FC2ブログ
2013年06月25日 (火) | Edit |
バスレフ君の謎が解けたので、修正版を掲載します

--------------------------------

今回は3ウェイスピーカのアナログネットワークの位相と時間遅れについて簡単に検討します。

下記の一般的な3ウェイ構成を想定しました。
ウーハ: ~400Hz (バスレフ、密閉)
ミッド: 400~4kHz (密閉)
ツイータ: 4kHz~ (密閉)
全て-12dB/Octフィルタを使用

下は位相特性です
3ウェイ400クロス位相
- 例によって、入力信号の位相を絶対基準(ゼロ)とします。
- 各共振要素の出力の位相は、入力に対して共振点で-90°回転し、全体で-180°回転します。これさえ理解すれば、各周波数における位相回転量は簡単に求まります。

各周波数での位相回転量は下記の通りです。
1) ウーハ
○ バスレフ型の場合
- 第1共振ピーク: 15Hz / -90°
- 共鳴点: 40Hz / -180°
- 第2共振ピーク: 70Hz / -270°
- LPFカットオフ: 400Hz / -450°
共振要素は全部で3個(540°回転)
バスレフ型のポートの効果は2つめの共振ピーク(この例では70Hz)アタリまでです。これより高い周波数では密閉型と同じになります。

○ 密閉型の場合
- 共振ピーク: 60Hz / -90°
- LPFカットオフ: 400Hz / -270°
共振要素は全部で2個(360°回転)

2) ミッド
- 共振ピーク: 150Hz / -90°
- HPFカットオフ: 400Hz / -270°
- LPFカットオフ: 4kHz / -450°
共振要素は全部で3個(540°回転)

3) ツイータ
-共振ピーク: 2kHz / -90°
-HPFカットオフ: 4kHz / -270°
共振要素は全部で2個(360°回転)

各クロス点における正弦波出力は下図のようになります。
3ウェイ400クロス波形
黒が入力波形です。
400Hzではバスレフ型は密閉型と同じなので赤の波形はプロットしていません。

A: ウーハとミッドのクロス:400Hz
- この周波数では、バスレフ型のポートは全く作動せず、密閉型と同じです。
- バスレフ型でも密閉型でも、ウーハとミッドはこのクロス周波数1点において、時間的にも位相的にも一致します。
- ウーハとミッドは同極性で接続すれば良く、ウーハとミッドの振動板の平均位置(前後位置)を揃えればタイムアラインメントが取れます。

B: ミッドとツイータのクロス: 4kHz
- このクロス点において、ミッドの出力は入力に対して450°遅れ、ツイータの出力は入力に対して270°遅れます。つまりミッドはツイータに対して180°(0.125ms)遅れます。
- この場合、「位相的」に合わせたいだけであれば、互いに逆相に接続した上で、ミッドとツイータの振動板の前後位置を揃えれば済みます。
- このクロス点において0.125msのミスアラインメントを問題にするのであれば、同相で接続した上で、ツイータをミッドに対して4.25cm後方(340m/s÷4000Hz÷2=0.0425(m))に配置する必要があります。

下は縦軸を時間にしたグラフです。
3ウェイ400クロス時間
- このように、一般的な市販スピカのクロス周波数領域(数100Hz以上)であれば、アナログフィルタによる時間的な遅れは大して気にする必要は無かろうと思います。特に数kHzのツイータ領域になると時間的な問題は全く微小です。
- バスレフ効果は400Hzのクロス点では全く影響しませんが、ポート音の作動領域になると応答(音)は急激に遅れます。

なお、今回の検討では、各ドライバのインピダンスは共振周波数より高周波領域で全くフラットである事を想定しています。しかし、実際には周波数の増加とともにインピダンスは増加する傾向にあり、その影響を受けるため、同相/逆相どちらの方がディップが発生せずに綺麗に繫がるかは、実際にやってみないと分からないと思われます。そこのところはご理解くださいませ。

次回は、サブウーハを想定したもっと低い周波数でのクロスについて、実験君を交えて検討してみる予定です。
オッタノシミニ!

お役に立てたらクリックしてください。ランキングに参加してます にほんブログ村ランキング参加中
関連記事
スポンサーサイト



テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
2010年05月28日 (金) | Edit |
新システムのコンセプトについてまとめてみます。

基本コンセプト
1. 音色を支配する100Hz以上を好みのフルレンジ1発で持たせる
2.音色を支配する100Hz以上を好みのアンプで駆動する
3.音楽を下支えする100Hz以下は別の高出力/高DFアンプを使用してウーハーをバキバキ駆動する(バイアンプ)
4.両帯域間のレベル差は両アンプのボリュームで揃える
5.全体の音量はプリのボリュームで調整する
6. 全体をFrieveAudioのイコライザで調整して部屋の影響を修正する

このようなシステムでは、土台の低音システムを変えずにメイン システムだけ好みに合わせて変更できるので経済的なソリューションだと言えます。特に、低域の駆動力(DF)が弱い小型真空管アンプの弱点を補う事ができる点でも魅力的ではないでしょうか。100Hzという低い周波数でクロスするため、一般的な周波数でクロスするよりもつながりは自然だと思います。我ながら良くできたコンセプトだと自画自賛であります。
しかーーし

それでもやっぱりIcon AMPとAlpair5だけで馬鹿ブーストした方が、差は僅かですが低音がビシッとタイトで明瞭かつ自然に聞こえます。ロンさんのスピーディーなベースがGOOD。スピーカーが近い事もあり、この自然さを超えるのはかなり難しいようですね。。。と、ちょっとがっかり。

ところで、僕のジャズ コレクションの大部分はLPでリリースされた時代の(だいたい1985年以前)の楽曲です。これらの録音では、レコードプレーヤの針飛びを考慮してか低域信号レベルが高くなく、馬鹿ブーストでもほとんど問題無く聞く事ができます。従って新システムでも、ウーハーが常時ズンドコ動くわけではありません。ちなみにウーハー用のアンプをONにするのを忘れても、暫く気付かない程度です(苦労した割にはそんなもんなんです)。30Hzフラットと言うとさぞかしズンドコだと思われるかもしれませんが、基本的にジャズもクラシックもLP時代の録音では低域信号はあまり高くありません。特に50Hz以下なんてほどしかありません(ところが交響曲ではこの屁が重要なようか気がしてます。楽器の音というよりはホールの響きですかね?)。
228b_20100528154432.jpg
(参考記事はコチラ)

ところが、完全にCDだけの時代になってからの録音では、ちょっと事情が異なるのではないかという気がします。
僕のシステムは60年代のマイルス クインテットのロンカーターのベースの聞こえ方を重視してチューニングしていますが、彼の比較的最近のアルバムではベース音で馬鹿ブーストしたAlpair5が完全に破綻してしまいます(ブリブリとかビチビチとはしたない音が出る)。何もそこまでベース音を上げて録音せんでも良さそうなものですが、マイルス時代にひたすら伴奏に徹した反動ですかねぇ。ロンさん?

で、最近は全ジャズコレクションをランダム選曲で常時流しっぱなしにする事が多いため、馬鹿ブーストだとたまにズッコケルのが鬱陶しくて、これをなんとかするために今回の新システムに着手したというのが事の次第です。あ。それと、なんとか真空管アンプを使いたかったのよね。

ちょっと気が早いですが、新システムの改良案として、ウーハーにMarkAudioのCHR-70を片チャンネル2発使って見ようかなぁ。。なんて考えています。ちなみに10cmドライバー2発の振動板面積はほぼ13cmドライバーと同等になります。これにより、次の効果が期待できます(かな?)。

1) よりスピード感のある低音(振動板1個の質量が低い、剛性が高い)
2) より自然なつながり(ダイアフラムの材質、設計思想が同じ)
3) 音の発生中心が移動しない(Alpair5の上下にCHR-70を配置)

でもねぇ。。。考えてみたらAlpair7 一発で馬鹿ブーストした方が良いような気もするのね(低域がもう少し伸びるのと、Xmaxがでかいのでブースト耐性が高い)。あ、でも馬鹿ブーストだとまたシンクーカンがブチバチと。まぁ、新システムができたばかりだし、ボチボチ行きましょう。

追記
新システムとか偉そうに言ってますが、実はこれフルレンジ スピーカーにステレオ式サブウーハーを付けただけの事なんですよね。次回は「サブウーハーは2本必要か?」について書いてみるかな?

お役に立てたらクリックしてください。ランキングに参加してます
にほんブログ村
テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
2010年05月23日 (日) | Edit |
新システムでは約100Hz以下だけをウーハーに受け持たせています。今日はその基本的な考え方について書いてみます。

「フルレンジ スピーカー1本で全域を再生するのが理想」、これは誰もが認めている事だと思うのですが、その割には世の中あまりにも安直にマルチウェイ化しているような気がしてなりません。確かに、音域を区切って専用のユニットに受け持たせれば、個々の音域だけを見た場合のクオリティをフルレンジスピーカーより高める事はできるでしょうが、音楽というのは「低域ヨシ!」「中域ヨシ!」「高域ヨシ!」てな具合に聴くものではなく、全体のハーモニーをひとかたまりで感じるものだと思います。

275_20100523124044.jpg
例えばピアノは27.5Hz~約4.2kHzの音階をカバーしますが、その音階が途中から位置と形状さらに材質まで違う振動板から発せられるというのは、僕のエンジニア的センスからすると、最優先で回避したくなる問題です。特定音域の音質の優劣よりも、全域の調和を重視する事の方が、音楽を自然に聴く上では大切だと思うのです。僕がMarkaudio(マークさん)を高く評価するのは、スピーカー エンジニアであれば最優先で取り組むべきフルレンジドライバーの可能性の拡大に果敢に取り組んでいるからです。

以前テレビで見たのですが、音楽学校の学生さんにブラインドで2種類のスピーカーと生演奏を比較試聴してもらい、どちらのスピーカーの方が自然に聞こえるかを評価してもらうという企画がありました。この時のスピーカーは、フルレンジを使用したもの(例のスピーカーが上向きに付いた筒状のタイムドメインと呼ばれるやつ)と4Wayくらいありそうな超大型のシステム(多分この世界では有名なビルダーさんの製作によるもの)でした。結果は(テレビの企画の狙い通り)、どうみても安物の前者がかなりの差を付けて高い評価を得るという(意外な!と視聴者に思わせる)ものでした。まあテレビの企画なので話半分に見るとしても、十分にあり得る結果だと思います。オーヂオ病に冒されていない普通に音楽を聴く人々は、「高域よし!」なんて指さし呼称するような聴き方はせずに、全体の印象で評価するでしょうから。「オーディオ装置とは音楽を聴くための装置である」はずなのに、いつのまにか「装置の音を聞くための装置」になってしまうのがオーヂオ趣味のアブナイなところ。

と、前置きが長くなりました。

小径フルレンジ1発による全音域再生を実現する1つの方法として、僕はこれまでデジタルイコライザによる超極端な低域ブーストを試み、ニアフィールド リスニングによる小音量再生という前提であれば、一部の楽曲を除いて十分に実用になる事を確認しました。今回の新システムでは、前システムの限界(絶対音量、許容低域信号レベル)を拡大する事を目的に、フルレンジスピーカーの低域を最小限にサポートするシステムの構築を試みました。

一般的に100Hz以下の信号は、楽器の音色やステレオの定位にあまり影響せず、低音楽器の音色や定位は100Hz以上の倍音成分によって大きく支配されると言われます。このため、一般的な2Wayスピーカーに比べると極端に低い100Hzクロスオーバーを一応の目標としました。これによって、音楽の音色に強く影響する100Hz以上の全域をフルレンジスピーカー1本に受け持たせる事ができます。
272_20100523124539.jpg
ウッドベースのスペクトル。基音(音階)は43.6Hzですが、100Hz以上に倍音がどっさりと含まれます。

事前のスタディとして、音楽の中で100Hzの位置付けを実感するために、FrieveAudioのデジタルイコライザを用いて各種のフィルタ設定で音楽を聴いてみました。今回のその中の1例をご紹介します。

録音の方法
1. FrieveAudioによる例の馬鹿ブーストを使用して、Alpair5 1本で30Hzまでフラットに再生できるようにイコライザを設定する。
2. FrieveAudioで各種のフィルタを設定して音楽を再生する(R/L信号をミックスし、R側スピーカのみでモノラル再生)。
3. マイクロフォンをスピーカー前方約20cmの位置に置いて、別のPCで録音する(44.1kHz/16bit、WAV)。
4. ブログに添付するためにMP3フォーマットにエンコードする(256kb)。

515.jpg
再生時のAlpair5 1発のf特です(おなじみの30Hzフラット)

516.jpg
フィルタ設定の一例(図では200Hz~5kHzのバンドパスを設定しています)

以下にMP3ファイルを添付します。(ファイルが大きすぎてアップできませんでした)

コチラの記事に掲載しました。ご試聴ください。

次回は新システムでの測定データをお見せします。

お役に立てたらクリックしてください。ランキングに参加してます
にほんブログ村
テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用