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2013年11月13日 (水) | Edit |
ヘッドフォンのF特を簡単に計測してみました。

例によってハチマル流のいたって雑で簡単な方法です。ヘッドフォンを頭に装着した状態で、イヤパッドの隙間からDaytonのマイクロフォンを突っ込んで、先端を耳穴の位置に(といっても、手探りです)来るように保持して計測しました。

下が計測結果です。
EQ Off
5kHz以上の帯域では、マイクとヘッドフォンのちょっとした位置の違いで特性が大きく変化するため、グラフには表示していません。
緑がSONY MDR-Z1000(密閉型モニタ)水色がSONY MDR-F1(オープン型)赤がSoundBraster EVO ZXR (イコライザOFF)です。ご覧の通り、EVO ZXRはかなり低音寄りの特性を示しています。デフォルトのDSP設定では、さらにバスブーストを効かせていたので、とんどもない事になっていたはずです。お店で試聴される場合は、気を付けてください。

ちなみに、MDR-Z1000でも僕には少し低音が出すぎるように聞こえるので、サウンドカード(SoundBraster ZXR)のイコライザ設定では63Hzバンドを-6dBに設定しています。逆にMDR-F1に対しては、サウンドカードのDSPでバスブーストを効かせています。

EQ On
F特を観察しながら、iPod Touchのアプリを使ってEVO ZXRのイコライザを調整しました(赤)。昨日は、この設定でイロイロな曲を聴いてみましたが、ZAPと同様に違和感なく聴く事ができました。ヨロシーノデハナイデショーカ。

下がアプリ画面です。
EQ.jpgDSP.jpg
前記事と同様、イコライザの125/250Hzバンドは-7dBに設定しています。今回の設定では、2/4kHzバンドも調整しています。DSP効果は、基本的に「Surround」だけをONにしています。ライブラリをランダム再生する場合は、ボリュームレベルを揃えるために「Smart Volume」をONにします。

買ったままのデフォルト設定では低音が出すぎて、僕にはとても音楽を聴ける状態ではありませんでしたが、このような調整によって、ZAP君と同様にゴキゲンに音楽を聴けるようになりました。恐らく、今後イコライザを変更する必要は殆どないでしょう。

今回のEVO ZXRの場合、同シリーズの他のモデルよりも大径(50mm)のダイアフラムを採用したせいか、素の状態では低音が出すぎるため、イコライザで減衰させる必要がありました。だったら大径ダイアフラムは無駄なのか?というと、決してそうではありません。イコライザで信号を減衰させる事によって、ダイアフラムの振幅を抑える事ができ、低音の歪みを改善できるからです。つまり、ダイアフラムを小径にして素のF特をフラットにした場合よりも、振幅を下げて歪みを改善できるという事です。特に、ゲームやムービーのような強い「重低音」を含むソースには有利かもしれません(音楽再生専用であれば、40mm径で十分だとは思いますけどね。。)。

追記
DSPを内蔵してメカトロ化を進める事で、メカ側(すなわちスピーカ)の設計自由度が大幅に向上します。すなわち、素のF特をフラットにするために、機械設計に各種の妥協を強いられる事がないという事です。最終的に、システムトータル(リスナの耳位置)で最善の結果が得られれば良いわけですからね。単品だけで最適化したコンポーネントを組み合わせても、システムトータルで最適な結果が得られるとは限りませんし(大概は困難)、莫大なコストがかかり、システムは巨大化/複雑化します。そういう事です、メカトロ化するという事は。。このようなアプローチや考え方は、オヂオに対してヘンテコリンな拘りの無いPC屋さんの方が得意でしょう。きっとね。。。

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EVO ZXRは販売店限定です。
下はノイズキャンセラなしのEVO Zxです。
お間違いなく。

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2013年03月12日 (火) | Edit |
SONYのWalkmanにはサラウンド エフェクタが内蔵されているようです。

walkman.jpg

SONY独自のアルゴリズムらしいですが、サウンドブラスタやWindowsのサラウンド機能と似たようなものであれば十分に使えると思います。iPodにも欲しいナァ。。。別にヤヤコシイ事する必要はなく、適当に左右を混ぜられるようにしてくれるだけで僕には十分です。

それと自由に設定できるイコライザも欲しいですね(iPodではプリセットしか使えない)。ソースによってはヒスノイズが目立つものがあり、大概4kHzバンドを下げると改善されます。欲を言えばヒスノイズ キャンセラーみたいなのがあるとアリガタイ。ヘッドフォンだとスピーカで聴くよりもヒスノイズが目立ちますからね。まぁ、若い子達はヒスノイズが乗ったような古いソースを聴かないのでしょうが、先日Appleストアからダウンロードした古いジャズのソースではヒスノイズが目立ちました。

こういうのって、やたらコマケーオンシツがドシタコーシタよりも音楽を快適に聴く上で余程切実で基本的な事柄だと思うのですよね、僕としては。もうコマケーオンシツは全く必要十分なレベルに達していると思います。

ところで新型Classicの噂は全く聞かないですね。無くなるのじゃないか。。。という噂すら聞きます。ドナンデショウカ?

今後はiPodやWalkman等の音楽再生専用機種は減少するでしょう。なにせ電話機で全く同じ事がデキルンですからね。iPhoneとiPodを両方持ち歩くヒトは居ないでしょう。コンパクトデジカメと似たような運命ですね。そのような中でiPod Classicが生き残れるのかどうか?あるいは存在意義が逆に高まるのかどうか?結局iPod Classicを欲しがるのはオッサンだけなのかどうか?

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2012年12月29日 (土) | Edit |
ブースト方式の再生限界音量について考察を加える前に、各種のイコライザを使ってブーストした際の実際のスピーカ音圧波形を確認してみました。

今回テストしたのはFrieve Audio、iTune、Sound Blasterのグライコ(以上デジタル式)とアナログ式のBehringer製9バンドグライコです。

テスト信号には125Hz/0dBFS(デジタル フルスケール)の正弦波信号を使いました。スピーカとアンプは完成したばかりのGAMA君です。

FrieveAudio
Frieve 0 Frieve 3
左がブーストなし、右が+3dBブーストです。AVC(自動ボリューム調整機能)はOFF、マスターボリュームはMAX(0dB)です。Frieve Audioの場合、信号レベルがフルスケールを少しでも超えると波形はテキメンに変形します。このため通常はAVCをONにするか、ブースト係数がゼロを超えないようにマイナス側にシフトしておく(つまり低域をブーストするのではなく高域を減衰させる)必要があります。なお、以前の記事で述べたように、音圧波形は振動板変位の微分波形である事に注意してください。

iTune
iTune 0 iTune 6
iTune 9 iTune 12
左上から、0、+6、+9、+12dB、iTuneのボリュームは最大です。iTuneの場合、ブースト量が+6dB以下であれば、信号が飽和してもFrieveAudioとは違って波形は直ぐには崩れません(振幅は全く増えない)。つまり、0dBより振幅が小さな信号は0dBレベルまでブーストされますが、それ以上には絶対にブーストされないという事です。通常の楽曲では、信号がフルスケール近くに達するのはホンの一瞬ですので、ブースト効果はこれでも得られます。+6dBまで波形は綺麗に保たれますが、それ以上ブーストすると処理しきれずに波形が崩れます。iTuneの場合、ブースト量はできれば+3dB、最大でも+6dB以下に制限する事をお薦めします。それ以上ブーストしたい場合は一番左の「プリアンプ」スライダを下げると良いでしょう(例: +9dBブーストしたいのであれば、プリアンプ スライダを-3~6dBにする)。僕の経験では、実用的にこれでまず問題を感じないと思いますが、心配な方は、例えば最大+9dBブーストするのであれば、プリアンプ スライダを-9dBにすると安心です。なお、プリアンプ スライダを下げると全体の音量が下がるので、アンプのボリュームを上げる必要があります。

Sound Blaster
Sound 0 Sound 6
Sound 12 Sound 24
左上から、0、+6、+12、+24dBです。このイコライザでは、フルスケール信号でも約+4dBまではブーストされるようです。内部処理(24bit)で4dB程度のヘッドルームを持たせているのではないかと考えられます。最大ボリュームでの再生音量が以前のDACよりも小さめなのはこのためかもしれません。また、+24dBまでブーストしても振幅は+4dB以上には増加せず、iTuneとは違って波形も殆ど崩れません。ブースト量はiTuneよりも+4dBの余裕があり、できれば+7dB以下、最大で+12dB程度まで実用的に問題をほとんど感じずに使えるでしょう。実際、Sound Blasterのグライコ画面では+12dB以上のレンジにシェードをかけています。スケールオーバーしても波形が殆ど崩れないため、一種のリミッタとしての機能も果たしてくれます(例えばフルスケールに近い「春の祭典」のドラムスのピークは+4dBまでしかブーストされず、レベルが低い他のパートの信号は最大で12dBまでブーストされる)。しかし、心配な方は、iTuneと同様に一番右の「レベル」スライダを適宜落とした方が安心でしょう。約4dBのヘッドルームがあるので、例えば+9dBブーストしたいのであればレベルスライダを5dB下げると安心です。
なお、上のテストではマスタボリュームが75%でした。しまったと思って100%でも計測してみましたが結果は変わらず、フルスケール信号で約+4dBのブーストが可能でした。FrieveAudioとは異なり、こいつのマスタボリュームはこのへんのデジタル処理に直接関連しない模様です(マスタボリュームで音量を絞ってもビット落ちしない?)。

さて、以上はデジタルイコライザでのオハナシでした。デジタルイコライザでは処理後の信号レベルがデジタル上のフルスケールによって完全に制限されるため、基本的に低音をブーストするとはすなわち高音を相対的に減衰させる事だと考える必要があります。従って16bitのソースを16bitのまま処理すると微小信号レベルの情報が失われてしまうため、24bit以上で内部処理する事が望ましいと思われます。

しかし、アナログイコライザの場合これは足枷になりません。下はベリンガのグライコによる結果です。
bering 0 beri 12
左が0dB、右が+12dBです。FFTの読みでほぼ額面通り(+11.5dB)のブースト効果が得られていました。グライコには入力/出力のレベルメータが付いていますが、Sound Blasterをフルボリュームしてフルスケール信号を入力しても出力CLIPの赤LEDは点灯しません(+6dBの黄LEDが点灯)。Sound Blasterのイコライザで少しブーストすると赤CLIPが点灯する事から、ほぼギリギリの状態にあると思われます。また、チビICアンプの入力レンジも十分にあるようです。このように、アナログイコライザを使用する場合、デジタルフルスケールの制限を受けないという利点が得られます。なお、デジタルの場合でも、DACの出力電圧レンジとアンプの入力電圧レンジをシステムトータルで最適化すれば、この問題を克服できるはずです。

次回は、ZAPとGAMAでブースト方式の実用最大音量レベルについて検討します。明日アップできるかどうか??
GAMA君の製作ですっかり年末の予定が狂い、昨日やっとベランダとトイレと自分の仕事部屋を掃除できました。ほっと一息です。結局大晦日に大阪に帰省する事になりました。今年も忙しかったなぁ。。。

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2012年09月05日 (水) | Edit |
現在、改良型Alpairの低音再生能力について実験君中です。マークさんが改良型ユニットを送ってくださったので、仕事の合間にそれらのユニットを評価しています。そのうちこのブログで結果をご紹介できるかもしれません。できるだけ暗騒音を下げる必要があるので、家族の外出中を狙ってやっています(足音やドアの音が入ると、波形が崩れるので)。測定中は窓も閉めて、扇風機も止めるので暑くて仕方ありません。

スピーカによる音楽再生において、最も困難なのが、低音再生です。前の記事で、低音再生についてタクサンご質問を頂き、タクサン回答を書いたので、せっかくですから記事として残しておきたいと思い、以下にまとめて掲載しておきます。原文をご覧になりたい方は、1つ前の記事のコメントをご覧ください。殆どコピペですが、一部加筆しています。

Q: フラットにした場合小さい音量でも40-60Hzの音は聞こえるものでしょうか?基本的には小さい音でききますので。
「低音量」というのがくせ者です。「爆音ではない」という意味の「低音量」であれば、程ほどの音量で聞いておられるのかもしれません。確かに音量が低いと低音は聞こえにくくなりますが、「音量」は音響パワー(スピーカから出る音の大きさ)ではなく「耳」に届く音圧レベルで考える必要があります。例えば、小さい部屋でスピーカの近くで聞けば、大きい部屋でスピーカから離れて聞くよりも、再生出力(パワー)が同じでも「耳」には大きく聞こえます。例えば、イヤフォンで「耳」が壊れるほど大音量にしても、出力パワーはたかが知れています。

ちなみに僕が普段聴いているリスニング位置(1m以内)での音圧レベルは、通常の楽曲で概ね最大75~80+α dBA程度です(A特性、FASTフィルタによるMAX値)。音量を上げ気味にしても最大85dBAを超える事は絶対にありません。コンサートホールの中央席辺りでの交響曲の最大音量もその程度のようです。大部分の人は、音楽を聴く場合80dBA以下を快適音量と感じるようです。100dBAにも達するアホみたいな爆音で再生した場合、フラットに低音を再生すると、実際よりも低音が聞こえ過ぎるでしょう(人間の耳は音量が上がると低音がよく聞こえるようになる)。だいたい耳の健康に良くありません。
僕の耳/僕のリスニング条件では、ロールオフのなだらかな「密閉型」で50Hzまでフラットに再生できれば、一般的な音楽ソースを聴くには必要十分だと思います。低周波が聞こえるかどうかは、低音(30Hz)まで低歪みで再生できるスピーカを使い、アンプを普段のボリュームの上限くらいに設定して、普段のリスニング位置で、正弦波信号(16ビットのフルスパン-6dB程度)を再生してみればわかります。バスレフ型の場合、同調周波数以下の出力は急激に低下しますので、この種の実験には向きません。ご注意ください。

僕の場合、50Hzは確実に聞こえます。40Hzはかなり感度が落ちますが聞こえます。30Hzはもう殆ど聞こえません(歪みの少ないAlpair10を使った場合)。このような超低域では、スピーカの高調波歪みが増加します。高調波歪み(特に3次以上)が顕著だと、実際よりも音(偽の音)が聞こえやすくなってしまうので注意が必要です(正弦波の音を聴き慣れれば歪みは耳で分かります)。マイクで再生波形をモニタできれば理想的です。
また、周囲の環境騒音にも影響されますので、静かな時間帯に試してみてください。我が家の環境では、昼間は結構低周波騒音が大きいように思えます。自動車の音かな? モニタヘッドフォンやカナル型イヤフォンであれば周囲音に影響されないので、お持ちであればそちらでも試してみてください。この場合も、普段聴く曲でボリュームを調整した後にテストしてみてください。

もしかして、ご質問の根拠は、巷で言われている「低音の再生限界は部屋の寸法によって決まる。小さい部屋では低音は再生できない。」ですか?
これについては、一体全体、何を根拠にそのような事が言われているのか、僕には全く理解できません。部屋の定在波の周波数は部屋のサイズで決まりますが、スピーカから再生される直射音は当然部屋の影響を全く受けません。また、小さい部屋であっても、定在波や音響特性を利用して、低音再生を増強する事も可能です(ZAP君の位置であれば、50Hz以下は部屋が増強してくれるし、TONO君のようにコーナーを利用すると、部屋は小さくても低音は出すぎるくらいになる)。 このジャンル、根拠不明の迷信が多いような気がします。

Q: 小さい音量でも40Hzからフラットに聞こえるか?の質問は単純に低音聞くなら、大きいスピーカーで大きい音量でしか聞けない物だと思っていたからです。
どのように小さな振動板でも、40Hzの信号が入力されれば40Hzできちんと振動してくれます。ですから、カナル型イヤフォンのように、振動板と鼓膜の間を密閉してしまえば、数mmの振動板でも38cmウーハーよりも低い音まで再生可能です。
広い空間に置かれたスピーカの場合、空気が振動板の周囲へ逃げてしまうために、小さな振動板では低周波で効率が落ちてしまいますが、信号をブーストして振幅を上げれば、低音をフラットに再生できるようになります。何も不思議な事ではありません。低音だけアンプのボリュームを上げるのと同じ事です。大きな振動板は低音を「出しやすく」小さな振動板は低音を「出しにくい」というに過ぎず、小さな振動板で低音を出すのは不可能だという事ではありません。
小さな振動板をブーストして低音を出す場合の問題は、振動板の振幅限界によって最大音量が制限される点にあります。このため、AlpairのようにXmaxが大きなドライバを使う必要があります。小さな部屋で適度(Max80dBA程度)な音量で聞くならば、小さな振動板でも大丈夫ですが、大きな部屋で爆音再生するには大きな振動板が必要です。密閉型のロールオフをイコライザで補う場合、必要な振動板の大きさは必要音量(必要音響パワー)によって決まります。密閉型で大音量が必要な場合、パワードサブウーハー方式が理想的でしょう。ブースト方式よりもサブウーハー方式の方が汎用性は高いと思います。マイクロ2.1のケロ君はたった8cmのウーハーで50Hzまで全くフラットに再生してくれます。ちなみにケロに使っているAura 3"のXmaxはブットビにデカイみたいです。

Q: マンションの一室でそんな音出たら逆に困るなーとかも思っていました。
部屋が狭かろうが広かろうが、フラットに再生した低音はうるさくはありません。高調波の少ない真にフラットな低音は意外と地味です。ただ音が全体的にズンと重くなるだけです。高調波の少ないフラットな低音は、200Hz前後を強調したいわゆる「ズンドコ」の低音とは異なります。また、リスナの耳位置での音圧レベルを同じにした場合、部屋が狭い方が距離も近く駆動すべき空気の量も少ないため、再生音量(音響パワー)を下げられます(小さなスピーカで済む)。部屋が広いほどスピーカが出さねばならない音(音響パワー)が大きくなるため、かえって近隣への影響が大きくなるでしょう。また、一般的に、音量(音響パワー)が大きくなればなるほど装置(スピーカ、アンプ)の歪みや、部屋自体(床や壁等)が発する騒音は増加します(クオリティは低下する)。考えようによっては、音響パワーを低く抑えられる狭い部屋の方が、良質な低音を再生しやすいと言えなくもありません。その極限状態が、小指の先ほどしかない振動板を使うカナル型イヤフォンです。また、近隣への影響が気になる場合は、ニアフィールドシステムが理想的です。

Q: バスレフ、密閉話も重要視している人が少ないのかそんな議論はあまり見たことなかったので盲点でした。
バスレフ型の原理的な問題点は、僕が中高生の頃の入門書には必ずきちんと書かれていましたが、最近はそのような超基礎的な知識が広く一般に行き渡っていないように思えます。最近は、デンセンやハンダ等、やたらコマケー事に異常としか思えない程にこだわる傾向にあるようですが、バスレフ型やアナログフィルタ、小型スピーカの低音不足等、音楽再生が未だ抱える超基礎的問題に全く目が向けられていない事には驚かされます。これらは簡単な波形計測でも問題が露呈します。
僕も最初はバスレフ型から始めましたが、ジャズのピチカートベースの音に異常に敏感であるため、また、カナル型イヤフォンで理想的な低音ビート再生を知ってしまったため、どうチューニングしてもバスレフ型では不自然に聞こえ、ポートに詰め物をしてバスレフ効果を抑えた方が、余程ましに聞こえました。つまり、バスレフ型の不自然なビートを聞くくらいなら、基音が聞こえなくても倍音のビートだけ聞いている方が余程ましだという事です。バスレフ型は、過渡挙動と付帯音に明らかに問題が見られます。

Q: プロを相手にする業務用スピーカーでもバスレフの比率が見ている限り高いです。 業務用はアクティブが当たり前でドライバー毎のバイアンプになっているのでハチマルさんが言う+6dbブーストぐらい簡単に出来ると思いますがどうなってるんでしょうかね?
プロ用のアンプ内蔵コンパクトモニタが、のきなみバスレフ型であるのは、大音量時の動作を保証する必要があるからだと思われます。小型のモニタでも、大概はかなり大パワーのアンプを内蔵しています。プロ用にはとにかく堅牢性が求められます。また、現在では広く一般にバスレフ型がすっかり標準的な形式として定着してしまったという点もあるでしょう。スピーカとはそういう音だという事になってしまっているという気がします。また、彼らは必ずモニタ用ヘッドフォンでもチェックしています。プロ用の場合、密閉型サブウーハー方式の方が向いているでしょう。当ブログで再三取り上げたBlueSky社は、バスレフ型の問題を徹底的に訴求し(僕と全く同じ事を言っていた)、完全密閉型の2.1chスタジオモニタシステムを提供していましが、日本からは撤退した模様です。なんでやねん。。日本では未だにヤマハの密閉型モニタが多くのスタジオで重用されているようですが、良い状態の中古を見つけるのが困難になっているとのこと。最近プロ用機材を扱うサウンドハウスさんが、そのような要望に応えてレプリカモデルを超安価に提供しています。

Q: この辺りの低音の話になるとよく出てくるのが「小さいスピーカーから出る低音は質がウンヌン、、、やはり最低38cmはないと、、」と始める人がいると思うのですが。この辺りの低音の質の差はデータでいくと高調波歪みだとか位相で説明できるのですか?
同音量で比較するならば、振幅を小さく抑えられる大きなウーハーの方が歪みを低く抑えられます。広い部屋全体を揺るがすような、あるいは風が吹くような爆音で再生したい場合、38cmウーハーが必要でしょう。小さなウーハーをブーストして使う場合、音量を上げると振幅の増加によって高調波歪みが増加し、極端な場合は壊れてしまいます。このようなシステムでは、歪みが実用上顕著にならない範囲の音量で使用する事が大前提です。再三言っているように、必要な振動板のサイズ(面積)は必要な再生音量によって決まります(振動板の許容振幅Xmaxも決定要因です)。一般家庭において、普通に良い状態で音楽を鑑賞する上で、過剰な音量は全く不要であると思います。健康的にも良いはずがありません。大きなソーチを持っていると、大きな音で鳴らしたくなる。。。という面もあるのではないでしょうか。

低音再生のクオリティを考える時、もう1つ重要なのは、過渡挙動(位相遅れを含む)です。低音ビートを気持ち良く再生するにはこれが非常に重要です。この面では、振動板が軽い小さなウーハーを適度な音量で使う方が有利になります。大きくて重いウーハーを大振幅(大爆音)でビシッと動かしてバシッと止めるには、相当に強力な駆動性能を持ったアンプが必要になるでしょう。当然ですが、一般家屋であれば、部屋(家?)自体にも相当な振動対策が必要でしょう。いついかなる場合も「部屋」をシステムに含めて考える必要があります。

また、大径ウーハーの場合、振動板の剛性面でも不利になります。例えば、僕はメタル製のウーハーを好みます。紙やPPコーンでは「ドン」が「バン」気味に聞こえる事を嫌うためです。これは振動板の剛性に関係していると思われます。当然ですが、振動板が極小のカナル型イヤフォンでは、素晴らしく「ドン」に聞こえます。最近のトールボーイ型スピーカのように比較的小径のウーハーを複数個使う1つの理由は、この点にあると思われます。

僕が今まで経験した中で最も理想的な低音再生が可能な装置は、LEANAUDIOのリファレンスでもあるVicotr製のトップマウント型カナル型イヤフォンです。耳穴に入るほど小さな振動板が鼓膜のすぐ近くで振動し、介在する密閉空間が非常に小さいため、鼓膜をビシバシに駆動してくれます。遺伝のせいか僕の姪もベースを基準に音楽を聴く癖があり(彼女はメタル系専門の音楽業界人)、彼女にこのイヤフォンをプレゼントしたところ「ベースがメッチャよう聞こえるわ!」と非常に気に入ってくれました。

低音ビートの正確な再生こそが、スピーカによる音楽再生において最も困難な課題であると思います。密閉型スピーカとデジタル信号処理により、この問題を飛躍的に改善できる事は、当ブログで再三ご紹介した通りです。

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2012年06月11日 (月) | Edit |
今回の本題に入る前に、とっても重要な事なので、もう一度シツコク繰り返します。イコライザ(equalizer)とは、読んで字のごとく、何らかの物理特性を「均一化」(フラット化)するための装置または機能です。ですから、計測しながらの設定が絶対的大前提である事をくれぐれも理解してください(自動補正ならOK)。我々は制作者ではなく、あくまでも鑑賞者であるという立場をヨクヨクわきまえないと、結局はイヂクリマーシーノのオヂオイヂリと同じ事になってしまい、富士の樹海を確実に彷徨う事になります。簡単にいくらでも変更でき、変更すると音もはっきりと変わるため、ある意味非常に危険な装置でもあり、使いようによっては簡単に「悪者」にもなってしまうでしょう。鑑賞者としての分をわきまえ、フラットにしたらその状態を基準として素直に受け入れ、なんか遊びたければデンセンなりインシュレータなりシンクーカンなりなんなりで遊べばヨロシかと思います。

さて、今回の本題の方ですが、これはLEANAUDIO初期の頃からのテーゼです。相変わらずシツコイですが今一度よーく考えてみてください。ハチマルには、今のオヂオの不思議フシギ摩訶不思議な状況を象徴しているように思えて仕方ありません。

それでは本題に入ります。
低域のブーストとは、低周波領域で減衰したスピーカのレスポンスを、特定の周波数まで「均一化」(フラット化)する事を指します。つまりイコライジングの適用範囲を、スピーカのロールオフ周波数よりも低い周波数領域まで延ばしたに過ぎません。すなわち、ハチマルの言うブーストとは、イコライジングの延長に他ならないという事です。別に低音を「強調」して「ズンドコ」にするわけではなく、本来聞こえるべき状態に修正するという事ですから、そのへんの勘違いなきよう、くれぐれもご注意ください。

問題のバスレフですが、現在、オーディオ用スピーカとして、大型から小型まで、高級品から普及品まで、すっかり主流となってしまっているバスレフ方式は、箱内部の空気とドライバの共振現象を利用して、特定周波数領域のレスポンスをブーストします。通常は、密閉型のロールオフよりも低い周波数までレスポンスを「均一に」(フラットに)延ばす事を目的に調整されています。つまり、これも一種の非電気的イコライザであると言えます。そして、電気的イコライザと同様に、音質にある程度のネガティブな影響を与えます。

そこで、「ほんならドッチの方が得ヤネン?????」と考えるのが普通です。。ですよね?考えない方がフシギです。

ハチマルの今までの実測とシミュレーションによる経験では、同一容積の密閉型と比べた場合のバスレフ型のブースト効果は、本当に最小限の吸音材を入れた状態で、最大でも8dB程度です。付帯音を嫌って吸音材を少し増やすと6dB程度まで効果は減少します。バスレフ型の場合、共鳴点から下は急激に位相が変化してレスポンスが減衰する(共鳴点以下の音はかなりデタラメ)のに対し、密閉型は位相もレスポンスもなだらかに変化するため、バスレフの効果が最大8dBあったとしても、密閉型では6dBもブーストすれば、バスレフ型と同等かそれ以上の良質な低音が得られます。

そのへんを実例でお見せします。
ZAP Alpair 6M/2.5L密閉をベリンガのグラフィックイコライザでブーストしてみました。
A6 eq
黒がブーストなし。赤が、一番下のバンド(63Hz)を+6dBした結果です。綺麗に+6dBの効果が出て、100Hz以下がフラットに伸びています。

シミュレーションでバスレフと密閉を比較してみました。容積は2.5Lです。
A6 eq simu
白が密閉です。吸音材はバスレフ効果が最も強く出る「なし」で計算しています。同調周波数(63Hz)におけるバスレフの効果はせいぜい7dBくらい。この程度のブースト効果であれば、密閉型+イコライザで簡単に出せてしまう事がおわかり頂けたかと思います。しかも、密閉型をブーストした方が、同調点以下の減衰がなだらかであるため、低音の量感と重みは明らかに密閉型ブーストの方が優れ、位相と過渡応答性の面でも密閉型ブーストの方が圧倒的に優れます。

ついでにAlpair 10/4L密閉でも+6dB(63Hz)してみました。
A10 eq
たった4Lの密閉箱に13cmドライバを入れて、イコライザで63Hzバンドを+6dBしただけで、40Hz~10kHz ±6dBを達成しています。音楽を鑑賞する上でほぼ十分な非常に素直な特性が得られたと言って良いでしょう。一家に一台ALpair 10たる所以です。このドライバの許容振幅(Xmax)は半端ではありません。グライコにもう1つ下のバンドがあれば、さらに下限を伸ばす事も可能でしょう。もちろんFrieveAudioでブーストするならば、30Hzまで位相遅れ皆無で何の問題もなくフラットにできますし、部屋の影響も同時に補正できます。なお、4Lの容積では、シミュレーションでまともなポートチューニングはできませんでした。最低10Lは必要そうです。このように、密閉型をブーストする場合、容積はさして重要ではないため、バスレフ型より遙かにコンパクトにできます。

さて、バスレフ方式のように共振現象を利用した場合、それが音響的であろうが機械的であろうが電気的であろうが、如何に巧妙に計らおうとも、ポジティブな効果が得られる周波数領域の外側で必ずネガティブな現象が発生します。ハチマルはエンジン屋さんでしたから、共振君にはソレハソレハお世話にもなる一方で、散々悩まされもしました。今まで再三述べてきたように、バスレフ方式もその例外ではありません。

シンプルな密閉型で低い周波までフラットにレスポンスを延ばせるのであれば、密閉型を使うに超した事はない、誰も好き好んでキワモノは使いたくはないという事は、昔ムカシ大ムカシから言われている事です。中高生の頃に読んだオーヂオ誌(スピーカ自作の入門書だったと思う)にもはっきりと書いてありましたし、バスレフ型を苦肉の策(あるいは必要悪)的に考えている著者のニュアンスが記事の端々からも読み取れました。それが当時の業界のバスレフ方式に対する認識であったように思えます。実際、当時は今よりも密閉型の製品が多かったようにも記憶しています。

昔ムカシ大ムカシは、真空管アンプの出力や駆動力も低いですし、スピーカのエッジやダンパの素材も限られていましたから、低周波の大きな振幅で振動板を良好に駆動する事は困難であったでしょう。そのような事情から、特に大音量を必要とするシステムでは、低域のブーストをバスレフ型のようなキワドイともいえる共振機構に頼らざるを得なかったという事情は十分に理解できます。

さてさて、しかし、今や21世紀であり、それは昔ムカシ大ムカシの事情に過ぎません。半導体によるアンプの大出力化高DF化はもとより、スピーカにも新しい素材がどんどん使われるようになり、さらには音源のデジタル化にともなってデジタル信号処理の可能性が開ける等、関連技術レベルは当時から飛躍的に進化しています。例えば新素材を駆使したハイテクAlpairドライバでは、驚くほどの大振幅でも極めて良好な挙動を確保できている事、FrieveAudioのDSPを使えば、密閉型ヘッドフォンに匹敵する位相的にも極めて正確な低音をリスナの耳に届けられる事を再三ご紹介しました。

ちょいと冷静に考えれば、現在のそのような技術的バックグラウンドの下、せいぜい6dB程度の低音ブーストのために、そのようなキワモノ的共振機構(バスレフ方式)に頼る必要があるのか???密閉型をアナログ式であろうがデジタル式であろうが単純に電気的にちょいとブーストした方が絶対お得だよね??という疑問が生じるのが当然でしょう。。ですよね??違う???

昔ムカシ大ムカシの技術的制約からやむを得ず採用されたような機構が、この21世紀においてもなんで未だに幅をきかせているのか???ハチマルにはものすごーーーーーーーーーく不思議でフシギで仕方ありません。

何もハチマルみたくアホみたいにブーストしなくとも、ちょいと6dBブーストすれば、バスレフ型と同程度までロールオフ周波数を下へ伸ばす事ができ、しかも、それ以下の周波数でもバスレフ型のように急激に位相が乱れてレスポンスが急落する事もなく、ダラダラと緩やかに減衰する特性が得られます。すなわち、ちょいと6dBブーストするだけで、明らかにバスレフ型よりも位相的に正確でダンピングの効いた自然で豊かな量感の低音が得られるという事です。ブーストしてロールオフ周波数を同じにした密閉型とバスレフ型を聴き比べれば、ズンと来る低音の重さ/実体感が全く違う事は、誰にでも容易に体感できるはずです(かたや、穴ンポコから噴出するオトですから)。もちろんデジタル信号ブーストを適用するのが理想的ですが、アナログイコライザやアンプのトーンコントローラでも効果は十分に体感できるでしょう。

一度お試しあれです。ホンマニ。

なお、このような方式においては、箱の気密性と剛性はもちろんのこと(容積は小さくてOK)、ドライバ自体の気密性が重要となります。気密性の高いセンターキャップ付きのドライバを使う必要があるという事です。フェイズプラグ付きやコアキシャル型ではエア漏れによる問題が生じて良好な結果は得られません。この条件を満たす限り、ビンテージ物ではない最新のドライバであれば、限界近くの大音量を求めない限り、6dB程度のブーストで問題が生じる事はないでしょう(アンプのトーンコントローラ レベルのブーストですからね)。

ハチマルのように、小径ドライバで限界近いブーストを求める場合は、できるだけ最大許容振幅(Xmax)の大きなドライバを使う事を推奨します。その点でMark AudioのAlpairシリーズは最適です。というか、他に適当そうなのは思い当たりません。アンプにはDFの高いアンプが適するでしょう。小出力の真空管アンプは当然適しません。今時の半導体アンプであれば基本的になんでもOKだとは思いますが、敢えて選ぶなら高DFの業務用アンプとか、NuForce IconAMPがヨロシイカト思います。

では、そのようなバスレフ型が未だに幅を効かせている理由は一体全体何なのか? と普通は考えるわけです。

ハチマルは、付帯音(内部の音が筒抜け、ポート自体の共鳴音(笛っぽの音)が出る)によって「ソーチそのもの」のコセーを出しやすいからではないかと考えています。最近のマニアの表層的/感覚的/微視的なナンチャラカンやオンジョーカンを追い求める傾向は、ムカシよりもかなりエスカレート気味なのではないかとハチマルには思えて仕方ありません(そんなにナンチャラカンやリンジョーカンとかが無いと音楽がツマライのか???そんなにツマラナイのだったら何も無理に音楽聴かんでもえーんとちゃうのんか?と)。しかし、ナンチャラカンをやたら求めず素直にそこに記録された「音楽」に耳を傾けようとする場合、付帯音の少ない吸音材をタップリぶち込んだ密閉型の方が、明らかに「音楽そのもの」が聴きやすくなります(要は音楽再生クオリティが高くなるという事)。

密閉型は音が「死んでいる」とか「沈んでいる」と勘違いされる傾向にあるようですが、それは決して内圧や吸音材によって振動板の運動が抑制されて「音が死ぬ」からではなく、不要な付帯音が減ったために、付帯音の多いバスレフ型やバックロード型のナンチャラカンに慣れた耳にはなんだか寂しく感じられるためです。これは、LEANAUDIO初期に散々バスレフと密閉を聴き比べた上で得たハチマルの結論です。地味な密閉型で、ナンチャラ感ではなく「音楽」を聴く事に慣れると、今度はバスレフ型の不自然さが耳に付くはずです。このへんは、自動音場補正でフラットにすると(音楽再生クオリティが向上すると)、癖のあるナンチャラカンが無くなって最初は耳寂しく感じるのと同じです。そのへんをよく理解した上で、密閉型の音を今一度じっくりと聴き直してみるのも良いと思いますよ。

追記2
密閉型がなんか地味に聞こえるのを嫌ってか、内圧を下げるために背面に圧抜き穴を開けたりする場合もあるようですが、これは疑問です。原理的に良い効果が得られるとは思えません。例えパイプを付けずに箱に穴を開けただけでもヘルムホルツの共鳴効果は発生します(いつものシミュレーションツールで計算すると分かります。このためハチマルは極端に長ーーーいパイプ「シッポ」をポチ君で試した事がある)。また、共鳴効果が出なかったとしても、小さな穴だと、空気の出入りに抵抗が生じて、それこそ振動板の運動が阻害されますし、気流音が出る恐れもあります(箱がエア漏れしているのと同じ状態)。大きな穴だと、背面解放に近付くだけであり、低域のレスポンスが低下します。効果があるように感じられたとすれば、それは穴から何らかの付帯音が出ているか、部屋の影響で低音過多になっていたために低域のレスポンスが下がった事が良い方向に感じられたためではないかと思われます。ハチマルもF80を使っていた頃、どうも音の明瞭感に欠けるような気がして、内圧を抜くためにポチ型に長い尻尾を付けたりしたっけなぁ。。。今から考えると笑い話です。。。Alpairを使い始めてからは、そのような事はなく、結局丸1年かけて吸音材タップリに辿り付きました。

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2012年06月09日 (土) | Edit |
イコライザというと、「鮮度が落ちる」とか言われて毛嫌いされる向きもあるようですが、果たしてそうでしょうか?彼らの言う「センド」とは一体何を指すのでしょうか? 今回は、そのへんについて書いて見たいと思います。

その前に、カラー写真について考えてみます。多くのデジカメでは「カラーバランス」を設定できるようになっています。これは、照明の種類(太陽光、人工照明(白熱/蛍光灯等))によって光のスペクトル分布(色温度)が異なり、また自然光であっても天候や時間帯によって色温度が異なるため、一定の条件で処理したのでは色かぶり(色が偏って不自然に見える)が生じるためです。これは一種のデジタルイコライザ機能であると言えます。多くの方はオマカセの「オートカラーバランス」を使っていると思いますが、これは撮影した画像の全体的な色の傾向からその時の色温度を推測して補正します(専用のセンサを使う機種もある)。これはデジタル式の自動音場補正に相当します。デジカメに限らず多くの装置は、ある条件を基準として設計され、実際の使用条件がそれと異なる場合には、その装置に課せられた本来の目的を最善の状態で達成するために、何らかの補正を適用します。

銀塩のカラー写真の場合、フィルムは特定の色温度で自然な発色が得られるように作られています(デーライトとかタングステンとか)。しかし、撮影条件に合わせてフィルムを選んだとしても、実際の色温度はそのフィルムの標準色温度と常にピッタリと一致するわけではありません。このため、ネガカラーであれば引き延ばし時点で、リバーサルであれば撮影時に、光学系に色付きの補正フィルタを挿入します。こちらはアナログ式ですね。当然ですが、そのようなフィルタを挿入すると、光学系の性能(すなわち画質、オヂオ的に言えばレンズのセンド)は僅かに低下しますが、それを嫌って補正しなければ、色が不自然に偏ってしまって、本来の目的を最善の状態で達成する事はできません。もちろん表現上の理由により意図的に色をかぶらせる事もありますが、それは表現者が行う特殊なケースです。

さて、オーディオではどうでしょうか?

スピーカは、無響室で測定した時に概ねフラットな特性になるように設計されています。無響室というのは実用からかけ離れた非常に特殊な条件ですが、実際に使われる条件が不特定であるため、致し方のないところと言えます。しかし、実際の部屋に設置した場合、スピーカから出た音がリスナの耳に届くまでに、必ずその部屋の影響を極めて多大に被ります。

TONO君でその影響をもう一度見てみましょう。

下は、スピーカをデスクの前端に置いて約20cmの距離で測定した結果です。device.jpg
ほぼドライバの素の特性(無響室での特性)に近いと思われます。4kHzのピークはドライバ自体の癖です。

下は、TONO君をコーナーに設置して、実際のリスニング位置(ベッドの枕の位置)で計測した結果です。
room.jpg
これが同じスピカか?と目を疑いたくなるくらい違います。このように、実際の使用条件によって、耳に届く特性は装置ソノモノの特性とは大きく異なります。もちろん、部屋が異なれば、その影響の出方も千差万別です。このまま聴くと、交響曲の低音部のウナリがブオーと不自然に聞こえ、また、ジャズのベースラインを追跡しにくくなります。

そこで9バンドのイコライザで調整しました。
equalize_20120609060642.jpg
これは、以前に紹介した設定から、イロイロな曲を聴いている時に気になるところがあるとその都度チョコチョコ微調整を繰り返した結果としての現在の状態です。このような調整により、「音楽」は明らかに自然で聴きやすくなります。

さて、「鮮度」とは何を指すのでしょうか?

「鮮度」を、「記録された音楽と実際に耳に届く音楽の違いの少なさ」と定義するならば、適正なイコライジングによって音楽再生の総合的な「鮮度」は確実に向上します。すなわち、その装置の本来の目的をより善い状態で達成できるという事です。もちろん、「装置」レベルでの信号は多少劣化します。特にアナログ式フィルタでは位相に影響も出ます。しかしリスナの耳に実際に届く「総合的な音楽再生」の鮮度の向上は、そのような微小な信号劣化を補って余りあると言う事です。色補正フィルタを挿入するとレンズの性能(ガシツ)は僅かに劣化しますが、「写真」としての総合的な鮮度(本来の色味の自然さ)は、そのような微小なガシツの劣化を補って余りあるのと同じです。微小な劣化にばかり目を向けて、総合的で決定的な本来の目的を見失ったのでは意味がありません。ソーチがいくらセンドとやらの高い音を出しても、リスナに届く実際の音楽の全体的な調和がガタガタに崩れていたのでは意味がありません。キモチヨクナイノヨ。

もちろん、可能であれば、イコライザを適用する以前に、部屋の音響特性を可能な限り整える事も重要です。しかし、完璧に行うには多大な費用と労力を要し、一般的には対策の範囲も極めて限定されます。唯一現実的な方法は、ニアフィールドで聴く事です。

さて、では、彼らの言うところの「センド」とは何なのでしょうか。それは、「装置ソノモノから出てくるオトのコセーの際立ち度」と言う事でしょうか。写真でも、レンズマニアは写真ソッチノケでルーペに齧り付きで超微細なレンズのガシツに拘ります。それと似ているように思えます。

つまり、主たる興味の対象を「そこに記録されている音楽」に置くのか「ソーチそのもの」あるいは「ソーチから出てくるオト」あるいは「ソーチによって現出する諸々の付帯的現象」あるいは「それらのコセイとかアジ」に置くのかによって、イコライザに対する考え方が如実に違ってくるという事です。端的に言えば「音楽」を主体に考えるのか「ソーチ」を主体に考えるのか、という事です。

当ブログで再三書いたように、デジタルを音源とするならば、DAC以前のデジタル段で全ての処理を済ませる事により、位相の遅れなく最小限の信号劣化でそのような補正を、望むならば自動的に、極めて容易に適用できます。「音楽」を主たる目的としてオーディオ装置を使う場合(って、それが普通なんですけど)、TONO君の例のように部屋の影響を強く受けているようであれば、イコライザは大きな効果を発揮するでしょう。基本的なところが整った後、コマケー事をティマティマやる以前に、デジタル式であれアナログ式であれ、何らかのイコライザの適用を真剣に検討してみる価値は十分にあると思います。音楽再生において周波数特性の影響は何にも増して決定的です。アタリマエなんですけどね。

イコライジングを適用する際に何よりも重要なのは、絶対的な基準を明確にする事です。すなわち、まずリスニング位置で計測してみる事が必須です。計測に基づいてできるだけフラットに調整し、その状態で暫く素直に聴いて耳を慣らした後に、必要と感じれば自分なりに微調整すると効率的です。もちろん、自動補正が利用できれば非常に便利です。「ブツリトクセーはジューヨーではない」と言って憚らぬオヂオ業界人も多いですが、それはあくまでも「ソーチ」を主たる興味の対象とするかなり特殊な音楽との関わり方をするヒトビトの考え方であり、そうではないヒトビトはそのような言動に決して惑わされてはなりません。

フラットな状態を聴き慣れていない方がいきなり聴感だけでイコライジングするのは無謀です。基準の状態が分からないまま感覚だけで調整すると、それこそ富士の樹海グルグル必至でしょう。イコライザが正しく認識されて普及しない根本の原因はそこにあるような気がします。あ、それと、イコライザは簡単にイヂラレルので、今度は超微小な調整に没頭しだす危険性があります。イコライザ(equalizer)とは、読んで字のごとく「特性を均一化」するための装置です。基本的に好き勝手にイヂクリマースための装置ではアリマセン。あくまでフラット基準で、オコノミは必要最小限に留めておいた方が身のためですよ。後は音楽聴くダケ。メンドクサガリ屋さんになりましょう。

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2010年05月29日 (土) | Edit |
前回の記事の録音データを使用して、FrieveAudioイコライザの効果を検証してみました。

マイルスの「Hand Jive」の冒頭3.5秒だけを、正確に切り出してスペクトル解析した結果をご紹介します。

535.jpg
全域

534.jpg
低域のみ拡大

黒がCDのデジタルデータをそのまま解析した結果です。基本的に原音再生とは、この信号通りの音がスピーカーから出てくるだけでなく耳に届く事を意味します。

原音再生が必ずしも「好きな音」に聞こえる訳でもないでしょうし、ましてや「最終目標」でもありません。しかーし、これはオーヂオイヂリに手を染める場合の「出発点」あるいは「基準点」で有る事は確かでしょう。これを基準に「好きな」方向へイヂルのが最も効率が良いし、とんでもない方向へズッコケナイ方法だと思います。それがハチマル的アプローチ法なんです。

でと。

青と赤は、黒の信号をスピーカーで再生し、これをマイクロフォンで録音したWAVファイルからの結果です。早い話がマイクロフォン位置で実際に耳に届く音の特性です。
青がイコライザを使用せずにそのまま再生した音、赤がFrieveAudio自動音場補正で作成したイコライザ特性を使用して補正したもの(いわゆる30Hzフラットの馬鹿ブースト)です。8cmのAlpair5一本ですよ。

音を聞いてみる→(補正なし / 馬鹿ブースト):
小さいスピーカーでは違いが分かりません。それなりのイヤフォンで聴いてみてください。

理論上は全くアタリマエの事なのですが、ここまで綺麗に原信号のスペクトルが再現されているのを目の当たりにするとちょっと驚きです。
さあ、赤と青のどっちがとりあえずホントの音に近いと言えるでしょうか?

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2009年02月13日 (金) | Edit |
使い始めた頃は低域(200Hz以下)の補正がうまくできませんでした。

部屋の影響で約150Hzに左右とも大きなピークが発生し、左のみ約75Hzに大きな穴が発生するんですが、今のように綺麗にフラットには補正できませんでした。

これはイコライザのタップ数を増やす事で解決できました。タップ数は「環境の設定」内の「フィルタ」タブで行えます。このタップ数のデフォルトは確か2047でしたが現在は8191に設定しています。
低域が綺麗に補正できない方は試してみてください。
 
以下ではタップ数2047と8191で比較してみます。ちなみに以前の記事のデータは全てタップ数=8191によるものです。

DSPの「イコライザ」画面で「イコライザ係数の確認」ボタンをクリックすると、実際に適用されるイコライザ曲線を見る事ができます。イコライザ画面に青でプロットされている曲線がそのまま補正に適用されるわけではないので注意が必要です。

「イコライザ係数の確認」ボタンを押すと下のようなグラフが表示されます。
067_20090807202612.jpg
068_20090807202628.jpg

これが実際に適用されるイコライザ係数のグラフです。全く同じ測定データに基づいています。
上がタップ数=8191で、下がデフォルトのタップ数=2047です。補正範囲はともに0~20kHzにしています。

こちらが補正結果です。
065_20090807202656.jpg
066_20090807202719.jpg

同様に上が8191、下が2047です。2047では150Hzのピークがポッコリ残ります。現在のスピーカーは例の尻尾を付けてバスレス効果を出していませんが、以前のバスレフタイプではもっと激しい凸凹が低域に出ていました。

低域ほどタップ数の影響が大きくなりますが、これは周波数領域がリニアに分割されているためだと思われます。周波数特性は通常横軸を対数にしますが、リニアで考えれば100Hz幅のピークなどは高域では単なる線になってしまいますから。

タップ数を4倍に増やしてもCPU消費率が顕著に増加する等の弊害は見られませんので、現在はタップ数に8191を設定しています。ただし少ないに超した事はないので、デフォルトで問題がない場合は変更しない方が良いと思います。

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2009年02月11日 (水) | Edit |
写真の世界でもそうですが、オーディオの世界でも「デジタル」に拒絶反応を示す方がまだ多いようですね。アナログは人間味があって温かく、デジタルは人間味がなくて冷たいという感じでしょうか。どちらも技術者たちの熱い情熱と叡智の結晶なんですがね。

035a.jpg
Nuforce社の小型デジタルアンプIcon
そのコンセプトには注目すべきものがあります。
 
写真の世界でも近いうちにそうなるでしょうが、オーディオの世界ではもう泣いても笑っても音源はほぼ完全にデジタル化されています。であるならば、信号をアナログへ変換する以前にデジタルでできる事はできるだけデジタルのままで処理しておいた方が良かろうと考えるのが極めて自然です。というか、CDが世に出てから随分と経っている割に、その方面の技術が家庭用オーディオ分野に浸透していない事には驚かされました。電線にうつつ抜かしてる場合ではないと思うのですが。。。。

例えば、アンプのトーン調整や、マルチウェイ スピーカーのネットワーク回路、デジタル化によって失われた超高音域信号の擬似的生成、それにスピーカーの機械的設計(バスレフやバックロードホーン等)は、かなりの部分をDAC以前のデジタル信号処理に置き換える事ができるはずです。それによって当然信号にある程度の劣化を来す可能性があったとしても、上記のアナログによる方法でも同等以上の悪影響(特に位相の変化)が出るわけですから、どちらが得か冷静に判断する必要があります。デジタル信号処理では位相への影響を出さずに、あるいは逆に積極的な位相の補正を含めて、極めて急峻で自由度の高いフィルタリング処理が可能なはずなんですが。

036a.jpg
Icon用の専用スピーカーS1
接続にはネットワーク ケーブルを使用
スピーカーはフロントホーン形状として音圧を稼ぎつつ
f特上の癖は専用のイコライジングで補正している
従ってこのスピーカーはIcon以外のアンプとの接続を全く考慮していない

このIconという小型デジタル アンプには専用のスピーカーが用意されており、このスピーカーとはLANケーブルで接続するようになっています。そして、このスピーカーを接続した場合にのみ、アンプ側でそのスピーカーの特性に合わせたイコライジングが行われるようです。LANケーブル内の2本の信号ライン以外のラインを使用してスピーカー側の電子データへアクセスしている模様です。デジタル一眼レフではレンズ側にもチップが内蔵されており、ボディ側のCPUでそれを認識して最適制御を行うのに似ていますね。

カメラの場合はメーカー間の互換性がかなり限定されますが、もしこのような方法がオーディオ業界全体で統一規格化されれば、スピーカー側の設計に大きな自由度が得られるのではないでしょうか。つまり、スピーカー側にイコライジング特性を記録したチップを内蔵しておき、デジタルアンプ側でこれを読み込んで、そのスピーカーに合わせた周波数/位相補正を行うわけです。これによってスピーカー側はかなり思い切った設計ができますし、バスレフ等の低音増強機構や一部のネットワーク回路も省略できるはずです。

信号をそのように改変すると音質が悪化すると言われますが、現在はそれと同じ事をアナログ的に(ネットワーク回路や、スピーカーの低音増強とか、とかく位相的に問題が多い事を)平気でやっているわけですから、原信号がすでにデジタル化されている現代において、それをDAの前に行った方がずっと理にかなっているはずです。たとえば、現在のスピーカーの大部分はバスレフポートで低音を増強していますが、低域がなだらかに減衰する密閉型で低音信号をブーストするのとどっちが得かをよーく考えてみる必要があります。一般的にバスレフタイプは密閉型に比べて低域の位相(遅延群)や共振点以下の出力の急減、風切り音、ポート自体の共鳴音等が問題となります。よーく考えてみた方が良いとおもいますよ。ほんとに。

しかし、いくらスピーカー単体から発せられる音のf特をフラットにしたとしても、実際のリスニング位置では部屋の影響を受けてf特はかなり凸凹になります。ニアフィールドで聴く場合はまだしも、大型システムで離れて聴く場合は部屋の音響特性がもろ効いてくるでしょうから、このあたりを補正するためのデジタル信号処理も、製品に最初から組み込んで欲しいですね。ホームシアター用のサラウンド システムでは測定用のマイクロフォンが最初から製品に同梱されていてDSPによる位相補正もやっているみたいですが、ピュア オーディオを標榜する2チャンネル ステレオでこそもっと真剣にやってみたら如何な物かと思います(特にサブウーハーの積極的利用も含めて)。もしハイエンドでピュアなオーディオの究極の目標がコンサートホールの完璧な再現だとういのであればなおのことです。イヤホンマニ。

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