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2012年01月11日 (水) | Edit |
前回からの続きです。

既に説明した方法で十分にシステムの基本的音楽再生クオリティを評価できますが、特殊なテスト信号を作成する事により、スピーカ出力の過渡応答性を詳しく調べる事ができます。このような方法により、360°を超える位相回転も評価できます。今回はその方法について簡単に説明します。

過渡応答性を調べる場合、時間軸の絶対基準となるパルスなりステップを信号に挿入する必要があります。このため、多くの場合WAVファイルの加工が必要となります。

今回は、WAVファイルの編集用に、CDリッピング用フリー ソフトウェア Exact Audio Copy を使用します。このソフトウェアはコチラからダウンロードできます。このソフトウェアは、データを厳重にチェックしながらCDをリッピングしてくれるため、普段から愛用しているのですが、簡単なWAVファイル編集機能も備えているのでとても便利です。

今回は、例として、数サイクルの正弦波信号の先頭と末尾に時間基準となるパルスを挿入する方法について説明します。

まず、2つ前の記事で紹介したWaveGeneを使用して50Hzの正弦波信号(パルスなし)を作成しておきます。今回は2秒間のファイルを生成しました。

このファイルをExact Audio Copyで編集します。
1) Exact Audio Copyを起動し、メニューの[Tools]から[Process WAV]を選択して、作成したWAVファイルを開きます。
CD1.jpg
作成した2秒間の正弦波信号です。1秒間でも良かったかもしれません。

2) まず、信号の先頭区間を加工して、時間基準となるパルスを作成します。
- 下の[Zoom In]ボタンを何度かクリックして、時間方向に適当に拡大し、上の水平スライダを左一杯にスライドしてファイルの先頭に移動します。
- 次に、先頭からマウスをドラッグして、適当な波形のピークまでの区間を選択します。下図では8番目のピークまで選択しています。
CD2.jpg

3) メニューの[Edit]から[Silence Selection]を選択して、選択した部分を無信号状態にします。

4) 同じ方法で、ピークから最初のゼロ交差点までの区間を無信号状態にします。この時[Zoom In]で拡大すると正確に作業できます。
CD4.jpg

5) 正弦波を数サイクルだけ残し、信号の末尾区間でも上と同じ作業を行って最終的に下図のような波形を作成します。下図では5サイクルだけを残しました。最後のパルスは別に無くても構いません。
CD5.jpg

6) このように作成した信号を別の名前で保存します。以上で、信号の加工は終わりです。

この信号をFrieve AudioなりiTuneなりでリピート再生し、スピーカからの音を2つ前の記事で紹介したオシロスコープ(HandyOscillo)で観察します。その波形をソース信号波形と比較する事により、システムの過渡応答性を評価します。

Exact Audio Copyで表示した波形と比較しても良いのですが、同じオシロの画面で比較した方が容易であるため、PCの信号出力をマイクロフォン入力に接続して、ソース信号波形をオシロに表示させます。この際、出力レベルを相当下げないと信号が飽和してしまいますので注意してください。オシロに表示した波形の頭が平になっている場合は、出力レベルを下げる必要があります。下がオシロに表示したソース信号波形です。
oc1.jpg
この画面をキャプチャして、画像ファイルとして保存しておきます。

最後に、マイクロフォンをマイクロフォン入力に接続して、スピーカからの音響波形をオシロに表示します。この際、波形の振幅が上で保存したソース信号波形と同じくらいになるように、オシロの右側の縦スライダとアンプのボリュームで調整します。また、時間スケール(オシロの下の水平スライダ)は、ソース信号を表示した時と必ず同じにする必要があります。

下がマイクロフォンで計測したスピーカからの音響波形です。
oc2.jpg
これもキャプチャして、画像ファイルとして保存します。Frieve Audioで再生した場合、音響波形とソース波形の極性は逆になります(上下逆さま)。このため、実測波形を上下を反転して比較する必要があります。

PhotoShop等のレイヤ機能を備えた画像処理ソフトウェアを使用すると、画像を重ね合わせて比較できますが、そのようなソフトウェアを使用できない場合は、画面のキャプチャ画像を薄い紙またはOHP用紙に印刷して、重ね合わせて透かして見れば比較できます。この際、極性を反転するために片方の紙を上下逆にする事と、パルス位置を合わせて時間を一致させる必要があります。

下はPhoto Shopで重ね合わせた波形です。Alpair6MとIcon AMPによる再生、Frieve Audioの補正は一切なしです。
oc3.jpg
赤がソース信号、青が実測波形です。パルスを基準に時間軸を合わせています。また、実測波形は上下を反転しています。

この結果から、Frieve Audio未補正の実測波形は1/8周期程度遅れている事がわかります。また最初の2発の波形は振幅が小さく、完全に追従できていません。もちろん、再三お見せしたように、Frieve Audioの補正を適用すれば驚く程正確にソース信号に追従させる事ができます。

今までの経験から、バスレフ型では信号初期の応答で波形が大きく崩れます。僕は、バスレフ型の位相遅れそのものはそれほど問題ではなく、ビートが入った時の初期の過渡応答性に問題があるのではないかと見ています。これについては、そのうち実験で確かめてみますね。

今回はシンプルな正弦波信号を使用しましたが、CDの楽曲データの一部だけを切り出してテスト信号を作成する事もできます。例えば、仕事中に音楽を聴いていてオヤッと思う箇所があった場合、僕はまずカナル型イヤフォンで確認し、そちらが問題なければシステムに問題があると考えて、その部分の信号だけを切り出して再生波形を観察します。典型的な事例は、あの「春の祭典」の最強バスドラ信号です。LEANAUDIOでは、そのようなアプローチで対策と効果の確認を積み重ねてスピーカを開発してきました。

ちょっと手間がかかるので、誰にでもお薦めできる方法ではありませんが、工夫次第でいろいろ活用できると思います。高周波の現象になるとオシロのサンプリングレートが問題となりますが、1kHzくらいまでの現象には十分使えると思います。

位相遅れが何度かとか歪み率が何%かを見るだけであれば、スピーカ計測用ソフトで極めて簡単に計測できると思います。しかし開発屋としての経験から、生の波形をじっくりと観察する事が非常に重要だと思います。波形を見る事によって、単純な特性値を並べるだけでは決して得られないインスピレーションを掴む事ができるからです。なので、メンドクサがりやのハチマルでも、波形観測には手間を惜しみません。

とはいえ、深追いは禁物です。デンセンの違いによる最終的な音響出力のブツリトクセーの変化なんぞ、超精密計測器でも検出可能かどうか甚だ疑問です。そんなコマケー事を言っておるのではありませぬ。どうもブツリトクセーという意味を勘違いしている向きもあるようなので敢えて言っておきますが、デンセンだハイエンドだは、ハチマルの言うブツリトクセーとは最もかけ離れた存在です。

ハチマルが言っておるのは、再三再四申しているように、装置の個性や「オンシツ」ではなく「音楽」を真っ当に楽しみたいのであれば、基本中の基本である音楽再生クオリティを最低限整える事がまずは大切だよ!という事です。何もヒステリックな原音再生を求めるのではありませぬ。従って後は好みに応じて適度にオンシツを調整すればヨロシ。基本的に、それ自体を趣味とする者用ではなく、「音楽」を真剣に聴きたいリスナ用装置について申しておるのです。オーディオ装置による「音」の変化を楽しみたいマニアは好きにやればヨロシと思います。主たる目的が異なるという事です。

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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
2012年01月08日 (日) | Edit |
少なくとも音楽再生に拘るのであれば、あるいは音楽再生を趣味としてツイキューするのであれば、現在自分はどのような状態で音楽を聴いているのか? 自分のシステムはどのような特性なのか?を簡単に計測して、定量的に把握しておく事がとても大切だと思います。今回はハチマルがお薦めする最低限の計測についてご紹介します。

計測内容は2つだけ。
1) 周波数特性
2) 下限周波数の正弦波再生波形

普段の「リスニング位置」と、「スピーカの近く」(数10cm~1m)で計測する事をお薦めします。近くで計測するのは、部屋の影響を少なくして装置自体の特性を知るためです。

極めてシンプルな計測ですが、これだけで必要十分だと思います。これ以上精密な計測をしても、あまり実用的な意味は無いでしょう。必要十分な物理特性を満たした上で、後は好みに応じてオンシツを微調整すれば宜しいかと思います。

必要なハードウェア
まずPCが必要です。正弦波を観測するには、「再生」と「計測」を同時に実行する必要があります。僕のデスクトップPCでは、1台のPCで「再生」と「計測」を同時に実行できました。同時にできない場合は、PCをもう一台用意するか、正弦波信号のWAVファイルをiPod等で再生してアンプで増幅すれば問題ありません。ネットブック等のAtomプロセッサ搭載PCでも性能的に十分でしょう。また、DACが無くても、オンボードのサウンド機能を使用して計測できます。

あと必要なのはPC用の安物マイクロフォンだけ。

ハチマル愛用のマイクロフォン
087_20120107172552.jpg
ELECOM MS-STM54
定格 20Hz~16,000kHz
1,312 YEN
マイク先端の穴あきキャップを取り外して、ダイアフラムむき出しで使用しています。今までコレを使って様々な計測を行いましたが、特性的にこれで十分だと思います。

1) 周波数特性の計測
当ブログでもお馴染みの基本中の基本の計測ですね。Alpair 6Mと6Pを比較をして分かったのですが、両者のオンシツ的キャラクタの違いは、周波数特性のちょっとした凹凸の違いによってほとんど決まります。フラットに補正すると、聴感上の差は極端に縮まり、コーン材質による微妙なオンシツの違いだけが残ります。

このように周波数特性は聴感に最も直接的に影響するため、音楽再生において最も基本的で最も重要なファクタであると言えます。このため、制作現場のスタジオモニタの特性には厳しい要件が課せられます(参考記事)。装置自体の「音」の個性等に徒に拘るのではなく、真っ当に「音楽」を楽しもうとするならば、再生時の周波数特性を努々疎かにできないのは自明です。

計測にはまずソフトウェアが必要です。スピーカ計測用に特化した高機能なフリーソフトもあるようですが、ハチマルはFrieve Audioでシンプルに計測しています。FrieveAudioのダウンロードはコチラ。無料版でも計測できますが、たったの3200YENで購入できる音場補正機能付きの有料版を強力にお薦めします。この機会に是非お試しあれ。

Frieve Audioは計測用にASIOドライバを必要とします。PCのサウンドボードがASIOに対応していない場合は、ASIO4ALLというドライバが必要です。このドライバはコチラからダウンロードできます。

Frieve Audioの使用方法については、当ブログの「FrieveAudio音場補正」ジャンルに詳しく記載していますので、そちらを参照してください。

下はおなじみの測定結果です。スピーカはAlpair 6M。測定距離は約65cm (リスニング位置)です。
raw.jpg

普段は40Hz~8kHzの範囲で補正して、下図の状態で聴いています。
comp.jpg
このような下限周波数までの補正を行うには、密閉型である事が基本です。バスレフ型での低域の補正はお薦めしません。

ハチマルは、今まで様々な設定でいろいろなジャンルの曲を聴いてみた結果、40Hz/-3dBを一応の音楽再生要件と考えています。NHKに採用されたFOSTEXのモニタスピーカもこの要件を満たしています。ただしベトベン交響曲を聴く時だけは30Hzまで伸ばします(30Hzの信号レベルは非常に低いのですが、なんだかヨロシイ。。。とはいえ、最近交響曲はもっぱらSONYのモニタヘッドフォンで聴く事を好みます。こいつは30Hzでもバリバリに再生してくれます)。

スピーカから離れて聴くフルサイズのオーディオ装置の場合、部屋が比較的狭いと(部屋の中央より後で聴いていると)、定在波の影響で200Hz以下に激しいディップが発生する可能性があります。また、一般的に50Hz以下のレスポンスは逆に増加すると思います。あまり細かいディップやピークを気にする必要はありませんが、酷い場合はリスニング位置やスピーカの位置を変えると大きく改善できるかもしれません。そのような場合、大型スピーカを移動するのは大変ですから、13cm程度のウーハを小型の密閉型に入れた物を用意し、これをフルブーストして音源にすると便利です。

2.1ch方式は低域のセッティング自由度の面で非常に有利です。フルサイズの一般家庭用システムとしては、密閉型ウーハによる2.1chまたは2.2ch方式が最も理に適っているように思います。サブウーハがいまひとつ普及しないのはセッティングが難しいからではないかと思います。メーカは簡単なマイクとソフトウェアを製品にバンドルすべきでしょう。

100Hz以下の吸音は現実的に不可能と考えた方が良いと思います。カーペットやカーテンはもちろん、市販の吸音ボードでも効果は殆ど期待できないでしょう。それらの効果も計測で簡単に確認できます。最も手っ取り早いのは、スピーカに近付いてニアフィールドで聴く事です。

2)下限周波数の正弦波
周波数特性で40Hzまでフラットにレスポンスがあるように見えても、それだけでは安心できません。超低音領域で高調波歪みが多いと「ズン」と来る低音は聴けませんし、ダンピングが不足したり遅れているとビシッとバシッとしたノリノリのビートは楽しめません。すなわち時間ドメインでの評価が必要だと言う事です。ビシッとバシッとした低音再生を実現すると、低音の量感は下がったように感じると思います。ダンピングが不足したブワブワの低音のままフラットに再生すると、低音過多に感じるかもしれません。そのへんはカナル型イヤフォンなり、密閉型モニタヘッドフォンと聴き比べるとよくわかります。

低音再生のクオリティは、下限周波数の正弦波信号を再生してみるとよく分かります。位相遅れを見たい場合は、正弦波信号にパルスを重畳した信号を使用します。このような信号を生成するために、僕はWaveGeneというフリーソフトを使っています。コチラからダウンロードできます。

WaveGeneの画面
wg.jpg
この図では、40Hz/-6dBの正弦波に、40Hz/-10dBのパルスを重畳してLチャンネルだけに出力しています。デフォルトでは、パルスはゼロ交差タイミング(位相0°)で発生します。このソフトは波形を直接出力するだけでなく、WAVファイルも生成できます。そのように生成したファイルをFrieveAudioなりiTuneなりのソフトウェアで再生するか、あるいはiPod等にコピーして再生します。いずれの場合もリピート再生が便利です。

スピーカからの音響波形をマイクロフォンで収録してオシロスコープで観察する必要があります。波形観察用には、フリーソフトウェアのHandyOscilloを使用しています。コチラからダウンロードできます。

計測を行う前に、正弦波の再生に使用するソフトウェア(FrieveAudio、Itune等)またはiPod等で、普段よく聴く曲を再生してみて、普段の音量+αになるようにアンプのボリュームを調整します。そして、そのボリューム位置のままで-6dBの正弦波がどの程度正確に再生されるのかを観察します。

以下は実際にAlpair 6MとIcon AMP(+真空管バッファ)を使用してリスニング位置(65cm)で計測した結果です。ボリュームは標準より高めです。

まず50Hz/-6dBの正弦波です。少なくとも50Hzは楽勝でクリアして欲しいものです。
0sc 1
見た目には綺麗な正弦波となっています。オシロの重要設定箇所を黄色の丸でマークしていますので、参考にしてください。3本のスライダは波形が見やすくなるように調整してください。

次に、下側の時間軸のスライダ(赤でマーク)を調整してFFTを見やすくしました。
0sc 2
3次のピークは2次のピークより低くなっています。3次が2次より大きくなると音も波形もはっきりと変わります。

次に40Hz/-6dBの波形です。
0sc 3
波形が明らかに正弦波から崩れています。

40HzのFFTです。
0sc 7
3次のピークが2次のピークよりも高くなっていますね。通常の楽曲では、40Hzの信号レベルはそれほど高くないため、ほとんどの場合これでも問題ありません。マドンナのズンドコ(40Hz/-12dB程度)であれば問題無く再生できます。ただし「春の祭典」のバスドラだけは激しく歪みます。

常用音量範囲において、少なくとも50Hz、願わくば40Hzまでは、-6dBの正弦波を大きく歪ませる事なく再生して欲しいと思います。楽曲の信号レベルから考えて、余程特殊な楽曲でも聴かない限り、30Hzまでそれを求める必要性はないと思います。

最後に、興味があれば、低域の位相遅れを確認してみても良いかもしれません。例え密閉型スピーカであっても、低域の位相遅れは必ず発生します。密閉型SPを使用してFrieveAudio等のデジタル処理で補正しない限り、位相遅れを無くす事はできません。一般的に、密閉型SPであれば位相遅れをそれほど気にする必要はないと思いますが、ハチマルは共鳴点が50Hzよりも高い小型のバスレフ型でピチカートベース等に位相的な不快感を覚える事があります。

50Hzのパルス入り正弦波を再生してみました。
osc5.jpg
ソース信号のパルスはゼロと交差するタイミングで発生しますが、再生波形を見ると50Hzの正弦波がパルスに対して約45°(1/8周期)遅れています。この程度の遅れであれば、僕の聴感では全く問題を感じません。これは位相遅れの極端に少ないIcon AMPと密閉型スピーカの組み合わせによる結果です(ただし今回、例の真空管バッファを使っているためか、Icon AMPにしては遅れ気味です)。バスレフ型では一般的に密閉型の2倍以上遅れると言われます。また、Icon AMPはかなり特殊であると思われ、一般的なアンプではこれよりも遅れると思います(参考記事)。さらにアナログフィルタ(チャンデバ)によっても遅れが増加します。通常の古典的大型システムでどの程度の遅れが出るのか僕は知りませんが、興味深いところではあります。

計測は以上です。全て、「リスニング位置」と「スピーカ近く」で計測してみてください。そうする事により、システム自体の問題と部屋の問題を分けて考える事ができます。

このように簡単で大雑把な計測でも、システムの基本的な音楽再生クオリティを十分正確に把握できます。これらは最低限の基本的クオリティ要件であると言えます。実用的観点から、これ以上精密な計測は必要ないでしょう。計測条件をいつも同じにしてデータを残しておけば、装置を大幅に変更した際に比較できます。また、以前の状態に戻したい時にも参考になります。

計測結果に基づいて問題点をできるだけ解消した後に、FrieveAudioの自動音場補正を適用すれば、位相も含めて極めて簡単に良好な特性が得られます。ただし、補正前の状態を可能な限り整える事(特に定在波)と、密閉型システムを使う事が重要です。今までかなり癖のある状態で音楽を聴いていた場合、フラットに再生すると最初は随分温和しく聞こえるかもしれません。こういうのを「ツマラナイ」と感じるのでしょう。しかし、これが我々よりも遙かに高い音楽的素養を持つ制作者/表現者が調整して最終的に世に問うた状態です。数日聴いて耳が慣れてから補正をOFFにすると、今度はとんでもなく癖のある聴きにくい状態に感じると思います。

システムの基本的な物理特性が必要十分に整えば、後はそれこそ自分の好みに応じてオンシツを微調整すれば良いと思います。僕は真空管バッファを追加してみました。

自分の好みに合わせて装置を調整する場合、常に基準として戻るべき状態をしっかりと把握しておく事が大切だと思います。何事もそうですよね。何らかの絶対的基準を持つという事です。たとえ、その基準状態が嫌いであってもかまいません。

感覚だけを頼りに変更前の状態と変更後の状態を相対的に比較しながら、徒にミクロな「オンシツ」的現象に拘って調整に没入すると、それを繰り返すたびにどんどん「音楽再生」の全体像を見失い、ある方向にどんどんエスカレートするか、魔境に彷徨い込んでグルグルする事必至でしょう(感覚的な相対比較を繰り返すと、いつの間にか以前の状態に戻っていてもその事に気付かず、延々と彷徨う富士の樹海となる)。計測がめんどくさければ、カナル型イヤフォンやモニタヘッドフォンをリファレンスにすると便利です。これらは、何も補正しなくとも、極めて正確にソースを再生してくれます。

「音」そのものではなく、「音」で精緻に構築された「音楽」(アーチストさんの表現)を楽しみたいのであれば、上記の基本アプローチは大きく役立つはずです。是非お試しあれ。


追記
上の計測だけでは本当の過渡応答性を見る事はできません。それを評価したい場合、実際の楽曲のデータを切り出すか、上記で作成した信号に手を加えた特殊なテスト信号を使用します。それについてはまたの機会にご紹介します。

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