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2011年11月10日 (木) | Edit |
今回は、電線と並ぶ代表的アクセサリであるインシュレータと音質について考えてみたいと思います。ここでは、スピーカ用のインシュレータだけを考えます。

「音楽再生クオリティ」の観点からは、下記の2点を満たすインシュレータが理想的であると言えます。
1) スピーカボックスの振動を支持体(床またはスタンド)に一切伝達しない事(機械的振動の完全な遮断)
2) スピーカを完全に固定できる事(ドライバの反動でボックスが運動しない事)

1)はスタンドや床の振動による付帯音を除去するためです。2)は柔らかいインシュレータでフローティングした場合に、振動板の運動が箱の運動によって相殺されないようにするためです。現実的に2)がどの程度音質に影響するのかは不明です。振動板に対して箱が十分に重ければ無視可能だと思われます(Alpair6Mの等価振動系質量は約3gであるのに対し、ポチ型ボックスは約2500gですから質量比で約800倍あります。さらに箱に重しを載せると改善されます。どなんすかね?要検討です)。

今回は1)に関してのみ考えます。

オーディオ用に出回っているインシュレータの多くは、金属製のスパイクや木または陶磁器でできた比較的堅いブロックです。これらは、柔らかいゴムや樹脂とは異なり、振動の吸収または遮断を主目的としたものとは思えません。特に、このような堅い材質では、振幅の大きな低周波振動を殆ど吸収/遮断する事はできないでしょう。

以前の記事でも紹介しましたが、「逸品館」さんのサイトに掲載されている興味深いコメントを下に再掲します。

インシュレーターに求められるのは「振動を抑制する能力」ではなく「響きを調和させる能力」なのです。響きを抑制するためだけなら、ブチルゴムやソルボセインなどの響きを完全に吸収するゴム系のインシュレーターが最適だということになりますが、振動を殺すだけでは音の生気が殺がれ鬱々としたおもしろみのない音になるというのは前述したとおりです。

つまり、スピーカボックスの振動を適度または積極的に支持体(スタンド、床)に伝達する事によって、そいつらまで振動させてしまおうというのが狙いのようです。また、スピーカボックスの底面をぺったりと支持体に置くよりも、ボックスが自由に振動できるという効果もあるのでしょう。形状や材質によって振動の伝達特性(周波数-伝達率特性)は明確に変わる事から、トッカエヒッカエすると如実に「オンシツ」も変わるため、アクセサリとして人気があるという事だと思います。インシュレータ自体の表面積は小さいため、インシュレータ自体が発する音の影響は小さいと思われます。

そのような振動の伝達を柔らかめの材質で遮断した方が明らかに付帯音が減る(すなわち「音楽再生クオリティ」は向上する)と思われますが、それでは耳に届く付帯的「響き」が減少するため耳寂しく聞こえるので、一般的に敬遠されるようです。この「響かせ好き」傾向は、オーディオを「趣味」とされる人々に典型的に見られる傾向のように思えます。僕にはある種「響き」の中毒症状のように思えなくもありませんが。。。

僕はスピーカをデスクに置いていたのでよくわかるのですが、木製の円錐ブロックをインシュに使うと、デスク板が振動して音が濁るだけでなく、低音振動がもろにデスク板から手に伝わって気色悪く感じました。このため、オーディオテクニカ製の柔らかいインシュを追加して対策していました。これにより音の濁りは改善されましたが、それでも低音部で微妙に振動を手に感じました。現在はスピーカを窓枠にガッチリ固定して、デスクへの直接的振動伝達を完全に遮断する事により、非常に良好な結果を得ています。しかし、この状態ですら、特定の低音で、おそらく機械的な振動伝達ではなく音響波の伝達によって(すなわち空気を媒介とする伝達で)デスク板が時々微妙に振動します。部屋の床と大型サイズ スピーカの関係は、このデスクトップでの現象をスケールアップした状態であると言えます。

余談ですが、円錐スパイクとスパイク受けによる支持方法は、大型の排ガス分析計の脚に使用されていた記憶があります。このような構造による垂直方向および水平方向の振動伝達率の周波数特性をネットで探しているのですが、見つかりません。どの程度の周波数から効果が出るのか興味があるのですが。。インシュメーカにはこのへんのデータを提供して欲しいものです。

インシュレータに関する宣伝文句やレビュー記事には注意が必要です。このようなインシュレータの効果は、専ら主観的「オンシツ」に関わるものであり(クオリティとは無関係なヒトスキズキな現象であり)、周辺条件に大きく依存する現象(すなわち、その時使ったスピーカ、その時使ったスタンド、部屋の床や壁の構造等によって大きく影響される現象)であるからです。そこに書かれている効果と同じ効果が自分の環境でも得られるかどうかの保証は全くありません。

すなわち振動の様相は、インシュレータを挟む両側の物理的状態によって千差万別だという事です。従って、基本的に高価な材質を使った方が音が「良く」なる(自分の好きなオンシツになる)というものではなかろうと思われます。それこそ、コインや木片や布やゴムやビール瓶の王冠やナンヤカンヤ、堅いの柔らかいの三角や四角や、片っ端に組み合わせて試してみれば良いのではないでしょうか(もしプラシボ効果を完全に排除できるならね)。何故ならば、そこに普遍的な理想状態があろうはずもないからです(他方、冒頭で述べたように、「クオリティ」という観点の理想状態は明らかであり、それは完全に振動を遮断する事です)。

以下ではスピーカの設置方法と周囲の振動について、具体的な例を挙げて考えて見たいと思います。

例として、タンノイの古典的大型スピーカ(オートグラフ等の箪笥みたいなやつ)を想定します。これらのスピーカは、箱を積極的に振動させて(鳴かせて)音づくりをしているとされ、一般的にセッティングが非常に微妙だと言われています。つまり、部屋の中の設置場所または設置方法で音が大きく変わるという事です。

これは置き場所によって床や壁の振動形態が大きく変わるためだと考えられます。例えば床ですが、多くの場合、床は全面がべったりと均質に支持されているわけではなく、何本かの支柱で支持された下地床、または、支柱に差し渡した構造材(根太)の上に張られているため、どの位置に振動を入力するかによって、床の振動形態(周波数、振幅)は大きく変化するはずです。

また、壁に近付けるにつれて、床から壁に機械的に伝わる振動だけでなく、振動するボックスの表面と壁の間に形成される空間も音響特性に大きく影響するはずです(ボックス表面から壁に音響振動が効率良く伝達されやすくなる、とにかく面積が大きいので影響も大きい、平行であれば定在波も影響するかもしれない、コーナー型は2面が影響)。

箱がシッカリ制振されたスピーカであれば、音響波は開かれた空間(すなわち部屋の中央)に向けてのみ直接放射されるため幾分ましでしょうが、このように箱全体を積極的に振動させている巨大スピーカを普通の部屋に設置する場合、部屋の影響には特に注意が必要だと考えられます。せっかく精妙に作り込まれた箱なのに、このような部屋では自分の部屋の鳴りを盛大に聞かされる事になりかねません。本当の箱の鳴りを聴こうとするならば、設置場所近くの床の補強と制振および壁の制振を施した上で、床への振動入力を極力遮断するために、振動遮断性の高いインシュレータを使用する必要があるかもしれません。ただ、重量が重量なだけに、十分な振動遮断効果を得るのは簡単ではないかもしれません。出来るならば、床下からスピーカ設置用のコンクリート基礎を床面まで立ち上げたいところです。これにより、僕がスピーカを窓枠にガッチリ固定して、デスクトップから振動的に完全に分離したのと同じ効果が得られます。

部屋が鳴らなくなると「響き」が減って、最初は耳寂しく感じるかもしれませんが、それがそのスピーカ本来の響きだという事です。歴史に残る名機であればこそ、精妙に作り込まれた鳴りを伏して拝聴してみるのも悪くないでしょう。この種のスピーカはある種それ自体が貴重な「作品」であるわけですから、音楽を「作品」として鑑賞するのと同様に、その時代の技術屋と職人の「表現」を素直に鑑賞してみるのも素敵かもしれません。

50年代のイギリスまたはアメリカでそのような超高級スピーカを購入するような顧客層の住環境は、きっと本物の暖炉があって(床には虎の毛皮?)、壁には勲章なんか付けたお髭のエライご先祖様の肖像画の1枚や2枚は掛かっていそうな邸宅ではないかと思われます。我々の現在の標準的住環境からは、広さおよび構造ともにあまりにかけ離れているのではないでしょうか。そのスピーカの本当の音を愛でたいのであれば、相当な対策を覚悟する必要があるかもしれません。むしろ、畳敷き塗り壁の純和風家屋の方が、このようなスピーカの響きに耳を傾けるには向いているのかもしれません。特注サイズの畳インシュレータシートなんかどうでしょうか。畳屋さんのサイドビジネスとして。。。

しかし部屋というのは厄介です。大型SPを狭い部屋でそれなりの音量で使用する場合、音響面(吸音、反射等)だけでなく機械的振動面での対策も重要となるでしょう。その1つの対策として、インシュレータによる振動遮断が重要となるはずです。

次回はシリーズ最終回として「音楽再生クオリティ」と「オンシツ」に関してまとめてみたいと思います。

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以下参考資料です(出典)
マンションの場合
マンションの床の構造には、大きく分けて「直貼り」と「2重床」の2種類があります。

「直貼り」は、建物の構造体である鉄筋コンクリート床スラブの上に、モルタルを塗り、その上に直接、フローリングを貼る方法です。

「2重床」は、文字通り2重になる床です。鉄筋コンクリート床スラブの上に、束という支柱を立てパーティクルボードなどで床下地をつくり、その上にフローリングを施工する方法です。スラブと下地の間は空間ができるので、遮音性や断熱性が向上するといわれています。また、この空間に給水給湯配管や電気配線を通すことができ、配管のメンテナンスも容易になります。

戸建ての場合
戸建住宅のフローリングの張り方は、主に「根太貼り工法」「捨て貼り工法」の2種類があります。

「根太貼り工法」とは、根太の上に接着剤と釘でフローリングを張って仕上げる方法です。

「捨て貼り工法」とは、根太の上に合板などを下貼りし、その上にフローリングを施工する方法です。床の構造を安定させ、床下からの湿気を防止するために施工されます


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テーマ:オーディオ
ジャンル:趣味・実用
2010年11月29日 (月) | Edit |
前の記事続きでインシュレータについて。。。

様々な形状や材質のインシュレータが随分高価に売買されていますが、常々不思議に思う事があります。それは、オーディオ用として売られているほとんどの製品が振動の遮断または減衰を主目的としているように見えないという事です。例えば、よく見かけるスパイク状の物や、単なる木や焼き物のブロック等がこれにあたります。これらでは効果的に振動を「インシュレート」(絶縁)できるとは思えません(特に低い周波数)。特性データも一切公表されていないし。。ヤタラと高価だし。。不思議だなぁ。。。。。。。と思っていたら、逸品館さんのサイトで下記の説明を見つけました(コチラ)。現在主流のオーディオの傾向を象徴しているようで非常に興味深く感じたのでご紹介です。

インシュレーターに求められるのは「振動を抑制する能力」ではなく「響きを調和させる能力」なのです。響きを抑制するためだけなら、ブチルゴムやソルボセインなどの響きを完全に吸収するゴム系のインシュレーターが最適だということになりますが、振動を殺すだけでは音の生気が殺がれ鬱々としたおもしろみのない音になるというのは前述したとおりです。

やっぱり振動伝達の遮断が主な目的ではないようですね。「響きを調和させる」と言うことはスタンドや床も適度に響かせてしまおうという魂胆なのでしょうか? オーヂオマニアってホントに「響かせ」好きなのね、と感心させられます。アノテコノテというか。。そんなに響かせないと音楽って楽しく聴けないモノなのでしょうか?

ハチマルは不思議でなりません

- ソースの音ってそんなに「生気が無くて、鬱々としてて、オモシロミが無い音」なのか
- という事は生音が「生気が無くて、鬱々としてて、オモシロミが無い音」だという事なのか
- それともソースの音には生音の「生気やオモシロミ」が十分に含まれていないという事なのか
- 音楽の「オモシロミ」を楽しむ上で、「音」そのものにソース以上の「オモシロミ」がソンナニ必要なのか

これは吸音材とかとも根は同じですね。
ハチマルは余計な響きがあると本来の「音楽」がよく聞こえないので逆にフラストレーションが溜まってしまいます。別にウーーーンと眉根を寄せてディティールを聴き取ろうとしているワケではありません。そんなコトしたらツマラナイ。ただ「音質」なんか気にせずに「音楽」に聴き入っている時って、無意識にかなり細かい部分まで音を追いかけているみたいで、音に付帯的な響きや癖があると「音楽」が聴きにくく感じて、そのうちフラストレーションが溜まり始めるんですよ。それに、ハチマルには微妙で豊かな楽器の響きがタップリとソースに含まれているように聞こえますし。。。。というか付帯音を落としてゆくほどそれらの音が澄んで、より自然に聞こえますし。。。。こういのを「生気」がなくなるとか「鬱々」とか言うんですかねぇ。。。良く分かりません。

こんなのハチマルだけなんでしょうか?
オーヂオ関係の雑誌やブログやHP等、どこを見ても「響き感」や「音場感」や「ナントカ感」や「カントカ感」ばかりで、なんかダンダン寂しくなってきました。

追記
Alpair6のMとPを比較した時に感じたのですが、二者を直接比較するとキャラの立つ方へ印象がどうしても引きずられてしまうようです。感覚による絶対的な評価というのは非常に困難であると感じました。あれこれトッカエヒッカエやって相対比較を繰り返しているとエスカレートする面もあると思いますので、たまにはヘッドフォンなりイヤフォンなり密閉型モニタスピーカなりで暫く耳を慣らして(最初は墓場で聴いているように感じるかも知れませんが2、3日我慢して聴くと慣れるかも)、時々感覚をリセットしてみても良いのではないでしょうか。ちなみに僕の場合、スピーカーで変に聞こえる部分があった場合にはカナル型イヤフォンでチェックし、それでも同じように変だったら原因はソースにあると考えてそのまま受け入れます。だって、それ以上はやりよう無いですもんね。

どこかのブログで読んだのですが「さるオーヂオマニアさんが生演奏を聴きに行ったら、普段オウチで聴いているよりも音がキツクて耐えられずに途中で出てきちゃった」なんて逸話がありましたし。。。要らぬオセッカイかも知れませんが。。

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