蔽対策が比較的甘く、欧州人には好まれなかったと聞きます(最近の日本車はちゃんと対策されていると思う)。米国と欧州あるいは欧州内の地域や国によって多少傾向は異なりますが、日本人との違いに比べればそれらの違いは非常に微小です。他のアジア人はどうなんでしょうね(たぶん調査済みだと思います)。

6Mが欧米で好まれ、6Pが日本で好まれるというのも分かるような気がしますね。次回はバイノーラル録音で比較してみたいと思います。

追記2
「だから日本人向けオーディオ装置は低音をあまり重視しなくても良い」なんて事は考えません。そういう欧州人が築きあげた西洋音楽であればこそ、低音をしっかりと聴く事が西洋音楽を心底楽しむ上でムチャクチャ重要だとハチマルは考えます。

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2010年06月05日 (土) | Edit |
前々回の記事「音楽再生の基準てなんやろか?」では、ソース音の忠実な再生を妨げている最大の要因として、
1) スピーカーと耳の距離(すなわち部屋の音響特性の影響)
2) スピーカーの低域再生限界(特に小型スピーカーでは問題)
を挙げ、「敢えて追加するならば」の前置きをしてから
3) バスレフポートの音
を挙げました。これはデータによる検証ができていなかったためです。
1)と2)に関しては、このブログで度々測定データを紹介してきましたが、バスレフポートに関しては全くの聴感によるコメントしかできませんでした。そこで今回はデータによる裏付けを試みました。

前置き
僕はジャズのピチカートベースの聞こえ方を非常にというか異常に重視します。これはジャズを聴き始めた時からの癖なので仕方ありません。ピチカートはパルス音なので、バスレフ型では問題が表れやすいように思います。交響曲を聴く場合には僕もバスレフ型でほとんど問題を感じません。というのは楽器の音がほとんど連続音だからです。背面バスレフにすると若干響きが広がって、逆に良く感じる場合もたまにありました。一般的にポート音に限らず、パルス状の音に注目した方が音の変な癖を感じやすいような気がします。例えば箱の定在波の場合、僕はピアノの音に注目します。ストリングだけに注目すると、このような問題が分かりにくくなるか、あるいは逆に綺麗に響いて聞こえてしまったりします。

測定条件
スピーカー: 前の記事で使用したポチ1型+TangBand 8cmフルレンジ、ポートの設定も前回と同じ(同調80Hz)
音源: マイルスのアルバム「Miles Smiles」から「Foot Prints」のベースソロの4音 (ご試聴ください)。
この曲は、何か変えた時にまず最初に試聴する僕のリファレンス的な曲です。今回は冒頭のベースソロ4音だけ抽出しました。最初は正弦波信号で比較したのですが、それでは明確な差がでないため、実際の音楽信号を使用した次第です。

録音方法: 16bit/44.1kH WAV、モノラル、マイクロフォンはいつものパソコン用、マイクロフォン位置はスピーカー前方15cm (f特測定位置と同じ)

アンプ: ONKYO A-905FX(一部トーンコントロールを使用)

再生装置: 録音を行うPCとは別のPC上でFrieveAudioにて再生(24bit/96kHz出力)。基本的にイコライザはOFF。ただし最後の実験だけイコライザを使用。


測定結果

まずはお決まりの周波数特性です
553.jpg

基本的に前回記事のデータと変わりません。水色はアンプのトーンコントロール(70Hz/最大+10dB)を使用して密閉型の低域を増強したものです(約3/4位置=+7.5dB)。スピーカーからの音圧レベルをできるだけ揃えるために、以下の比較ではこの「密閉+トーンコントロール」と「バスレフ」を比較します。アンプのボリュームと入力信号レベルは全ての測定で同一としました。

ではマイクロフォンから測定した音波の波形とCDに記録されているデータの波形を比較してみます。つまり「タイムドメイン」的に評価してみます。

なお複数波形を重ね合わせて比較していますが、時間的同期情報が無いため、時間方向(左右方向)の位置合わせは見た目で適当に行っています。

これがソース信号。約2秒間です。以下ではまず4番目、次に2番目の音の出だし部の波形を比較します。
560.jpg

まずはベース4音「ポポポポーン」の最後の「ポーン」の出だしの波形を比較します(約0.05秒)。基本周波数は約150Hz。
まずは密閉型(トーンコントロールON)
550_20100605140625.jpg
クリックで拡大して見てください。赤がソースの信号データ。青が測定波形です。測定波形は頑張って信号波形をトレースしているように見えます。測定繰り返し性を確認するため、グラフには3回の測定波形を重ねてプロットしています。ほとんど完全に重なるので、測定繰り返し性は問題ないと思います。

次にバスレフ型(トーンコントロールOFF)
549.jpg
これも3回の測定結果を重ねています。2、3、4番目の波形が明らかにずっこけ気味ですね。信号の基本周波数は150Hzですが、上の周波数特性を見ると150Hzでもポートの効果が見られます。

以上の結果では、明らかに密閉型の方が信号をより正確にトレースしていると言えそうです。

次に「ポポポポーン」の2番目の「ポ」の出だしの波形です。基本周波数は少し下がって100Hz。
まずは密閉型(トーンコントロールON)
555.jpg
ありゃりゃ。3つめくらいから動きが怪しくなりますね。「密閉よ、もおまえもか?」

お次はバスレフ型(トーンコントロールOFF)
554.jpg
波形の変形の仕方が密閉とは明らかに異なりますが、これでは五十歩百歩かな。ただ、上の結果でもそうですが、全体的にバスレフ型は音の出だしの波形(最初の2~3山)の崩れが大きいと言えます。その後の波形は大して崩れていません。ピチカートでは問題を感じるけどクラシック(弓弾き)ではあまり問題を感じないのは、このへんが原因のようです。正弦波信号の比較では差が明確に出なかったのもうなずけます。

密閉型の方は、周波数が下がってトーンコントロールが影響する範囲に入ったのが問題の原因かもしれません。トーンコントロールをOFFにして、かわりにFrieveAudioのデジタル イコライザで150Hz~70Hzにかけて+7.5dBしてみました。
イコライザはこんな感じ。
559.jpg

さて波形は?
密閉型(トーンコントロールOFF、デジタルイコライザON)
556.jpg

ビンゴ! やはりアナログ式のトーンコントロールが悪さをしていたようです。以前も聴感上違和感を感じて使うのを止めたのですが(関連記事)、こういう事だったのかと納得です。ここまで明らかに違いが出るとは予想していませんでした。これに対してデジタルでブーストした波形はかなり頑張って信号をトレースしています。アナログフィルタとは異なり、デジタルフィルタは位相の問題を一切生じないとは聞いていましたが、確かにそのように見受けられます。ソース信号がデジタルになったこの時代にわざわざアナログ フィルタを使用するのは馬鹿げていると言えるでしょう。

結果は以上です。
密閉型とバスレフ型の波形の違いをどう思われますか。波形の違いなんて「コマケー」違いでしょうか?
例えば今のアンプを100万円のアンプに変えても、こんな雑な測定で分かるような違いが出るとはまず思えません。ましてや電線を変えた時の変化量に比べたら、天変地異くらいの大変化ではないでしょうか。

以上をまとめてみます。

1) ピチカートベースの信号を再生した場合の再生音波形には、密閉型とバスレフ型で明らかな違いが確認できました。この信号に対しては、密閉型の方が明らかに高い信号忠実度を示しました。バスレフ型では音の出だし(トランジェント部)の波形に顕著な崩れが見られました。つまり「タイムドメイン」的に劣るという事です。

2) 同じ信号に対してアンプ内蔵のアナログ式トーンコントロールとFrieveAudioのデジタルイコライザーで同等量のブーストを適用した場合、スピーカーから再生される音波の信号忠実度は、明らかに後者の方が優れる事が分かりました。

また、僕の基本コンセプトである密閉型スピーカ+デジタルブーストの優位性も改めて確認できたと思います。

今まで、どうしてもバスレフの音に馴染めずに違和感を憶えていたのですが、波形を見てもやはり少し変な事が分かりました。もう少し下の70~80Hzでも測定してみたかったのですが、適当な信号が見付かりませんでした。このように小型のスピーカーをバスレフ型にすると、ポートの音域がベース帯域にもろに被さりますが、大型スピーカーでポート帯域を50Hz以下に持ってゆければ、違和感はかなり解消できると思います。

世間に出回っているスピーカの大部分はバスレフ型ですので、それに馴染んだ耳には密閉型は「地味」「響かない」「沈んだ」感じに聞こえるかもしれません。しかし暫く耳を密閉型に馴染ませた後にバスレフ型に戻すと凄く「癖」のある音に聞こえると思います。自動音場補正でも使い始めは違和感を覚えるのですが、一度馴染むと手放せなくなるのと似ているかもしれません。

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2010年06月05日 (土) | Edit |
2つ前の記事では密閉型スピーカーを使用して吸音材の効果を確認しましたが、今回はバスレフ型で測定してみました。

ドライバーにはTangBandの8cmフルレンジ ユニットを使用しました(型番忘れました。。ペーパーコーン(銀色に塗装)にアルミ削り出しのフェイズコーンが付いているやつ。コイズミで2000円弱で購入)

558.jpg
箱はポチ一型。写真はポートを塞いだ状態です。箱の寸法は現在Alpair5に使っている二型と全く同じ(2.5L)。ポートは標準的なフロントポート。ポートには内径23mmx長さ80mmの塩ビ管用継ぎ手を利用しています。肉厚が非常にごついのでへんな振動は絶対に出ません。中の段差はヤスリで削りました。ポート出口はパテ材でファンネル状に成型して風切り音を回避しました。左手に見える白いのがマイクロフォン。距離は約15cm。

545.jpg
吸音材なしの測定結果。赤がバスレフ、黒が密閉です。寸法が同じなのでAlpair5の時と同様の周波数ではっきりと定在波の影響が観測できます。バスレフでは穴からも音が聞こえるので、定在波の影響も密閉型より多めに出ています。約80Hzの共鳴点から下は、位相反転効果でレスポンスが急激に低下し、約60Hzで密閉型とクロスします。ポートはあと2~3cm長くした方が良いかもしれませんね。

548.jpg
ポートの出口にマイクロフォンの先端を置いて測定した結果です。ほぼポートの音だけが含まれていると思われます。ピークはやはり約80Hz。定在波の影響が800Hz~2kHzの範囲に顕著に表れています。このようにポートからも定在波の音が出てきます。

吸音材を入れてみました。
547.jpg
ミクロンウールを横下後の3面に貼りました。緑がその結果です。定在波のピークは綺麗に消えましたが、ポートの低音増強効果が半減してしまいました。吸音材が必要悪と言われる所以ですね。箱のサイズに対してミクロンウールが厚すぎるようです。もっと薄くて吸音効果の高いものを選んだ方が良いですね。

と、まあ、アタリマエの結果です。正直バスレフには全く興味がないので深追いはしません。バスレフのチューニングは以前散々やりましたが、何度やってもそのうち吸音材の量がどんどん増えていって、しまいには密閉型になって終わり。。。次回は、ハチマルが何故そこまでバスレフを嫌うのか?についてデータで検証してみたいと思います。

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関連記事
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2009年02月09日 (月) | Edit |
これが現在のスピーカーです。名付けて「ポチ1型」。

025b.jpg
チョンマゲみたいなのは超チープなスーパーツイーターです
これについては別の機会に紹介したいと思います。

026b.jpg
お座りもできます

027b.jpg
不細工な尻尾が付いてますが、これがミソなんです

15mm厚のラワン合板で作製しました。容積は2.5L。
バッフルの剛性をかせぐために前面の面積を小さくした結果ダックスフントのような胴長になりました。バッフルにはさらに補強も入れ、ユニットは取り付け剛性をかせぐために通常の取り付け方から90度回転させています。多分ここまでやらなくても大丈夫だとは思いますが。

元々フロントバスレフで作製したのですが、やはり気に入らずリアバスレフに改造。さらにこの謎の尻尾を取り付ける事で満足の行く結果が得られました。

クラシックだけなら一般的なバスレフチューニングでOKだったのですが、どうしてもウッドベースが聴き取り辛く、それを改善するためにこの形態に落ち着きました。多分もっと大型のスピーカーで共鳴周波数を50Hz以下に持ってゆけるなら、普通のバスレフでも大丈夫だと思うのですが、このような小型で共鳴周波数が90Hz程度だとウッドベースの帯域にひっかかって聴き辛くなるようです。

感の良い方ならもうお分かりかも知れませんが、この尻尾は約45cmの長さの蛇腹ホースをトグロ状にまるめたものです。まわりに吸音材を巻いて、さらにビニールテープでぐるぐる巻きにしています。ホースはホームセンターで洗濯機の排水用として売られていた内径約30mmのものです。これで共鳴周波数を約40Hzに合わせています。ホース内にも吸音材を適度に詰めています。計算では下のようになります。
022.jpg
ホース内には吸音材を適量詰めているので、実際には多分こんな感じでしょう。
023.jpg

そんな事するなら密閉でええやん。となりますが、このユニットを密閉にすると音がデッドになりすぎて気に入らないのです (これより大きな3.9Lのボックスでも密閉では音が苦しかった)。ボックス内のエアダンピング効果を避けるためにスピーカー背面を解放したいのですが、その音は聞きたくないという考え方です。最初は2mのホースを付けて、それを室外へ排出するなんて事もしていたのですが、近所迷惑ですし大げさなので今の形に落ち着きました。
こうするとバスレフに比べて50~100Hzの低音が弱くなりますが、それでもベースラインは聞きやすく感じます。

Frieve Audioという強力なDSP(デジタル信号処理)を備えたソフトウェアのイコライザ機能で50Hz近くまでフラットになるようにブーストして、位相の反転する40Hz以下をシャープにカットします。ジャズであればここまですれば十分に楽しめます。

さらに交響曲を聞くためにサブウーハーを追加して35Hzまでフラットにしているので、100Hz近辺でポートにボーボーやられるとかえって邪魔になります。

ちょっと似たような考え方のスピーカーとしてB&Wのノーチラスという凄いのがある事を知りました。これは背面の音を先細り管で減衰させて解放するという方式です。こいつのトグロはハンパナイッス。というかボックスそのものがトグロです。

024.jpg
B&W Nautilus
今のところ僕がイメージできる最も理想的なスピーカーボックスかもしれません。
ただしコアキシャルでやって欲しいな。

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2009年02月09日 (月) | Edit |
この改造箱(3.9L)にF80AMGを取り付けていろいろやってみましたが、結局バスレフのチューニングがうまくできませんでした。

僕はベースが好きで、ジャズを聴くときは無意識にベースラインを追いかけながら聴きます。このためウッドベースの聞き易さを基準に低音チューニングを行いました。この際、短時間で変更しながら聞き比べるのではなく、設定を変えたらしばらく仕事しながらBGM的に聴いてみて、気持ちよくなければ設定を変えるという方法をとりました。
この方法が一番信頼が置けるように思います。短時間聴いてみて良く感じても、長時間聴くと違和感を感じる事がたびたびありました。

計算では長さ4cmくらいが良さそうだったので、これを中心に8cmと2.5cmを用意してとっかえひっかえしたのですが、どれも満足できませんでした。8cmだと完全にチューニングが外れているみたいでポートから低音が出ず、2.5cmと4cmでは低音感はあるのですがブワブワして気持ちよくウッドベースが聴けません。F80AMGの例の欠点がもろに出てしまったみたいです。吸音材の量も変えてみましたが駄目です。

それと近距離 (スピーカーから1m以内)で聴くので、スピーカ前面からの音とポートからの音がうまく混じり合わない感じがします。お風呂の蛇口では温水用と冷水用のノブがあって、両方を適量混ぜ合わせて温度を調整しますよね。日本製の蛇口だと完全に混じり合って問題ないのですが、外国のホテルの蛇口ではこれがうまく混じらなくて、手を当てると微妙に気色悪い思いをする事があります。丁度そんな感じです。最近の小型スピーカーに背面バスレフが多いのは、もしかしたら近接リスニングを考慮しての事なのかもしれないと思いました。

ポートをゴム栓で塞いで密閉型にすると、しばらくは良い感じに聞こえるのですが、1時間ほど聞いていると息苦しくなってゴム栓を外してしまいます。F80AMGはもともと大人しめの音なので、密閉にすると制動が効いて音がデッドになりすぎるのかも知れません。バスレフでも吸音材を増やすと同様の傾向になります。

80AMGて高いのにアカンやん!とあきらめ気味になりました。

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2009年02月07日 (土) | Edit |
F80を改造箱に取り付けてバスレフ ポートのチューニングを始めました。

バスレフ ポートの長さを決めるには計算が必要ですが、今は便利なスピーカ-設計支援プログラムがネット上で利用できます。僕は「スピーカー設計プログラム アプレット版」を愛用しています。

主立ったユニットの特性データ(T/Sパラメータ)が既にデータベースとして用意されているので、スピーカーの特性値を手で打ち込む必要はありません。AMG80は超人気ユニットなので当然データベースに入っていました。

フルレンジ一発の場合はウーハーの項目で設定を行います。
使用するユニットを選択してから箱のタイプと容積を選択します。バスレフ タイプを選択した場合はバスレフポートの内径(半径)と長さを設定して吸音材の量を選択したらパラメータの設定は終わりです。
014.jpg
-ユニットにSA/LAB SA/F80AMGを選択すると特性パラメータが自動的に設定されます。
-その下で「バスレフ」タイプを選択して容積とポート長/半径を設定します。
-吸音材の量は「少なめ」にした方が特性の違いがはっきりします。
 
「★キャビネット特性表示」のボタンをクリックするとグラフに計算結果が表示されます。
015.jpg
-ポートの長さはいろんなユニットのメーカー推奨箱の特性を参考にして設定しました。
-だいたいインピーダンス(赤線)の2山がほぼ同じ高さになる (2山の真ん中あたりに共鳴点が来る)のが標準的な設定のようです。
-緑の線がスピーカー前面からの出力(音の大きさ)です。
-青い線がポートからの出力です。
-水色の線が両方を合計した出力です。
-共鳴周波数は約80Hzとなっています。
-共鳴点前後ではポートからの音が主体となります。
-2つめのインピーダンス ピークから低周波側では位相(緑の線)が反転するため、スピーカーとポートからの音が打ち消し合って急激に出力(水色)が低下します。

同じ容積で密閉型を計算してみました。
016.jpg
-これは密閉型を選択した場合の特性です。
-例えば出力(水色)が80dbを切る周波数を比較すると、バスレフ型の低音増強効果がわかります (バスレフで57Hz、密閉で約82Hz)。しかし密閉型の場合は出力がなだらかに低下するため40Hz以下では密閉型の方が高くなります。

2ウェイの場合はツイーターの設定も同様に行います。ネットワーク回路の計算もしてくれますが、今回はフルレンジ一発なので関係ありません。

計算でおおよその太さと長さが決まったので、ホームセンターへ塩ビ管を買いに行きました。
丁度良い径の塩ビ管がなかったので、塩ビ管用のストレート継ぎ手を購入しました。内径約26mm、外径約34mm、長さ8cmで塩ビ管より肉厚があります。中央に突き当て用の段差があるので削り取る必要があります。

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ちょっと技術的なお話になるので「バスレフ」って何?という方はコチラをご覧ください。
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