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2012年11月13日 (火) | Edit |
音楽再生システムの設計において、まず最初に決めなければならないのが、目標とする再生音量(音響パワー)です。これによって、システムの基本要件(スピーカ振動板のサイズ、振幅、アンプの出力)が決まるからです。ユーザは、自分が必要とする再生音量(音響パワー)に見合ったシステムを選択する必要があります。

今回は、ちょっと興味深いグラフを見つけたので、今一度再生音量について考えて見たいと思います。

ds-303(8).jpg
これはDIATONE DS-303のカタログに記載されていたデータのようです。出典は「オーディオの軌跡」さんです。そこには、
DS-303では、音楽鑑賞をする場合にどの程度の出力を持ったアンプで駆動すれば良いかという使用上の検討が加えられています。12畳から16畳にかけての大きなリスニングルームで聴取レベル100dB(瞬時値)をステレオ再生で確保するためには、能率を考慮すると100Wの耐入力性た必要となります。また、4.5畳や6畳程度の小さい部屋で条件を満たすためにも最低40W程度の出力た必要となります。このため、DS-303では40W~100W程度の出力を持ったアンプで駆動することが推奨されていました。
と記載されています。

いくつか興味深い点があるので、順番に見て行きます。

まず、HiFi再生に必要な音圧レベルの瞬時値を100dBに設定している点が挙げられます(ステレオ再生する場合、2本のSPで受け持つため、一本あたりの旬時値は最大97dB)としている模様)。なお、このスピーカの効率は約90dB@1m/1Wです。

以前当ブログで紹介した、とあるホールで計測されたベト5第1楽章の最大瞬時レベルは、最前列中央席で106.7dB、ホールの中央付近で89.9dBでした(参考記事)。従って、100dBというのは、かなりカブリ付きの状態を想定しているものと思われます。これらの値は、フィルタを一切通さない全くの瞬時値であり、中央席の89.9dBをFASTフィルタ(時間フィルタ)とAフィルタ(人間の聴感を考慮したフィルタ)を通した場合の騒音レベルは80dBAを大きく超えないであろうと考えられます。

また、さる機関(独立行政法人産業技術総合研究所)が実施した調査では、音楽を聴く際に80%以上の人が80dBA未満の音量で快適であると感じるという結果が得られています(参考記事)。僕自身も、時々リスニング位置の音量を計測してみるのですが、概ね70~80dBAの音量で聞いています。それ以上音量を上げると圧迫感を感じ始め、また周囲への影響も気になり出します。さらに、85dBAを超える音量を日常的に聴いていると聴覚にダメージを受けるとも言われます。

次に、この図で想定しているリスニング距離を見てみます。
この図では、リスニング距離を4.5畳間で約2.5m、6~8畳間で約3.5mと見積もっています。今時京間(955mmx1910mm)を使っている家は少ないでしょうから、畳の寸法をざっと0.90mx1.80mと見積もった場合(中京間、江戸間に相当)、4.5畳間は約2.7m x 2.7m (僕の部屋(3x3m)よりも狭い)、6~8畳間の長手方向の寸法は約3.6mです。つまり、上図では、スピーカを壁にピッタリくっつけて、リスナも反対の壁にピッタリと背中をくっつけた状態を想定している事になります。なんだか、オッキイソーチ(アンプとスピーカ)を売りたくてこのように極端な条件を想定したのではないかと勘ぐりたくもなりますね。これは再三申しているように、定在波の観点からは最悪の条件であり、良好なリスニング条件を得るには、少なくとも部屋の中央付近で聴く必要があります。さもなくば、イコライザが必須でしょう。

余談になりますが、オートグラフについて考えてみます。
オートグラフはコーナー設置を前提とするモノラル用スピーカですが、どのような使われ方を想定してチューニングされたのでしょうか。非常に高価な製品ですから、相当に裕福な顧客層を対象としていたはずです。さて、暖炉のある広いお部屋のコーナーにオートグラフを設置した場合、部屋の主はどこに陣取って音楽を楽しむでしょうか。そう、普通に考えれば、部屋の中央付近ですよね。たぶん、暖炉の正面あたりに座るのではないでしょうか。そんなお部屋で何もワザワザ壁にへばり付いて聴くはずがありませんよね。オートグラフは部屋のコーナーを使って低音を増強していると思われますが、そのようなスピーカを狭いお部屋にブチ込んで、壁にへばり付いて聴く場合、リスニング位置でどのような周波数特性が得られるか、興味深いところではあります。

以上のような事から、日本の一般的家屋において、部屋の中央付近に座って適度な音量で音楽を楽しむのであれば、上図で見る限りアンプの出力は瞬時最大値でも数W~10数W(L/R合計)もあれば十分であろうという事になります(下図の黄色の領域)。
ds-303(8) copy

部屋のサイズによってリスニング距離がほぼ決まり、必要音響パワーがほぼ決まります。つまり、部屋のサイズに応じて必要なシステムのサイズ(振動板面積x振幅とアンプ出力)がほぼ決まるという事です。また、リスニング距離が近い程(部屋が狭い程)、心理的にもスペース的にも装置のサイズは小さくしたいですよね。4.5畳間で38cmウーハの4wayを目の前に置いて聴くのは非現実的でしょう。僕が提唱している密閉型ブースト/2.1ch方式であれば、低音再生限界は振動板サイズと箱容積に基本的に依拠しないため、音量(部屋のサイズ、リスニング距離)に見合った適度なサイズでも低音再生帯域を犠牲にせずに音楽再生システムを設計する事ができます。つまり、リスナは自分にピッタリサイズのシステムを、音楽再生において不可欠の低域再生を犠牲にする事なく、選ぶ事ができます。そのミニマムな形態がケロ君です。

密閉型2.1chまたは2.2chパワードウーハ システムの様々なコンフィグレーション
719 copy
大きさは異なっても周波数特性は全て同じです。異なるのは最大音量だけ。ZAP君はSMALLクラスですが、デスクトップ用としては過剰性能です。普通の6畳間の中央で聴くのであればこのクラスで十分でしょう。

追記
余程のマニアでもない限り防音を施された専用のリスニングルームなぞ持たないでしょうし、普通は自分にとって最もリラックスできる快適な住環境(リビングなり自室なり)で音楽を楽しみたいと願うでしょう。従って、装置には快適な住環境を乱さない事、つまり十分にコンパクトであり、住人のライフスタイルやセンスにマッチした外観を持つ事が求められます。必要十分な音量(なにもフルオーケストラの最前列席の音量をサイゲンする必要など全くナイ)で必要十分な音楽再生クオリティ(なにもデンセンやアンプのチガイをワザワザシューチューとかショージンとかして聞き分ける必要など全くない)を達成できていれば、ヤタラコマケー オンシツなどをツイキューとやらするよりもコンパクト化とデザインの方が余程重要です。もちろん低価格化もね。。

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