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2013年07月14日 (日) | Edit |
今回はパッシブネットワークのバンドパス フィルタの位相特性を実験君で確かめてみました。

前回の記事で、ハイパスフィルタは「入力に対して反転した上でカットオフ点で90°遅れるらしい」という事を書きました。ではバンドパスにした場合、ローパスフィルタの位相はどうなるのでしょうか???

という事で早速実験君です。
今回も意外な事が分かりましたよ。

下がバンドパス フィルタの回路図です。
Filterjpg.jpg
- HPFは12mH/300μF、計算カットオフは83Hzです。
- LPFは3mH/100μF、計算カットオフは290Hzです。

下は周波数特性です。
F特 copy
- FrieveAudioでフィルタなしのF特をフラットにした状態にフィルタを適用しました。
- 赤がアナログ パッシブフィルタ青がFrieveAudioで設定した等価のデジタルフィルタです。
- 実際のカットオフは60Hz/300Hzあたりでしょうか。

いつものようにスピーカ出力の正弦波応答です。
60Hz (概ねHPFのカットオフ)
波形60
- グレーが信号、青がフィルタなし緑がフィルタあり(逆相)です。
- 正相波形は暗い赤でプロットしています。
- 前回の記事通り、フィルタありはフィルタなしに対して反転して約90°分時間的に遅れています(反転しないと出力の位相が入力よりも進む)。

ではローパス挙動はどうなのでしょうか?
290Hz (概ねLPFのカットオフ)
波形290
- グレーが信号、青がフィルタなし赤がフィルタあり(正相)です。
- フィルタありはフィルタなしに対して反転せずに約90°分時間的に遅れています。
- これは意外な結果です。僕はLPFも反転したママHPFの180°+LPFの90° = 270°分時間的に遅れると予測していました。
- という事で、以前の3WAYフィルタに関する記事はまたまたスットコドッコイな大間違いでした! スミマセン。

ぢゃぁ、中間の周波数ではどうなんでしょうか???
160Hz (概ねHPFとLPFのカットオフの中間)
波形160
- グレーが信号、青がフィルタなし赤がフィルタなし(正相)です。
- フィルタありはフィルタなしとピッタリ重なります。
- HPFとLPFの中間ではフィルタの影響は生じないという事でしょうか。
- じぇじぇじぇ。。。ですね。なんだか良くワカリマセン。

次に春の祭典の波形で確認してみました。
60、160、290Hzを中心とする非常に急峻で非常に帯域幅の狭いバンドパスフィルタをFrieveAudioで設定しました。
60Hz (概ねHPFのカットオフ)
春 63
- グレーが信号、青がフィルタなし緑がフィルタあり(逆相)です。
- フィルタありはフィルタなしに対して反転した上で約90°分時間的に遅れます(反転しないと、出力の位相が信号よりも進んでしまうし、波形の対応も取れない)。

160Hz (概ねHPFとLPFのカットオフの中間)
春160
- グレーが信号、青がフィルタなし赤がフィルタあり(正相)です。
- 正弦波での結果と同様、フィルタの影響は消えて無くなったかのように見えます。

290Hz (概ねLPFのカットオフ)
春290
- グレーが信号、青がフィルタなし赤がフィルタあり(正相)です。
- フィルタありはフィルタなしに対して反転せずに約90°分時間的に遅れています。

さらに、FrieveAudioの急峻なバンドパスを外して全域の信号を入力しました。
FrieveAudioの周波数特性の補正だけONにしています。
アナログ パッシブ フィルタ
春 バンド フィルタアリ正相
春 バンド フィルタアリ逆相
- グレーが信号、赤が正相スピカ出力緑が逆相スピカ出力です。
- 正相も逆相も信号波形との対応はヨックワッカリません。
- 低い周波数(大きなウネリ)には逆相、高い周波数(細かい波)には正相の方が対応しているように見えなくもアリマセンが。
- このように様々な周波数成分を含み過渡現象の嵐である実際の音楽信号をアナログフィルタに通すと、出力波形は時間ドメイン的に大きく崩れ(歪み)ます。

FrieveAudioデジタル フィルタ
春バンド フィルタ無し
- 上のF特図の青のフィルタです(FrieveAudioで設定したアナログ パッシブ フィルタと等価のデジタル バンドパス フィルタ)。
- グレーが信号、青がスピカ出力(正相)です。
- 信号と出力の対応は明確になりました。
- これはアナログ ネットワークを持たない密閉型フルレンジSPの良いトコロです。やはりアナログネットワークによるマルチウェイ方式では絶対に得られない自然さというのがありますよね。
- この密閉型フルレンジを核とし、その足りないトコロ(主に低音)をデジタル方式で補おうというのがLEANAUDIOの基本的アプローチです。ソーチのオトや付帯的オト現象のナンチャラカンではなく「音楽」の聞こえ方の自然さ(聴きやすさ)を求めれば、自然とそこに行き着くでしょう。
- しかし、密閉型フルレンジと言えどもドライバ自体の位相回転(最大で180°)が生じるため、波形の細かいところは信号に対応していないように見えますね。

FrieveAudioの位相補正をONにしました。
春バンド Frieve
- グレーが信号、ピンクが位相補正ONのスピカ出力です。
- マイク手持ちのエーカゲンな計測ですが、スピカ出力は信号に非常によく対応しています。
- いつもの事ながらFrieveAudioのDSPはさっすが!ですね。
- でも僕はこの補正の効果を明確に感じる事はできません。

今回の結果は以上です。
バスレフと同様、アナログフィルタも、使わずに済むなら使いたくないですね(特に低い周波数では使いたくない)。デンセンやデンゲンやヂッタの影響に比べれば、それはもうアンタ遙かに巨大な「音楽再生上の問題」ですよ。オッキクテジューヨーなモンダイから潰さないと。。何事も。ホンマニ。。。

しかし、HPFの挙動に完全に納得できていません。なんかまだ気色悪い。追加実験するかな? スミマセン。。。

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2013年07月11日 (木) | Edit |
相変わらず「位相」です。スミマセン。
お付き合いくださいませ。

今回は正弦波信号とスピカ音響出力でアナログフィルタの挙動を確認します。

まずはDACの出力電圧信号です。

下はFrieveAudioで-3dB@290Hz(12dB/Oct)のHPFとLPFを設定した場合のDAC出力波形です。
290Hz Frieve
- 信号周波数は290Hz(カットオフ周波数)です。
- 青がHPF赤がLPF、グレーがフィルタなし信号です。
- HPFもLPFも極性を反転せずにそのままの波形をプロットしています。
- オシロで見る限りHPFもLPFも位相は全く回転していません。これがデジタルフィルタです。

下はDACチャンデバでの結果です。このDACチャンデバの挙動はアナログフィルタに等価です。
290Hz DAC
- HPFもLPFもカットオフ(-3dB点)が概ね290Hzになるよう、シミュレーションを参考にしてDACチャンデバのクロス周波数(-6dB)を調整しています(HPFは225Hz、LPFは400Hz)。あまり正確な調整ではアリマセンので、その点を理解の上でデータをご覧ください。
- 信号周波数は290Hz(カットオフ周波数)です。
- 青がHPF赤がLPF、グレーがフィルタなし信号です。
- HPF出力(青)は極性を反転して表示しています。
- HPFもLPFも、出力は信号に対してほぼ90°遅れています。これはフィルタの理論に一致します。

次にスピカ出力波形です。
Alpair6 MのLchをウーハ、Rchをツイータとして使用し、L/Rの中央に置いたマイクで収録した波形です。フィルタの設定は上記と全く同じです。

まずはFrieveAudioデジタル チャンデバ
290Hz スピカ Frieve
- ツイータもウーハも波形を反転せずにそのままプロットしています。
- ウーハもツイータも信号に対して90°強遅れています。
- これは密閉型の位相回転によるものです(ドライバの共振周波数(100Hz)よりも周波数が高いため、90°より多めに回転する)。
- 従って、デジタルチャンデバではツイータを逆相接続する必要はありません。

次はDACアナログ チャンデバ
290Hz スピカ DAC
- ツイータの波形(青)は極性を反転しています。
- ツイータもウーハも位相は270°弱(180°強)回転しています。
- これは密閉型(90°強)+フィルタ(90°)に概ね一致します。
- アナログ二次フィルタの場合、ツイータを逆相にして-3dBでクロスすると、ウーハとツイータの位相と遅れ時間は両方とも一致します。

DAC出力波形の過渡部を拡大してみました。
Analog Digital HPF
- 左がLPFです(赤がFrieve黄がDAC)
- 右はHPFです(青がFrieve緑がDAC反転)
- 過渡部の波形を見ると、アナログフィルタ出力がデジタルフィルタ出力に対して綺麗に遅れている事がよく分かります。
- やはりアナログHPFの出力波形は反転して見るのが正解ですね。どう考えても。
- デジタルフィルタの出力挙動は入力信号の事象よりも先行しているように見えますね。これは移動平均のような処理によって信号を先読みするからだと思われます(信号をある程度先まで読んでから現在の出力値を計算して決める。従って実際には出力事象は入力事象(データの読み出し)に対して常に一定時間遅れている)。
- アナログフィルタでは信号が動き出してから応答が始まる(出力の事象は入力の事象よりも絶対に進めない)ため時間的遅れが生じます。その結果として位相の回転が生じます。

という事で、アナログ二次HPF出力は入力信号に対して反転した上でカットオフ点で90°遅れると考えてまず間違いないでしょう。

なお、二次フィルタでは全部で180°(fcで90°)遅れますが、三次フィルタでは270°(fcで135°)遅れます。高次フィルタほど位相はグルグル回るという事です。FrieveAudioでは断崖絶壁のようなフィルタを設定しても、オシロで観測可能は位相回転は発生しません(「FrieveAudio直線位相FIRフィルタの実力」参照)。

次回のテーマは3Wayのミッド(バンドパス: HPF+LPF)の場合ドーナルノ?です。またまた「位相」です。スミマセン。

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2013年06月18日 (火) | Edit |
前の記事からの続きです。

今回は、アナログフィルタ回路による位相回転の影響を実験君で確認してみました。いつものシミュレーションがどの程度正確なのかも検証してみます。

使用したネットワーク回路(LP)です。
photo_20130618122844.jpg
ガラクタ箱のパーツを使って22mH + 4x100μF の二次フィルタ回路をでっち上げました。サブウーハ用を想定して、100Hz以下のクロスオーバーを狙っています。

下図ののプロットが、この回路をZAP Alpair6M (2.5L密閉型)に取り付けて計測したスピーカの出力特性です。
Fileter Ftoku
のプロットは、この後の比較テスト用に用意したデジタルフィルタによる特性です。カットオフ=70Hz&-12dB/Octの設定で、アナログフィルタとほぼ同等の特性が得られました。下図はFrieveAudionoのフィルタ設定です。
Digital Filter

下はシミュレーション結果です。スピーカは Alpair6M (2.5L密閉型)。
フィルタなし
SIMU OFF

アナログフィルタ適用
SIMU ON
上記の回路パラメータ(22mH、400μF)を正直にプログラムに入力した結果です。部屋の影響もあるため、実測とはピーク周波数が多少異なりますが、全体的な形状(山の中心位置)はよく一致しています。全然期待していなかったので驚きました。という事で、回路のパラメータは一切修正せずに、そのまま使いました。

この後の計測結果と照らし合わせるため、ここでシミュレーション結果の100Hzでの位相を確認しておきます。

上図には黄色の水平線で「遅れゼロ」の位置を示しています。これが入力(ソース信号)の位相です。位相曲線(緑のライン)がこのラインから下に離れれば離れるほど位相は遅れます。つまり、高音ほど入力に対して位相が遅れるという事です。フィルタ適用のグラフでは緑の位相曲線が-180°から+180°に折り返していますが、実際には1本の曲線で周波数の増加に伴って単調に遅れます。今回は100Hz以上の事は気にしなくて構いません。

上の「フィルタなし」では、100Hzで入力(黄ライン)に対してほぼ90°遅れています。これに対し「フィルタあり」では、入力に対して目分量で読んで約250°遅れています。

さてさて、実際にはどうなんでしょうか? 早速実験君で確かめて見ましょう。ワクワク。。

僕は波形観測を行う場合に、信号にパルスを挿入して時間の基準としています。このパルスはCDフォーマットで表現できる最も急峻なパルス(22.1kHz)です。このような超高音になると、周期が非常に短いため(20kHzで0.05ms)、位相が数回転したところで時間的には無視できるため、絶対的な時間基準として利用できます。

今回は、ZAPのLチャンネルにローパス(デジタルまたはアナログ)、Rチャンネルにハイパス(デジタル)を適用し、マイクロフォンを左右スピカの中央に置いて左右の合成音を観測しました。こうする事により、ローパス側音響出力の時間を揃えて波形を比較する事ができます。

では結果です。

下は100Hzの6発正弦波の再生波形です。
SINE
グレーがDACの出力、青がデジタルフィルタ、赤がアナログフィルタです。このデジタルフィルタは位相が殆ど(というか全く)回転しない事は、以前の記事で確認すみです。

下は上図の先頭部分を拡大した図です。
SINE enl
図からざっと読み取ると、デジタルフィルタ(青)は入力信号(DAC出力)対してほぼ90°遅れており、アナログフィルタ(赤)はざっと見て225°遅れています。これはシミュレーションの結果とよく一致していると言えるでしょう。

なお、このデジタルフィルタは位相が事実上全く回転しないため、結果は「フィルタなし」と同じと考えて問題ありません。

最後に例の「春の祭典」最強バスドラの波形です。
ハイパス側には10kHzのフィルタを適用しているためほとんど基準パルスしか出力しません。従って下の波形はローパス側だけの音響波形です(クリックすると拡大します)。
HARU ON OFF
このバスドラの中心周波数は40~45Hzです。この周波数での位相の回転量は100Hzよりもかなり小さくなります。
正弦波の場合、波形は全ての周期で同じであるため、遅れているんだか進んでいるんだか、分かりにくいのですが、このように実際の音楽波形を使うとよく分かりますね。

と言う事で、いつものシミュレーションはナカナカ使えるヤツであると言えそうです。次回は、各種のシミュレーション結果を基に考察を加えます。オッタノシミニ!

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