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2011年12月03日 (土) | Edit |
仕事中に時々リサンプリングの設定を変えながらIA-7Eで音楽を聴いていました。例のシュワシュワ感はアップサンプリング自体に原因があるのではなく、Frieve Audioの超高域ノイズ付加機能(HSC)が効いているように思えてきました。これをOFFにすれば、アップサンプリングしてもシュワシュワしないような気がするような気もしないでもないかもしれないような、そんな気がします。。。。切り換えて直ぐに分かるわけではないので、確たる判断は難しい。。

という事で、実験君としてはこのへんを検証するために、アップサンプリングの効果を波形とスペクトルで確認してみました。

今回はベト3第1楽章冒頭のジャンジャンの2発目を抜き出してテスト信号としました。また、Lameエンコーダを使用して128kbps/44.1kHzのMP3信号も作成しました。

以下はFrieve Audioのスペクトル表示です。横軸はリニアですのでご注意ください。

リサンプリングなし(44.1kHz)
41 copy
横軸は44.1/2=約22kHzまでです。青がWave(CDのまま)、赤がMP3です。MP3では約13.5kHz以上の信号が含まれていない事がわかります。2本のグレーは、曲が始まる前の無信号区間(非常に微小なノイズが含まれる)と、第1楽章終了後の音が完全に静まった後のスタジオ暗騒音(録音機材のノイズを含む)です。無信号区間が約-108dB、暗騒音が約-96dBです。CD信号は22kHzで完全に途切れてしまいますが、本当の音は暗騒音レベルに達するまで、自然に減衰するはずです。恐らく30kHz程度までは伸びていると思われます。

x3アップサンプリング/96kHz出力
Frieve Audioは44.1kHz信号を3倍(132.3kHz)にアップサンプリングしてから、96kHzにリサンプリングします。
96 copy
横軸のスケールは96/2=48kHzです。上図とスケールが異なるので注意してください。WAVEもMP3も、元の限界周波数以上の成分は見られません。

x5アップサンプリング/96kHz出力
これはFrieve Audioで設定可能な最大のアップサンプリング(5倍、220.5kHz)です。Icon AMPでは、この設定がなんとなく良く聞こえました。以前のハチマル標準設定です(参考記事)。
96_2 copy
22kHz以上にCDの無信号ノイズレベルを少し超える成分が見られます。何故このような成分が現れるのか、よくわかりませんが、ノイズのようなものでしょうか。

3xアップサンプリング+HSC
3倍にアップサンプリングして、超高域ノイズ(HSC)をONにしました。
96_3 copy
超高域成分がドカンと付加されます。IA-7Eを初めて使用した時、このHSCがONである事に気付きませんでした。Icon AMPでは、これがONでもシュワシュワしないので気付かなかった模様です。いろいろ試した結果、アップサンプリングしても、HSCをOFFにすれば、IA-7Eでもシュワシュワしないような気がします。IA-7EはICONに比べて超高域の特性が伸びているからかもしれません(100kHzを軽く超えているというのがNuForceの自慢)。

次は波形を比べてみます。
ベト3のジャンの、極一部の区間だけを拡大して比較します。高域信号の違いを分かりやすくするために、8kHzの最大急峻なハイパスフィルタを適用しました。今回はスピーカで出力せず、DACの出力波形を直接オシロで比較しています。オシロのサンプリングレートは48kHzです。

MP3 hakei copy
グレーが元の44.1kHz信号、青がアップサンプリングなしのMP3、赤が5倍アップサンプリング(96kHz出力)のMP3波形です。8kHz以上の成分だけで比較すると、MP3波形はオリジナルからかなり崩れている事がわかります。アップサンプリングしても、オリジナル波形に近付くわけではなく、どちらかというと、尖ったピークが少し丸くなるような傾向が見られます。

追加実験として、WAVエンコーダを使用して、オリジナルデータから22kHzのWAVファイルを作成して比較してみました。このファイルの限界周波数は約11kHzです。これならば、48kHzの計測レートでもアップサンプリングの効果を確認できるはずです。
22k hakei
青がリサンプリングなし、赤が5倍アップサンプリング(96kHz出力)です。波形は128kbpsのMP3よりもマシですね。やはり、アップサンプリングしてもオリジナル波形に近付くわけではなく、尖ったピークが少し丸くなる傾向が見られます(と言っても、逆にもっと尖ってることろもある?)。

なお、3倍アップサンプリングの波形は、5倍と生の中間程度でした。3つ重ねると見にくくなるので掲載を省略しました。

以上のように、アップサンプリングしても、オリジナルのA/Dで失われた高域成分が復元できるわけでも、従ってオリジナル波形に近付くわけでもないと言えます。よく言われる波形の立ち上がりがシャープになるという事もなく、逆に低サンプリングレートで尖ってしまった波形ピークが少し丸くなるというのが効果と言えば効果と言えるかもしれません。ちょっと高音がマイルドになるという感じでしょうかね。

という事で、以前の関連記事に書いたハチマルのコメント:
信号再生クオリティとしては決して良い状態とは言えないんだけど、ナンカ良く聞こえる。という感じかな。。。。「音質」が向上したワケでは無い。むしろ「音質」は落ちている?
を裏付けるような結果であったと言えます。モトモトナイモンハナイノヨってやつです。NuForceの言う事もわかるけど、聴感ではなんとなく5倍アップサンプリングがホンの少し良く聞こえるような気がしないでもないような気もするような気がするので、従来通りこれを標準設定にしようと思います。HSCは絶対OFF。

IA-7Eは100kHzオーバーまで完全にフラットな特性を持っているそうですが、これを生かすには、超高域まで感度のあるマイクロフォンを使用して高サンプリングレートでデジタル化した音源を、それなりのスーパーツイータを使用して再生しない限り、その恩恵は感じられないのではないでしょうか。ハチマルのようにCDレベルのソースを聴くだけであれば、いくらアップサンプリングしても、可聴帯域さえしっかりと再生できれば十分という事かもしれませんね。Alpairフルレンジ + ICON AMPで必要十分という事でしょう。

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2011年11月29日 (火) | Edit |
IA-7Eを長時間聴いていると、妙な響き感があって前頭葉のあたりがシュワシュワして来ると書きました。

ところがネットラジオを聴いていると、そのような違和感を覚えません。と言う事は、10数kHz以上の超高域音の影響が怪しいと考えられます。前の記事のF特比較で見る限り、20kHz以下の高域レスポンスにアンプの差は全く見られません(マイクの定格は16kHzまで)。IA-7Eでは、それ以上の帯域の超音波が強く出ているという事なのでしょうか? ホンマニ????ちなみにメーカ発表のAlpair 6Mの超高域特性は20kHzに対し30kHzで10数dB落ち程度です。IAE-7は20Hz(-0.3dB)~120kHz(-3dB)、Iconは20Hz~20kHz(+/-1dB)だそうです。

よくわかりませんが、ともあれ、Frieve Audioのリサンプリング(96kH出力)や超高域信号の追加(HSC)を全てOFFにして、44.1kHzストレートで再生してみたところ、シュワシュワ感が薄れて聴きやすくなったような気がします(あくまでも「気」がするだけですけどね)。それでも高域がキツク聞こえるのでイコライザで少し調整しました。超ニアフィールドで長時間聴く場合、超高域が出過ぎると鬱陶しく感じるようです。クーキ感とかケハイ感とやらは一切要らんし。邪魔だし。。

という事で、とりあえずこの状態で聴いていますが、Icon AMPよりもちょっと太めでパワフルな感じがします。。ジャコのエレキベースも良い感じです。それとピアノで時々ハッとさせられます。。暫くこれで聞いてみましょう。

オーバーサンプリングに関しては、NuForceからの興味深いコメントを見つけました。以下はNuForceのハイエンドD/AコンバータDAC-9の商品説明からの抜粋です。

DAC-9は、卓越したシンプリシティーを基礎としており、その上で複雑なニーズに対応しています。最低限の信号処理と出来る限り短い信号経路がDAC-9の再生音を際立たせます。選択された入力ソースからの信号は、直ちに24-bit/192kHz(USBの場合24bit/96kHz)対応のノンオーバーサンプリングDACによってD/A変換されます。さまざまなテスト試聴の結果、アップサンプリングとサンプルレート変換はNFBのように有害無益であるという結論を得ました。したがって、一切のアップサンプリングやサンプルレート変換は行っていません。

下手な小細工するよりも、CDの信号をそのまま素直に増幅した方がヨロシイという事でしょうかね? 同社のハイエンドCDP (CDP-8)の内蔵DACも44.1kHz/16bitのままアナログに変換していると聞いた事があります。

確かに、信号のクオリティはソースの情報量で決まってしまうわけで、オーバーサンプリングしようがビット数を上げようが、泣いても笑っても、後処理でソースの真のクオリティや情報量を追加できるわけではありません。モトモトナイモンハナイノヨというやつですね。元の信号を改変しているので、真のクオリティは逆に低下していると言えなくもありません。さすがNuForce、徹底していますね。好きですよ、そういうアプローチ。DAC-9が数年後に中古で安く出回るようになったら手に入れても良いかもしれません。

さて、オマケの実験君コーナーです。

今回は、高域の再生波形を比較してみました。

下が信号波形です。クリックで拡大してご覧ください。
signal copy
基本的に5kHzの正弦波ですが、最初の立ち上がりはゼロレベルからプラス側最大まで1サンプリング周期で一気に立ち上がります。最後もマイナス側最大からゼロレベルに一気に変化します。また、途中の2箇所のデータを間引いて、1サンプリング周期でマイナス側最大からプラス側最大(またはその逆)に一気に変化させています。CDフォーマットでは、原理上、これ以上の急激な信号変化は存在しません(22kHzのフル振幅信号に相当)。

下がマイクロフォンで計測した音波波形です(Alpair 6M、モノラル、距離約10cm、ボリュームは相当大きい)
wave copy
赤がIA-7E、青がIcon AMPです。グレーで薄くソース信号波形を重ねています(時間方向のシフトは適当)。アンプ差は全く無いと言えるほどよく一致しています。音波波形は、最初と最後および途中2箇所の急激な信号変化には追従していません。これにはAlpair 6Mのレスポンスとマイクロフォンの感度が影響するため、全てがアンプのせいではありません。ただ、同一条件で比較した場合、アンプによる明確な差は見られないという事です。

聴感ではIA-7Eの高域がシャープに聞こえるため、信号変化の激しいとろころで音波波形に差が出るかもしれないと期待したのですが、予想は裏切られました。計測のサンプリング周波数がCDと同じ44.1kHzなので、これよりも速い現象は観測できません。超音波領域に感度を持つマイクロフォンを使用して、もっと高速な計測を行えば差が出るかもしれませんが、今のところ「可聴帯域の波形を見る限り」明確な差は無いと言えます。

下は信号が停止した後の音波波形の収束状態です。
gensui copy
赤がIA7-E、青がIcon AMPです。いずれのアンプでも、信号が停止した後に弱い振動が見られますが、Icon AMPの方が振幅が小さめです。複数回の信号を比較してみましたが、再現性は良好でした。

今まで波形やスペクトルに明らかな違いが見られた「密閉型とバスレフ型の比較」「デジタル音場補正ON/OFF比較」「デジタル位相遅れ補正ON/OFF比較」「アナログおよびデジタルフィルタの位相遅れ比較」「吸音材あり/なし比較」「Alpair 6 M&P F特比較」等に比べると、前回と今回の実験君結果を見る限り「音楽再生クオリティ」に関する両アンプの違いは極めて微小であると言えそうです。

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