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2012年11月25日 (日) | Edit |
プロ用のモニタスピーカはあくまでもお仕事用の機械です。音質や性能だけでなく、安定性と堅牢性が第一に求められますし、デザインは素っ気なくても構いません。しかし、家庭用の装置は生活空間の中で日常的に使われるわけですから、外観のデザインと場所をとらないコンパクトさ、そして使い勝手が非常に重要です。今日の技術を採り入れて真っ当に設計すれば、どの製品でも実用的な音質(音楽再生クオリティ)自体に大した差は出ないでしょう。従って、デザインや使い勝手そして価格が市場競争力の最重要決定要因となるでしょう。

このような傾向は、どの業界でも同じです。黎明期においては、技術が十分に発達していないがために技術者には様々な点で妥協が強いられ、従って拘束条件と技術者の思想(何をどう妥協するか)に応じて様々な技術的アプローチが試みられるため、それらの製品は今に比べると不完全であり個性的にならざるを得ません。未開の山なので頂上に登るルートがタクサン考えられるという事です。とりあえず登ってみん事には始まらぬ。。というのが技術の世界です。ビンテージ装置の愛好者達はその不完全さを「味」として珍重します。

しかし、どの業界でもそうですが、技術が発達するにつれて技術的選択肢は狭まり、製品間の性能差は小さくなります。頂上に登る最適ルートが絞り込まれて来るという事です。これに伴い、性能や機能が向上し、コストは低下します。それ自体を趣味とするマニア達にとってこれは寂しいでしょうが、日常的に音楽を楽しむための実用機械(家電製品)として使う大多数の人々にとってはアリガタイ事です。技術が十分に熟成されれば、商品を選択するに際して性能ではなくデザインや使い勝手そしてブランドイメージが重要となるでしょう。自動車業界を見れば良く分かります。

誤解を招かぬため敢えて言っておきますが、オヂオマニアのように高額なソーチの音や音の付帯的現象の微小な差異に過剰に拘る事と、再生音楽(表現者の行為の結果としての音楽)を鑑賞する事は全く別の行為です。過剰な場合は相反するとさえ言えるでしょう。ソレハソレコレハコレです。趣味のための高額な所謂ハイエンドオヂオが、以下で考えるリーズナブルな価格の家電製品として真っ当な音楽再生装置よりも偉いわけでも尊いわけでも技術的に高いレベルにあるわけでも全くアリマセン。また、そのような高級ソーチで音楽を聴く事がより良く音楽を聴くという事でも、エラクてジョートーな音楽の聴き方だというワケでも全くありません。それはソーユー趣味だというだけです。そもそもの目指すところが異なると認識すべきでしょう。ソレハソレコレハコレ、ロレックスとカシオGショックみたいなもんですね。上等なロレックスの方が時間をより良く計れるわけではアリマセン。ロレックスで時間を計る事が行為としてエラクてジョートーなワケでもありません。ですよね?

という事で、やっと本題ですが、スタジオで使っているのと全く同じスピーカをオウチに持ち込めば良いという事では決してアリマセン。オウチにはオウチの事情があります。また、やたらマニアックにスタジオと全く同じ音をツイキューする必要もありません(マタマタ幻影を追い求めてグルグルする事になる)。変な色付けや付帯音がなく、必要十分な低周波数までフラットに、必要十分に低ノイズ/低歪みで、必要十分なタイムドメイン的整合性を確保し、必要十分な音量でリスナーの耳に音楽を届けられれば良いのです。早い話が、媒体に記録された音の信号波形(すなわち表現者の行為の記録)を、必要十分に正確にリスナーの耳に届けるという事です。このアタリマエの事が何時の頃からか軽視されるようになり、周辺技術が十分に発達した21世紀においてさえアタリマエに達成できていません。これは、趣味道楽と本来の実用目的をソレハソレコレハコレとわきまえず異常に趣味に偏向してきたこの業界の問題です。そもそも、基準など設けなくとも、業界が正常であれば、今現在既に十分に達成されているはずです。しかし、21世紀に入って十数年が経っても一向にそうなる気配が見られぬために、ワザワザ基準を設けるべきだと言っておるのです。

一般家庭用の、それ自体を趣味とする者達(マニア)用ではない、音楽鑑賞用装置には以下が求められるでしょう。

○ 部屋のサイズやリスニング距離(必要再生音量)に見合った最小限サイズの装置を選べる事
○ どのようなサイズの装置であっても音楽再生に求められる基準を満たしている事(どんなに小っちゃくても、必要十分な低音をリスナに届けられる事)
○ 音に過剰な色づけ(オンガクセー?)や付帯音が無い事(これも音楽再生基準のうち)
○ 必要十分に低歪み/低ノイズである事(これは今時の電気回路なら普通にOKでしょう)
○ 家庭で音楽を鑑賞するに必要十分な性能を見極め適正な価格で提供される事(やたらマニアックな半ばオカルト的コマケー性能をどこまでもツイキューする必要は全くない。業務用装置の価格を見れば分かる)
○ 実際の設置条件に合わせて特性を補正できる事(イコライザと自動音場補正の内蔵はアタリマエ、コマケー事よりもイチオクマンバイ重要)

といったところでしょうか。音楽再生装置に求められる具体的な必要十分条件(基準)に関しては、音楽界とオーディオ界が一体となって熟考する必要があるでしょう。

僕の個人的な基準は、
○ 付帯音を徹底的に除去する事(密閉型/吸音材タップリ/頑丈な箱)
リスニング位置で40Hz~10kHzを十分にフラットに再生する事(±6dBに収まっていれば、まぁOKかな)
リスニング位置で75~80dBAの音楽再生音量を余裕で確保できる事
○ 低音ビートに感知可能な(グルーブ感やノリを阻害するような)ヘンテコリンな現象が生じない事
といったあたりでしょうか。

今日のお題は以上ですが、今ふと思い付いたので、以下蛇足として書いておきます。

僕は個人的にバスレフ型を好みませんが、デジタルイコライザ内蔵システムを前提とするならば、バスレフ箱に吸音材を多めに入れて付帯音を減らし、低下したバスレフ効果をイコライザでチョイト補う事により、バスレフ臭さを大幅に緩和できるでしょう。

バスレフ型(吸音材なし)と密閉型(吸音材多め)の比較
bas seal 1

バスレフ型(吸音材多め)と密閉型(吸音材多め)の比較
bas seal2jpg
バスレフ型に吸音材を大量に入れると、特性は密閉型に近付きます。当然、共鳴によるブースト効果は低下しますが、位相の乱れも少なくなります。適度に吸音材を充填し、低下した出力を少しイコライザで補う事により、密閉型とバスレフ型の折衷案(セミバスレフ)的チューニングが可能となります。

このようなセミバスレフ型では、完全密閉型に比べて内圧変動が小さいため(圧が抜けるため)箱のコスト(板厚、気密性の確保)を軽減でき、また、振動板振幅も密閉型よりは抑えられます。吸音材によって低下したバスレフ効果分は、イコライザでチョイト補えばヨロシ。イコライザ組込みを前提とするならば、このようなチューニングは極めて容易です。電気的に特性をホンノちょいと補正するだけで機械的な設計に大幅な自由度が得られるという事です。電気的(信号)イコライジングのメリットは計り知れません。例によってさしたる根拠も無くセンドが落ちるとか言われて忌み嫌われ、正しく活用されて来なかった事が惜しまれます。何度でも言いますが、ソーチ自体の「音」を目的とせず「音楽」の鑑賞を目的とする場合、どのような音楽再生システムであれ、何らかのイコライザは必須です。

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テーマ:オーディオ
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